
コミュニケーション能力とは、
人の気持ちや感情をくみ取りながら、意思疎通ができる力のこと。
私たちが生きていく上で大切な「人間関係」を築く力です。
その能力が低いのでは?と感じている方や、さらに向上させたいと考えている方が、能力向上のために今日からできることとは?コミュニケーション能力を向上させるために、大切なポイントをご紹介します。
目次
1.コミュニケーション能力を鍛えるための方法4つ
ビジネス上の人間関係においても、コミュニケーションはとても重要です。
コミュニケーションとは、会話などを通して相手を理解し、自分を理解してもらうことです。
つまり、一方通行なものではなく、お互いを理解し合う方法なのです。
コミュニケーションの構成要素を大きく2つに分けると、
「伝えること」と「受け取ること」が挙げられます。
この2つの能力を高めるためには、さまざまなスキルが必要とされますが、
その基本的なものとして、4つの方法をご紹介します。
1-1.「伝える力を養う」2つの方法
コミュニケーションをスムーズに行うためには、
自分の意見や考えを、相手に明確に伝えることのできる能力が必要です。
自分の気持ちが相手に誤解なく伝わることで、理解が深まり、良好な人間関係の構築にもつながります。ここで築かれた人間関係が土台となり、その後のコミュニケーションをさらに円滑に行うことができるのです。
相手に伝える力を養うときには、伝える力を磨きながらも、相手との信頼関係を築けるよう、意識しましょう。
1-1-1.方法1:目的・結論から話す
相手にわかりやすく伝えるには、
話の要素(情報)をどのような順番で伝えるかが大切です。
特にビジネスシーンでは、まず結論や目的から話すことを心がけていきます。
例えば上司への報告であれば、
「●●の件のご報告です。」と目的を伝えてから話す。
提案であれば、
「私の提案は●●です。なぜなら・・・」と、結論から話す。
仮に目的や結論がなく話が始まると、聞く側はその話題について「考える」ために頭を使うことができず、一体何を伝えたいのかを「理解する」ために頭を使う必要があります。
会話や話の始めに目的や結論を伝え、相手が聞く準備ができるようにしましょう。
わかりやすく伝える力を養うために、プレゼンテーションなどでも多用される
プレップ法という、説得力を高める話の構成パターンをご紹介します。
●PREP(プレップ)
- P:Point→結論を述べる・要点を述べる「私の提案は●●です。」
- R:Reason→理由を述べる「なぜなら、●●だからです。」
- E:Example→事例・具体例を伝える「例えば、このような結果や実績が出ています。」
- P:Point→再度、結論や要点を述べる「よって、私は●●を提案します。」
ビジネスシーンで、このような話の構成を、ぜひ意識して使うようにしてみてください。
論理的でわかりやすく、説得力が高い話し方が身につくでしょう。
★プレップ法をはじめ、プレゼンテーションや話の構成力を磨きたい方は、
こちらの記事が参考になるでしょう。ぜひご覧ください。
1-1-2.方法2:言葉・話し方を相手に合わせる
わかりやすく伝えるには、聞く(聴く)側に徹底して合わせることが必要です。
例えば、相手の知っている知識やレベルに合わせた情報量を伝える。
相手がわかる言葉、よく使う言葉で伝えることが大切です。
学校の授業を思い出してみてください。
小学1年生の教科書が、ほとんどがひらがなで書かれているのは、小学1年生はまだ漢字が読めないからです。
時々、専門用語を多用してプレゼンテーションを行う人がいますが、相手が同じかそれ以上の知識や専門性を持っていなければ、あなたの話は全く通じないどころか、あなたのコミュニケーション能力は低いという印象になるでしょう。
相手に合わせるのは、言葉や知識量だけではありません。
人には、自分と似たものに対して親近感や安心感、好感を持つという
「類似性の法則」が働くと言われています。
仲の良い2人を「息が合う」「ウマが合う」と表現しますよね。
一昔前は、ペアルックやお揃いのアクセサリーを身につけることが、仲の良さの象徴でもありました。
ですから、すでに仲の良い、信頼が築かれている状態を先につくっていくことで、コミュニケーションもスムーズになり、信頼も早いうちに築くことができるのです。
以下のような、言葉以外の要素(非言語)の
コミュニケーションも合わせていきましょう。
- 話すスピード
- 声のトーン(高低)
- 声の大きさ
- 身振り手振り
- 表情
こうした言葉以外(非言語)の要素は、
時に言葉よりも強いメッセージとして相手に伝わります。
相手に対して、安心感や好感を持ってもらうために、
この強いメッセージを意識してコミュニケーションに取り入れて行きましょう。
1-2.「受け取る力(聴く力)を養う」2つの方法
効果的なコミュニケーションを図るには、相手に伝える力だけではなく、相手の意見や考えを受け取る力も必要です。
相手が「きちんと聴いてくれている」と感じられるような聴き方をしたり、気持ち良く話せるように促したりする必要があります。
自分から相手に伝えるばかりでは、相手の気持ちを受け取ることがおろそかになってしまいます。
なぜなら、相手は自分に意識を向けてくれていないと感じ、口をつぐんでしまうこともあり得るためです。
そうなると、当然のことながら、コミュニケーションは円滑に進まなくなります。
「いつも自分は人との会話が続かない」と感じているとしたら、それは受け取る力が足りないせいかもしれません。
1-2-1.方法1:相手の話にしっかりと耳を傾ける
より良いコミュニケーションを図るには、相手の話に心と体を傾けて聴くこと(傾聴)が大切です。この技法は、カウンセリングの場における基本姿勢のひとつです。
傾聴とは、ただ相手の話を聞くということではありません。
相手の話を途中で遮ることなく、しっかりと聴くことが求められます。
それはなぜでしょうか。
たとえばあなたが、職場の上司に「昨日のプレゼンが大変だったんですよ」と話したとき、上司から「プレゼンが大変なのは当たり前だろう」と言われたとします。
あなたは、プレゼンがどう大変だったのかを聴いてほしかったのに、
その一言によって「会話のキャッチボールが成り立たない」状況になり、そこで会話は終わってしまうかもしれません。
上司に対して、心理的な距離感を感じてしまうかもしれませんね。
しかし自分が聞く立場になると、つい相手の話の途中で、自分の意見を口に出したくなることもあると思います。
大切なのは、たとえ相手の考え方が間違っていても、
一旦は否定せずに聴くことや、必要な部分では相槌や頷きを入れ、
相手の話を真剣に聴いているというサインを出すことです。
1-2-2.方法2:バックトラッキング
バックトラッキングとは、相手が自分に対して信頼感を持ってくれる聴き方であり、相手の話を促す聴き方です。
具体的には、相手が発した言葉に対して、
それをオウム返しのように繰り返しながら、会話を進めて行くというスキルです。
大切なのは、相手の言葉をそのまますべて繰り返すのではなく、以下を行います。
- 相手が話した事実を繰り返す
- 相手の話した感情を繰り返す
- 話した内容の要約
バックトラッキングすることにより、
相手にとって「自分の話を真面目に聴いてくれている」という、安心感を生み出すことにつながり、さらに相手が話をしやすくなります。
また、相手の話をきちんと聴き、言いたい内容を要約して伝え返すという作業は、
自身が相手に何かを伝えたいときに、要点を分かりやすく伝える訓練にもなります。
上司からの指示を受けて確認する、電話対応や伝言を受ける、ヒアリングするなどのビジネスシーンでも大いに役立ちます。
2.コミュニケーション能力が高い人の特徴とは?
コミュニケーション能力が高い人は、伝えること、受け取ることが上手く、
相手の感情をくみ取ることにも長けています。
自分が伝えたいことを分かりやすく表現する力があるため、
相手もストレスをためずに、話を聞くことができます。
また、自分本位の会話を進めるのではなく、相手にとってわかりやすい言葉を使い、
相手のペースに合わせて会話ができる点も、特徴のひとつだと言えるでしょう。
こうした要素は、コミュニケーションを円滑にし、
信頼関係を構築することが容易になり、良い人間関係が築けるのです。
- 人の話をしっかりと聞く
- 相手の感情をくみ取る
- わかりやすく表現をしながら物事を伝えられる
- 相手の口調や動作を見て会話を進められる
2-1.コミュニケーション能力が高いと仕事にもメリットが?
プライベートではもちろんですが、
ビジネスシーンにおいて、コミュニケーション能力をきちんと高めている人は、
周りの人から信頼されるため、仕事面でも大きなメリットがあります。
人の話を聴く力が高ければ、
打ち合わせなどでも相手の話を聞き漏らすことが少なく、また相手の言いたいことも
十分に引き出すことができます。
「自分の考えや意見をよく理解してくれる」「あの人に頼めば間違いない」と評価が上がります。
分かりやすく話を伝えてくれると、相手も仕事内容や要点が容易に理解できます。
結果、相手やチームなど、関わる人全体の仕事のパフォーマンスを向上させることができます。
人への指示やプレゼンテーションの説得力が高ければ、当然人を動かす役割を任されていきます。
【コミュニケーション能力が高い人の特徴について】
※以下の記事で詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。
3.コミュニケーション能力向上におすすめの本
コミュニケーション能力を向上させるには、頭の中で、これまでに述べた方法をイメージすることも効果的ですが、さらに具体的な方法を文字で見て学ぶことも重要です。数あるコミュニケーション能力向上の本の中から、おすすめの作品をご紹介します。
3-1.コミュニケーション能力の基本を養う
アービンジャー・インスティチュートによる著書で、本場アメリカにおいて、ビジネス書部門でベストセラーとなった本です。
インスティチュートは、身の周りの人間関係の原因は、すべて自分が引き起こしているものだと指摘。自分自身の考え方を「小さな箱」と表現し、その箱から脱出することで、客観的に物事を見つめられるようになり、職場や家庭でも良好な人間関係を築くことができると説いています。
人と関わるときに、自分がどういう言動をしているのかを見つめ直し、気づきを促してくれる1冊です。
3-2.ビジネスコミュニケーションのスキルを養う
フリーアナウンサーの魚住りえさんが「伝えるプロ」としての経験を元に、
役立つコミュニケーションスキルをまとめた著書。
どうしても、会話をするときには「話す力」を意識してしまいますが、魚住さんは、話すより「聴く力」を身につけることにより、スムーズなコミュニケーションを図ることができると説いています。
聴くための相槌の仕方や態度なども具体的に示されており、とても分かりやすいのが魅力です。「聴き方をここまで丁寧に解説してくれる本はない!」と多くの読者の支持を得ている1冊です。
4.まとめ
高いコミュニケーション能力を身につければ、
良好な人間関係を築くことができるようになります。
そうすると、ビジネスでは、接する人たちとのやり取りがスムーズになり、効率よく高い結果をつくることができるようになります。
プライベートでは、お互いのことをより深く理解することができるようになる。
人間関係のストレスを抱える人はたくさんいますが、そうしたストレスが軽減され、周りの環境を快適に整えていくことが可能になるでしょう。
もしもあなたが、コミュニケーション能力が低いなと感じていても、その能力やスキルは、後天的に身につけることができるのです。
ちょっとしたポイントや、この記事でご紹介するような基本の要素を学んでおくことで驚くほど飛躍させることができるでしょう。
※コミュニケーションに関しては、こちらの記事もおすすめです。