
この記事では、優れたリーダー、良いリーダーに必要な部下やメンバーを育成するコーチングの視点をご紹介しています。
Googleの立役者の一人エリック・シュミットをはじめ、Facebookのザッカーバーグ、GEのジャック・ウェルチらは、実際にコーチをつけてその有用性を評価し、またあのビル・ゲイツもその重要性を説いています。
これはリーダーが自ら受けるコーチングの例ですが、優れたリーダーは、部下やメンバーを対象にして、自ら考え、動き、目標に対してコミットできる、そんな強い集団や組織に育てることが必要です。
ではより効果的に、メンバーや組織のエンパワーメントを生み出し、モチベーションを刺激し、結果を生み出すコーチングの視点とは何か。
そこで今回ご紹介するのが、【ニューロ・ロジカルレベル】と呼ばれる人の学習や変化についてのモデルです。
これを知ることによって、現状を打破する効果的なアプローチを見出すことができ、あなたがこれまで学び、実践してきたコーチングをよりパワフルにしていく可能性が生まれてきます。
何を承認し、何を質問すればいいのか。そしてどういったところを観察し、これまでの狭義のコーチングだけでなく、適切なアドバイスやティーチングに切り替えていけばいいのか。その効果的な視点が手に入ります。
今回の記事で、部下やチームを育成し、時には鼓舞し、目標達成のために優れたリーダーに必要なコーチングの視点を手に入れてください。
目次
1.優れたリーダーは人を育てる
優れたリーダーは、事業やプロジェクトの推進のために、チームや組織のメンバーがもつ一人ひとりの能力や可能性を開発し、周りを動機づけ、エネルギーを与え、活気と結果をもたらす人です。
その手段としてコーチングがあります。
コーチングは今や優れたリーダーにとってのマストツールと言ってもよい、欠かせないスキルの一つです。
一人ひとりのポテンシャルを発揮するためのツールとして展開されてきたコーチングですが、既存のコーチングでは、近年の流れに対処できない状況が生まれています。
ダイバーシティや働き方改革をはじめとする時代の流れや、世代による仕事への価値観の違い、またメンタルヘルスへの対応ができなくなっているからです。
その象徴として現場からあがってくるのは、以下のような声です。
- やるべき行動はわかっていても、結局動かない
- そもそも仕事への意欲が感じられない
- 仕事への意識が違い過ぎて、腹が立ってくる
- コーチングからティーチングへの切り替えが分からない
- 上司としての自分の意見が言えなくなる
- メンバーとの不自然な態度や表情がなくなり、息苦しくなる
- 時間だけがとられてしまう・・・
私は25年間、コーチングに関することはもちろん、コミュニケーション、また目標設定やビジョン策定をテーマにした研修を企業だけでなく、個人を対象にも行ってきました。そのなかでコーチングをする側だけでなく、コーチングを受ける側の方たちとの多くの出会いがあります。
そこでわかっているのは、受ける側の世界を知らずにコーチングを進めても、その努力は徒労に終わる可能性があるということです。受ける側の声の代表的なものは、
- コーチングをする上司が、上から目線になっている
- 質問が誘導的に感じられて、やる気どころか、気分が悪くなる
- 一方的な質問で、コーチングの練習相手になっているようで不快
といったものです。
社員一人ひとりのポテンシャルを上げようと思い、誠意をもってリーダーや上司がコーチングをしようとしても、こういった関係性では、リーダー自身がストレスをかかえ、結果として元のやり方に戻り、生産性が下がるといった傾向が生まれています。
こういった状況の中で知っておきたいのが、「ニューロ・ロジカルレベル」という考え方です。
この考え方を駆使して、部下やメンバーの何を観察し、何にアプローチしていけばいいのか、そしてどのようにアプローチしていけばいいのか、そのポイントをお伝えします。
2.アプローチに多様性をもたらす「ニューロ・ロジカルレベル」
NLP(神経言語プログラミング)のニューロ・ロジカルレベルとは、人の学習や変化に関するモデルで、人の学習や変化には階層があるという考え方です。
NLP(神経言語プログラミング)とは、天才セラピストたちのコミュニケーションパターンを抽出したもので、「どのようなコミュニケーションをとれば、相手に変化が起きるのか」、それをパターン化したものです。
「卓越性の研究」とも呼ばれ、相手をネガティブな状態からポジティブな状態にするという領域はもちろん、すでにポジティブな状態の人を、さらにエクセレントな状態に導くアプローチができるスキルと視点のツールです。
2-1.ニューロ・ロジカルレベル-人の学習や変化には階層がある
ニューロ・ロジカルレベルとは、人が何かを学習したり、変化を起こすレベル(階層)を示したモデルです。
自己認識とは、自己効力感や自己肯定感、また自分のことを価値ある人間かどうか、好きか嫌いかといった自分に対する認識のことです。
信念や価値観とは、自分が信じていること、そして大切にしていることを意味します。
能力は、「どのように」を示すもので、手順といったものを意味します。
行動は、「何を」という意味です。
環境は、「どこで」といった環境そのものと、チーム編成や活用するパソコンなどの仕組みやツールといった外的要因を意味します。
例えば「車の運転ができる」という例で、ニューロ・ロジカルレベルの情報をお伝えすると、以下のようになります。
- 自己認識:「私は安全ドライバー」
- 信念・価値観:「急がなければ、事故は起こらない」「余裕を持つことは大切」
- 能力:「どうカーブに入るか」「どう停車するか」「どの道をいけば速く着くか」
- 行動:「アクセルを踏む」「ハンドルを回す」「ブレーキを踏む」
- 環境:「車の中」
あなたの部下やチームのメンバーを育成するとき、環境、行動、能力、信念や価値観、そして自己認識の各階層で観察する視点を持つことによって、柔軟性をもち、多様なアプローチが可能になります。
営業の例であれば、パソコンや名刺といったツールを渡していないのに営業活動をするのは困難です。これは環境的アプローチが必要です。
またセールストークを教えていないのに、売上をつくることは困難です。
これは能力や行動のレベルの例で、セールストークの研修や正しくできているかどうかのフィードバックが必要になります。
これは信念・価値観レベルの例ですが、どんなにセールスの成績が良くても、信念・価値観レベルで、「部下は道具である」といった認識や、「コンプライアンスを無視してでも結果を出す」といった考え方になっていると、部下の信頼を失い、会社全体にリスクをもたらすことになります。
このように各階層で、チームメンバーを観察することで、メンバーそれぞれのアプローチの視点が見えてきます。
2-2.上位概念の変化が、大きな影響を与える
このニューロ・ロジカルレベルでは、下から、「環境」「行動」「能力」「信念(信じていること)や価値観(大切なこと)」、そして「自己認識」というレベルで、上位のレベルであるほど、変化や成長へ大きな影響を与えるという考え方です。
例えば、「自己認識レベル」が変われば、「信念や価値観レベル」の情報が変わっていきます。
具体的な例でお伝えすると、新しくマネージャーになった人は、自分が現場で仕事をしていたときと同じ意識ではいられません。
自分のことだけではなく、チームメンバーの育成や成長、また予算管理などに意識と責任を持ち始めます。仕事における時間の使い方や業務の重要度も変わってきます。
恋愛や夫婦といった分野でいうと「私は恋人である」という認識から、結婚すると「私は夫である」、または「私は妻である」という認識になり、さらに子どもができると「私は親である」という自己認識が生まれます。
すると、生活費や親族関係といったお金や時間やエネルギーの向けどころが違ってきます。
このように自分が何者であるかという自己認識レベルの影響が、信念や価値観、また必要となる能力や行動を変えます。そして現場セールスからマネージャーになると、お客様のところよりはオフィスにいることが多くなるという、実際に仕事をする環境が変わってきます。
2-3.ニューロ・ロジカルレベルでアプローチするほめ方、叱り方の例
ニューロ・ロジカルレベルの活用例として、ほめ方や叱り方の例をお伝えします。
「ほめる」という場合でしたら、以下のようなほめ方があります。
- 環境レベル:いつもデスクがきれいでいいね。
- 行動レベル:朝早く出社することは素晴らしいね。
- 能力レベル:あなたのコンサル、そしてセールススキルは素晴らしいね。
- 信念や価値観:あなたのポリシーは素晴らしい。
- 自己認識:あなたは素晴らしい。
「叱る」場合でしたら、以下のようになります。
- 環境レベル:いつもデスクが汚いよ。
- 行動レベル:遅刻はダメだ。
- 能力レベル:コンサル、そしてセールススキルを磨いたらどうだ。
- 信念や価値観:あなたの考え方に問題があるんじゃないか。
- 自己認識:あなた自身に問題があるんじゃないか。人として、ダメだ。
叱る場合は、行動や環境レベルに注意を向けることが重要です。
このことを意識しないと、気づかないうちに自己認識レベルを刺激してしまいますので、
成長どころか、やる気の低下や自己否定といった望ましくない状態が生まれてしまいます。
以上のようにほめ方叱り方だけではなく、このニューロ・ロジカルレベルは、チームや組織のメンバーの可能性を開発し、育成を促進させることに大いに役立つ観点です。
次の章で各レベルに対して、どのようなアプローチができるのか、そのポイントをお伝えしていきます。
3.階層別の具体的なアプローチ
どんなにいいツールでも、活用の場面が異なれば、それは役に立たない道具になります。
どんなにいい「ノコギリ」を持っていても、釘を打つときは、「かなづち」が有効です。逆にどんなに上質な「かなづち」をもっていても、板を切るときの「ノコギリ」の威力には勝てません。
これと同様に部下やメンバーを鼓舞し、育成するときには、各階層で機能的なアプローチを選択する視点が重要です。
この章ではどのレベルに、どんなアプローチが効果的か、その視点をご紹介します。
3-1.環境レベルに必要なガイディングとケアテイキング
「環境」とは、私たちの活動で起きている外的状況のことです。
チーム構成、デスクの配置、仕事で使うパソコン、また就業規則なども外的要因として考えられます。
成果や望ましい状態に至るためには、部下やメンバーをとりまく環境面での制限や機会を明らかにし、対処していくことが必要です。
そのために必要なのが「ガイディング」と「ケアテイキング」です。
「ガイディング」とは、案内すること。
「ケアテイキング」とは、世話をするということです。
デパートやテーマパークに行けば、必ず「案内図」があります。
どこにいけば必要な情報が手に入るのか、それを示すツールであったり、自分の部下やメンバー、そしてチームがどういったステップで目標を達成するのか、キャリアアップしていくのか、その道筋を見えるようにしておくことが必要です。
子育ての例で言えば、子供の成長のために安全な遊び場や創造性に富むおもちゃや本などを用意する、といったことです。それと同様に、新入社員や異動してきた社員などに最初に行うアプローチをイメージしていただければ、あなたの現場に則したアプローチが浮かんでくることと思います。
ここを曖昧にしているのは、プレゼンツールや名刺を渡していないのに、営業で数字を取って来いと言っているようなもの。「気合が足りない」「根性がない」「考えが甘い」といったことを言っても効果的ではありません。
部下やメンバーが質の高いパフォーマンスを発揮するために必要なツールを与えているか、また取り巻く環境は適切か。こういった観点を大切にしてください。
3-2.行動レベルに必要な狭義の意味でのコーチング
行動レベルのアプローチとしては、コーチングの源流である、スポーツコーチに見られるアプローチとして、狭義の意味でのコーチングが必要です。
例えばテニスやゴルフの例で言えば、スポーツコーチは、肘の高さや頭のブレなどを選手たちにフィードバックしていきます。
仕事における行動レベルのアプローチは、後にご紹介する能力レベルで教えたスキルが、正しくできているか、うまくできているか、その状況にふさわしいように建設的にできているか、といったフィードバックが必要です。
ここで必要なことが、細やかな観察力です。
結果とは行動を通して生まれてきます。
どんなに努力しても、間違った行動、関連部署や周囲に悪影響が生まれる行動では、成長や変化、そして結果は生まれません。
教えられた技術や行動が正確にできているか、部下やメンバーを細やかに観察することを重要視してください。
ここでNLPの研究開発第一人者のロバート・ディルツが勧めている、行動レベルのアプローチにおける必要な信念や前提をご紹介しておきます。
- 部下やメンバーには、効果的なパフォーマンスを発揮する能力がすでに備わっている。
- 適切な励ましとフィードバックを与えれば、部下やメンバーは自然にパフォーマンスが改善されていく。
- 私からの適切な励ましとフィードバックを部下やメンバーは必要としている。
- すでにうまくできていることをより良く知ることで、人はそれを容易に伸ばすことができる。
- 私の部下やメンバーは、ポジティブなフィードバックや評価を受け取ることで、限界を突破し、自ら成長しようと努力をする。
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3-3.能力レベルに必要なティーチング
能力レベルには、ティーチング(教える)というアプローチが効果的です。
成果に結びつく技法そのものだけでなく、「どのように」やっていくのか、「どんな場面で効果的なのか」「やってはいけない状況はどんなときか」といったその手順やプロセスも含め、そのスキルを発揮する状況判断も含めて教えていきます。
「あの部下は仕事ができない」とリーダーが言うとき、
「必要なスキルは何か?」とリーダー自らに問いかけ、そしてそのメンバーに必要な
スキルを理解し、そして教えていく必要があります。
やり方や方法、また手順を教えていないのに
- 数字を上げてこい!
- 市場動向を調べてこい!!
- もっとわかりやすくプレゼンをしろ!
と言われても、「何を」「どのように」していいかわからないままです。
結果として、メンバーの自信は低下していきます。
必要なスキルを教えていなければ、アプリが入っていないスマホやパソコンのように、SNSもメールもできません。つまり、どんなにポテンシャルをもっていても、スキルがなければ結果は生まれません。
これまでのやり方の改良というよりは、部下やメンバーに必要な「新しいものを教える」という観点が必要です。
部下やメンバーの日頃のパフォーマンスや、行動レベルでの観察は当然必要になりますが
リーダーであるあなた自身にとって、必要な信条や前提をご紹介しておきます。
- 私の部下やメンバー誰もが、新しいものを学習する能力を持っている。
- 能力を開発するプロセスは本来刺激的なものである。
- 人は賞賛され承認されるならば、たやすく学ぶことができる。
- 人には個人差や個性がある。その人は自分のスピードで学ぶ。
- この人は聡明だ。私の観察と知識を受けるにふさわしい人物だ。
- この人は私が与えたあらゆる知識や情報を、自分にとってベストな方法で活用していく。
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3-4.信念・価値観レベルに必要なメンタリング
「信念」とは、その人が信じていること。「価値観」とは、相手が大切にしていることです。
(「大切」だと信じていること、という意味も含めて同等のレベルに属します)
このレベルは、相手の内面へのアプローチになります。
人は「なぜ」その行動をとるのか、とらないのか、あるいは変えようとするのか。このレベルへのアプローチは、その理由や動機に深く関わっています。この関わりをメンタリングと言います。
具体的には以下の2つです。
- 部下やメンバーの大切にしているもの、特に「価値観」を理解すること
- チームや組織の模範やお手本になること
人の価値観はさまざまですが、仕事で言えば、「成長」「スピード」「お金(報酬)」「人間関係」「達成」「挑戦」と、シンプルな言葉で表されるキーワードで、このキーワードは相手にとっての行動のスイッチになる言葉です。
もしあなたが優秀なリーダーになりたいのであれば、相手にとって重要な「価値観」を明確にし、強化するサポートが必要です。
具体的には、相手の価値観となるキーワードを知るために以下のような質問をしていきます。その質問は、
- 「仕事で大切にしたいことは何?」
- 「今回のプロジェクトで大切にしたいことは何?」
- 「自分のキャリアを考えるとき、大切にしたいことは何?」
といった質問です。
ある人の例で言えば、「結果」「成長」「スピード」「昇進」といったキーワードかもしれませんし、他の人は、「一体感」「工夫」「創造性」「楽しむこと」といったキーワードかもしれません。
ここで重要なポイントは、リーダーであるあなたと同じでなくても大丈夫だということです。違っていても全く問題はありません。
そこを同じにしようとするから、停滞が生まれてきます。
ポイントは、相手のキーワードをコミュニケーションの中に埋め込みながら、会話を進めていくことです。
例えば、相手が「自由」が大切だと思っていて、あなたが仕事を任せるときには
「君にある仕事を頼みたい。【自由】にやってかまわない」
こういった形でキーワードを入れていきます。
また相手が「挑戦」を大切にしていて、新しいプロジェクトに参画させる場合は、
「新たな【挑戦】ができる機会だよ」、また「一緒に【挑戦】していこう!」
といった形で活用していきます。
これらの会話は、相手の価値観を際立たせ、励ますことを意味し、仕事への意欲を強化することにつながります。
このニューロ・ロジカルレベルの開発者であるロバート・ディルツは、自分への「問い」によって影響を与えるリーダーになると言います。次にご紹介する問いを活用してください。
- 私は「誰の」「何の」よい手本になっているだろうか?
- 私はどのような影響を、どれくらい与えているだろうか?
- 私は部下やメンバーの信頼に足りているだろうか?
- 私は部下やメンバーの「価値観」を理解しているだろうか?
- そしてその理解と尊重を示しているだろうか?伝えているだろうか?
3-5.アイデンティティ(自己認識)レベルに必要なスポンサリング
リーダーに必要なコーチングスキルの視点として、もっとも影響力がある重要なアプローチが、部下やメンバーの自己認識(アイデンティティ)レベルの情報を健全に、豊かなものにしていくことです。
- どうせ自分はダメな人間だ。
- 私はチームの邪魔ものだ。
- 私は誰からも愛されない。
こんな自己認識を持っていたら、どんなにいい教育をしても、またアドバイスをしても役に立ちません。
スポンサリングとは、部下やメンバーが、「自分を価値ある特別な存在であることに気づかせ、可能性を目覚めさせ、見守る」という関わり方であり、在り方です。
ここのアプローチとしては、仕事の課題や役割よりも、まず個人に注意を払います。それぞれの部下やメンバーに個別の関心を寄せ、一人の価値あるユニークな存在として認めていくことです。
調査会社の巨大企業ギャラップ社の調査では、部下にたった一つの質問をすることによって、その部下が優秀か非優秀かがわかる、という研究結果があります。
それはメンバーに対して「あなたの上司は、あなたのことを一人の人間として関わっていると感じますか?」という質問で、
「関わっていると感じている」と答えたとグループは、その組織の中でも優秀な評価を得ていて、「感じない」と答えた人は、非優秀という評価になっている人たちでした。
つまり、上司の関わりが部下の卓越性を発揮させる要因だということです。
仕事仲間だけでなく、人として接する姿勢が大切なポイントで、具体的な関わりは無数にあると思いますが、以下のようなメッセージが相手に伝わっていることが重要です。そのメッセージとは、
- 私はあなたを見ている。
- あなたは価値ある人間だ。
- あなたは重要(特別/ユニーク)な存在だ。
- あなたは貢献できる何かを持っている。
- あなたは歓迎されている。あなたは大切な一員だ。
目的は相手が、「私は価値ある人間だ」「私は成功できる能力をもっている」「私は成功に値する人間だ」「私は愛されるにふさわしい人間だ」といった、健全な自己認識を持ってもらうことです。
すると以下のような変化が期待できます。
- 「私のことを見てくれている」というメッセージを感じると、人は安心感を覚え、「過剰に相手の注意を引く必要はない」と感じ、過剰な自己アピールのエネルギーを建設的に移行することができます。
- 「あなたは周囲を脅かす存在ではなく、仲間である」「あなたは歓迎されている」「あなたは大切な一員だ」というメッセージを感じると、人は地に足がついたような感覚になり、安堵感を覚え、周囲に対しての責任や献身が芽生えてきます。
- 「自分には価値がある」「大切でユニークな存在である」というメッセージを感じると、人は充足感や満たされた気持ちになり、自然とその個性を発揮したいという願望や持ち前の創造性、強みを発揮していこうとします。
※「ユニーク(重要/特別)な存在」というのは、「他者より優れている」「勝っている」という意味ではありません。その人個人の特別な個性のことで、誰かと比べられるものではありません。
以上のように各レベルによってアプローチが異なります。
必要な状況や場面、またフェーズによって、適切なアプローチを行う視点として活用してください。
参考文献:
- 人を覚醒に導く史上最強の心理アプローチ NLPコーチング ,ロバート・ディルツ GENIUS PUBLISHING
- サクセスファクターモデリングセミナー テキスト
4.まとめ
優秀なリーダーは、人を育てることができる人です。
その一つの手段としてコーチングがあります。そのコーチングを広義の意味でとらえ、どのレベルで、どのようにアプローチするか、その「観点」をNLPのモデルの一つであるニューロ・ロジカルレベルでご紹介しました。
部下やメンバーの環境レベル、行動レベル、能力レベル、信念・価値観レベル、そして自己認識レベルの現状を理解して、必要なアプローチを行うことが重要です。
時にはティーチングをし、時には狭義の意味でのコーチングをし、メンタリングやスポンサリングをして、部下やメンバーを育て、チームや組織全体を強化してください。
大切なポイントは、観察することです。
※コーチングにご興味をお持ちの方はこちらの動画(40秒)もおすすめです。
- 『NLPプロフェッショナルコーチ認定コース』公式サイトはこちらから
https://www.nlp-coaching.co.jp/ - 世界権威ティム&クリス氏へのインタビュー記事はこちらから
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