
『どうにも、やる気が出ない』
そんな時ってありますよね。
『やらなきゃいけないのに、できないでいる』
これは、多くの人が直面する問題です。
私たちの日常は、いつも自分の都合の良いようになるわけではなく、
例えば環境が悪かったり、自分の力ではどうにもならないような状況で、やる気を削がれてしまうこともあるでしょう。
しかし、やる気が出ない原因は
心理的な要因に影響されていることがほとんどで、
一言でいうと、何かの原因に自分の心(やる気)が負けてしまったという状態です。
心理学や脳科学の分野では、やる気の出し方について研究されており、
パターンも見つかっています。
大事なことは、どんな状況でも、それをどう受け止めるか、どう活かすかという心理状態の持っていき方で、いかようにも変えていくことが可能だということです。
この記事では、物理的に、あるいは一時的にやる気を引き上げるために有効な方法もご紹介していきますが、
- やる気が出なくなる心理的なパターンを知り、
自分の心理をコントロールしていく方法 - 物ごとに対していつも前向きな気持ちで取り組んでいくための方法
これらにフォーカスをしていきます。
やる気をコントロールできる自分になる。
そのためにこの記事をぜひお役立てください。
目次
- 1-1.やることが漠然としていて、やる気が出ない
- 1-2.いろんなことが完了できずにいて、やる気が出ない
- 1-3.やることの価値や魅力が感じられなくて、やる気が出ない
- 1-4.燃え尽きてやる気が出ない
- 1-5.ただ単にマンネリ化で、やる気が出ない
- 1-6.責任転嫁でやる気が出ない
- 1-7.自分を責めすぎて、やる気が出ない
- 1-8.過去に意識が向いていて、やる気が出ない
- 1-9.思い込みが原因でやる気が出ない
- 1-10.自己重要感が不足してやる気が出ない
- 1-11.隠れたポジティブな目的が存在して、やる気が出ない
- 1-12.人生の方向性が見つからなくて、やる気がでない
- 2.健康状態が原因になってやる気が出ない3つのパターン
- 3.関係性が原因になってやる気が出ない3つのパターン
- 4.まとめ
1-1.やることが漠然としていて、やる気が出ない
やることが漠然としていると、やる気が出ません。
目標が大きすぎたり、やることがたくさんあると、何から手を付けていいかわからなくなります。そうなると、やる気はあるのに、そのエネルギーの矛先が見つからず、モンモンとした状態が続き、やる気が出なくなっていきます。
例)
- 新しい仕事にチャレンジしたくても、
どうしていいのかわからない - 部屋の掃除で、どこから
手をつけていいのかわからない - 外国語の勉強をしたくても、
どうしていいのかわからない
やりたい気持ちだけが大きくなってしまったまま、やることを曖昧にしておくと何も始められず、やろうとしても何もやらないアナタができあがってしまいます。
それを何度も繰り返していると、「何かをやろうとしてもやらない」というパターンが生まれてしまいます。つまり自ら、やりたいけど、やらない自分を育てているようなものです。
【解決策】
まず何から始めるか?を決める。
この最初の一歩を決めるだけでも、やる気のエネルギーが活用され、行動に伴ってやる気が出てきます。
コーチングやコンサルティングの世界で、「スモールウィン」と呼ばれる概念があります。要は最初の小さな勝利を手に入れることで、課題の達成を促進していくテクニックです。とにかく最初の一歩を決めて、あなたを動かしてください。
例)
- 新しい仕事にチャレンジしたくても、
どうしていいのかわからない
→「上司に相談する」など - 部屋の掃除で、どこから
手をつけていいのかわからない
→「掃除の仕方についての本を
2冊本屋で立ち読みする」など - 外国語の勉強をしたくても、
どうしていいのかわからない
→「外国語の学習コースの
パンフレットを入手する」など
最初の一歩は、これぐらい確実にできる小さな一歩で、十分に効果があります。
1-2.いろんなことが完了できずにいて、やる気が出ない
仕事や家庭、プライベートにおいて、「やりたいこと」「やらなきゃいけないこと」が増えてくると、いろいろなことが中途半端になっていき、完了できないことがたまって、やる気が出ません。
気持ちの面では、前に進もうと思っていても「なかなかやる気が出ない」という状態に陥ります。
ここでご紹介しているのは、やることが増えて、手はつけるものの、完了せず、気ばかりが焦り、達成感や解放感がないままの状態が続いている場合です。
パソコンで言うなら、仕事に必要なソフトやデータを立ち上げ、閉じることなく、次から次へと立ち上げ続ける状態です。データが重すぎて処理が遅くなったり、またはフリーズしたりする状態です。
【解決策】
一つ終えたら、一つ閉じる。
このことをやるだけで、あなた自身にスッキリとさせた気持ちを体験させることができます。そして、次に向かう態勢づくり、つまりやる気を出していくことが容易になります。
以下のポイントを参考にして、やることを手放してください。
- 「手をつけないこと」を決めて、完了させる
- 「今はやらないこと」を決めて、完了させる
- 「一人ではやらない」と決めて、完了させる
そして、「一つ終えたら、一つ閉じる」。
これだけでも現状を打破することはできます。
1-3.やることの価値や魅力が感じられなくて、やる気が出ない
やることに価値や魅力を感じないでいると、人はやる気がでません。
やることが同じでも、価値や魅力を感じていれば、やる気が出て行動を起こします。
結果を出し続け、部下から信頼を得ているような上司は、こういったことを熟知して、声がけを工夫しています。
例)
資料のコピーを誰かにお願いする時
「この資料のコピーを10部頼む」
↓
「大切な経営会議の資料だから、コピーを10部頼む」
このように仕事の意味や目的、どのような影響が生じるかを伝えます。
想像すると、「◯◯をお願い」と言われるのと、「□□のために◯◯をお願い」と言われるのでは違った感覚になることにお気づきになるかもしれません。
【解決策】
2つのステップ【問いかけ・書き出し】を活用してください。
ステップ1:問いかけ
以下の問いかけをしてください。
「これをやると、さらに手に入る肯定的・ポジティブなものは何か?」
「やり終えたら、どんないい気持ちを感じるだろうか?」
「これを終えたら取り組めるようになる他の、価値があること・魅力的なこと・やりたいことは何か?」
ステップ2:書き出し
ステップ1の答えが見つかったら、その価値や魅力、目的と一緒にTo Doリストなどにやることを書き出します。
例)
「掃除する」
↓
「心をスッキリさせるために掃除する」
「定時退社する」
↓
「定時退社して、子どもが起きている内に帰る」
このように、価値や魅力がある次のアクションに意識を向けます。
こういった書き方をするだけでも意識は変わってきます。やることへの価値、魅力を見つけて書き出してください。
1-4.燃え尽きてやる気が出ない
燃え尽き症候群。あなたも一度は聞いたことがある言葉だと思います。
とことんやって、燃え尽きてしまった状態で、やる気が出ません。
この燃え尽き症候群には、車に例えると大きく2つの種類があります。
①エンジンがオーバーヒート
②燃料のガソリンがなくなっている
人には緩急のバランスが必要ですから、こんな時はしっかり休養や栄養をとり、燃料を補給する、そして燃やす対象を見つけていく、といった両方のアプローチが必要になってきます。
【解決策】
休む。
こういう時は休む「勇気」が必要です。勇気には「何かを始める勇気」と「何かをやめる勇気」の2つがあると言われます。休むことに抵抗がある方もいるかもしれませんが、この場合は「やめる勇気」、つまり休養をとることをおすすめします。
火がつけば、燃えるあなたがいることは分かっています。
ここは思い切って時間を確保して、リフレッシュして充電期間を確保することです。
1-5.ただ単にマンネリ化で、やる気が出ない
何度も何度も体験していると、それが当たり前の事になって、やる気が出ないと感じます。
恋愛や結婚生活に倦怠期と呼ばれる時期があります。
最初は二人でいるだけで、「それだけで幸せ♡」と思っていたにも関わらず、なんとなく停滞してくる時期です。
そして、恋愛や結婚生活だけでなく、他のことでもこういった状態は起きます。
私たちの脳は、最初は少し難しいと思えるようなことでも、何度も何度も体験していると、それが当たり前の事になっていくようにできています。
例えば、靴ヒモ結びや歯磨きなど、幼い時には難しく感じていたことでも、今では簡単にできますね。これは「私たちの脳が、様々なことを学習できるようにできている」という理由に他なりません。
そしてこれが、やる気が出ない原因になっていることがあります。
例)
「大好きな曲を何回も何回もリピートして聞く」
↓
「大好きなのに、聞きたい気持ちが薄れ、他の曲が聞きたくなってしまう」
【解決策】
やりたいことを増やす。
新しいやり方で取り組み直す。
甘いものには目がない人は、どんなにお腹がいっぱいでも「甘いモノは別腹」と言って手を出しますね。これと同じように私たちは、本当にやりたいことは、忙しくてもなんとかやりくりしていくものです。
ですから「やりたいこと」を意図的に増やして脳に刺激を与えてください。その刺激が他の分野へのやる気を生み出すきっかけになります。
また、別なやり方で取り組むのも脳に刺激を与えます。
- 「より速くやってみる」
- 「より楽しめるように工夫する」
- 「他の誰かとやってみる」
やることは同じでも、別なやり方で取り組むことで、あなたのマンネリを打破してください。
1-6.責任転嫁でやる気が出ない
自分がうまくいっていないのは、「◯◯のせい」と不快な状況を人や組織のせいにしていると、やる気が出ません。
その人や組織を責めることにはやる気が出ていても、本来のやる気は出ていません。引いてみれば、実はやる気を奪われています。
ココでのポイントは、「過剰に責任を押し付けている」、ということです。
【やる気が出ない原因の考え方】
- 「あの上司のせい」
- 「親のせい」
- 「知人のせい」
- 「政治のせい」
他のものに過剰な責任転嫁をしていると、問題が解決されないだけでなく、怒りや憎しみの中に入り込み、時間が経てば意気消沈し、無気力になる原因となっていきます。
「Aさんのせいだ」と人の責任にし過ぎる状況は、実は次の一文と、同じ意味だったりします。
「自分は無力。私が幸せになるのはAさん次第」
これは、仕事や人生の主導権を相手に渡している状態でもあります。つまり、依存です。
本来の理想の状態を作ることに向けられる“やる気のエネルギー”が、「相手を責める」という他のものにすり替わっている状態です。すぐにでも解決策を参考にしてください。
【解決策】
自分に対して、仕事や人生の主導権を取り戻す問いかけをする。
もし、あなたが気づかないままに、仕事や人生の主導権を失っているのであれば、その主導権を取り戻す必要があります。それは決して、相手に対して文句を言うことではありません。
深呼吸して、自分を落ち着けて、以下の問いかけを自分にしてください。
この状況を作った原因が、
【仮に】自分にあるとしたら、
解消できる小さな一歩は何だろうか?
【仮に】と考えてみることがポイントです。
それは大きなことでなくても大丈夫です。
小さなことで、自分でできる確実な一歩を見つけてください。
1-7.自分を責めすぎて、やる気が出ない
過剰に責任感を持ち過ぎて、自分を責めていると、やる気が出ません。
これは先にご紹介したパターン「責任転嫁でやる気が出ない」の逆のケースです。
なんでもかんでも「自分の責任」と考えてしまい、状況が停滞している原因を「全て自分のせい」だと過剰に責めている状態です。
責任感は人を自立させ、リスク回避の視点や目的を実現させる可能性など、その人が持つ能力を向上させる重要な要素とされています。このことはリーダーシップの研修などでは言われますが、「やる気が出ない原因」という観点からお伝えすると、気をつけたいのは「責め過ぎる」と言う点です。
「責任を持つこと」と「自分を責めること」は別です。
「自分の責任」が建設的に機能して、理想に向けて進めていればいいのですが、「責める」「責め過ぎる」と、罪悪感や自分の無力感に包まれてしまい、やる気が出ません。
この状況に気づかないでいると、責めることで、自分の怠慢や失敗を償うといった一見建設的なようで、実は破壊的である心理状態を招きます。「うつ」と呼ばれる状態がありますが、まじめな人ほどなりやすいと言われるのは、この状態が悪化した時に起きると言われています。
【解決策】
自分を責めるのをやめ、
自分と相手の責任領域に分別をつける。
繰り返しになりますが、「責任を持つこと」と「責めること」は別です。
責任を持つということは、自分を責めることではなく、対策を考えることです。奪われたやる気のエネルギーを取り戻してください。責任領域を適切に把握し、対策を作ってください。
1-8.過去に意識が向いていて、やる気が出ない
過去と今を比べて、足りないものや欠けているものに意識が向いていると、やる気が出ません。「どうせあの時には戻れない」、「あの時のようなことは今後起きない」という諦めや絶望感が原因となっています。
肯定的に過去を振り返っているのであれば問題はないのですが、下記のような状況は要注意です。
例)
•「今は不況でボーナスが出ない・・・今後も望めない・・・昔はよかったなぁ・・・」
•「今の上司は◯◯してくれない・・・前の上司はしてくれたのになぁ・・・」
•「前の彼氏(彼女)は〇〇してくれたのに・・・今の彼氏(彼女)はしてくれない・・・」
こんな時というのは、意識が過去に奪われてしまい今を憂いている状態です。
【解決策】
現在に目を向け、現実を把握する。
「受け止める」「受け入れる」という感覚を持つ。
常に成功し続けている人であっても、諦めや絶望感を感じる経験を持っていたりします。その人達は、そのことを受け止め、受け入れ、さらに学びに変えて次のステージに活かしていきます。
ぜひ現実を把握してください。把握し受け入れることができたら、「この状況をどうしたいか」「どういう未来にしたいのか」と、未来に対して意識を向け、やれることを見つけ出していくことが重要です。
受け入れることができたら、後は前に進むだけです。
1-9.思い込みが原因でやる気が出ない
自分を制限するような「思い込み」があると、やる気が出ません。
具体的なもので言えば、「私は◯◯が苦手だ」とか、「□□は下手だ」とか「△△はできない」といったものです。
私たちは、過去の体験や何度も聞いたり見たりした情報で、「◯◯とは、□□だ」と、その人なりの物事の定義、つまり「思い込み」を作ります。
例)
- ①初恋で告白した
↓
お互いが両想いだったことがわかった
↓
「勇気は自分を幸せにする」「目標を達成するためには行動が大事だ」といった「思い込み」が作られます。 - ②初恋で告白した
↓
フラレた
↓
「勇気は自分を傷つける」「行動は自分を不幸にする」といった「思い込み」が作られます。
こういった『学習』は、その後の人生にも影響を与えます。
仕事でセールスに従事している人であれば、過去にお客さんに断られたり、強烈なクレームを言われたりすると、それが心の傷となって、セールス活動に消極的になるというのが、このパターンです。
【解決策】
イメージや自分に催眠をかけるようなアプローチが効果的です。
ここでは、アファメーションをご紹介します。
「私は行動的な人間だ」「私は人に愛されている」といった肯定的な言葉を何度も言ったり、聞いたり、見たり、書き出したりすることです。
ただし、人前で話すことに対して苦手意識がある方が、「私はスピーチの達人だ!」と言っても、無意識は必ず抵抗します。ですので、ここでおすすめするのは許可型のアファメーションです。
許可型のアファメーション
•「私は行動的になってもよい」
•「私は人に愛されてもよい」
•「私は人前でスピーチすることを楽しんでもよい。上手になっても大丈夫」
このような型で行うことによって、抵抗感を緩和し、徐々に変化は訪れてきます。
許可型のアファメーションを活用してみてください。
本を読んだだけの知識で、思い込みを変化させるのは容易ではありません。専門家のセッションや勉強会などで、学ばれることをおすすめします。
【補足】
思い込みや信じ込みは、自分自身に対してもあります。セルフイメージと呼ばれるものです。セルフイメージとは、自分をどのように思っているか、感じているかのことで、自分のことを好きとか、嫌いとか、またどういう生活レベルなら相応しいと思っているか、思っていないかということで、人間関係や収入、社会的地位といった分野にも影響を知らないうちに与えるものです。
詳しくは「セルフイメージとは?仕事、年収、恋愛、人生に大きな影響が」の記事を参考にしてください。
⇒ https://life-and-mind.com/about-selfimage-465
1-10.自己重要感が不足してやる気が出ない
自己重要感が不足していると、自分のやることなすこと無意味・無価値と感じ、無気力になってしまって、やる気が出ません。
自己重要感とは、自分のことをどれだけ大切に思っているか、感じているか、というあなた自身の価値や存在感に対する認識のことです。
心理学者によれば、私たちは認められたいと思いながら生きていて、そのことを渇望していると言われています。そして、社会的に成功者と言われる人たちでも同じだと言われます。
自己重要感の二つの側面
- 他者が自分のことを「どれだけ大切に感じているのか」
- 自分で自分のことを「どれだけ大切だと感じているのか」
【解決策】
自分で自分を承認できる何かを始めていく。
他者からの承認は、あなた以外の人が決めていきますので、あてになりません。
最初は、簡単で、小さなことから始めていきます。
例)
- 毎日机の上を整理する
- スマホの画面を一日一回拭く
- 深呼吸を10回やる
毎日継続してできることを始めることが、徐々に自分への承認を高め、自己重要感の不足を補っていくのに有効です。これは、自分自身との約束のようなものです。
余力が出てきたら、「一日一回相手を褒める」ことを取り入れていけば、あなたの無意識の自己重要感を満たすことができて、なおかつ相手の自己重要感を満たすことができるでしょう。
1-11.隠れたポジティブな目的が存在して、やる気が出ない
やる気が出ない思考や、やらないという行動の裏に、隠れたポジティブな目的(肯定的意図)が存在していると、やる気が出ません。
例)
【喫煙という行為の肯定的意図】
- 自分の時間を確保すること
- やすらぎを得ること
- タバコを吸う人ならではの「コミュニケーションをとるためのツール」
- カッコいい人のシンボルとして「自分に自信を持つ」
など
【暴走族と呼ばれるような非行の肯定的意図】
- 人からの関心を集め、承認欲求を満たす
- 結束した仲間がいるという魅力を得る
- 人とのつながりを得て安心できる
など
【病気と言われる症状の肯定的意図】
- 先生や看護師が丁寧に接してくれる
- 入院になると周囲が付き添いやお見舞いに来てくれる
- 人の親切な行為や愛情を感じることができる
- 周囲が自分のために動いてくれる環境が手に入る
など
病気の事例の場合は退院してしまうと、その親切な行為や愛情を感じられなくなるので、時間が経ったらまた「病気になる」「入院する」を引き起こしてしまう可能性があります。この状況は、自分でも自覚していないような深いところで、「肯定的意図」が働いているパターンと考えられています。
肯定的意図について
世界中で学ばれ、仕事や人生で結果を作る実践心理学と呼ばれているNLP(神経言語プログラミング)では、この隠れたポジティブな目的のことを「肯定的意図」と呼んでいます。「肯定的意図」とは、一見ネガティブな思考や行動の中には、それに見合う肯定的なメリットがあるという考え方です。
やる気が出ない状態が継続しているとしたら、そこには何かしらの肯定的な意図がある。
そのように考えてみてください。
例えば、何も手をつけないことで、「自分のペース」を手に入れたいのかもしれません。
また、やる気を出してしまうと自分が目立ってしまい、「出る杭は打たれる」といった言葉がありますが、人からの批判を恐れ、そのことを避けたいとあなたの無意識は思っているのかもしれません。この場合の肯定的意図は「平穏」や「平和」といった言葉で表されます。
さらに探っていくとやる気を出して張り切ってしまうと、他の人の活躍を奪ったり、人のコンプレックスを刺激して仲間を傷つけてしまったりすることを恐れている場合もあります。この場合でしたら、本来の目的は「調和やバランス」といったものを手に入れたいのかもしれません。
ネガティブな行動そのものに価値を見出しているわけでなく、隠れたポジティブな意図や目的があり、一度その行動から意図や目的を切り離すことが大切です。
【解決策】
2つのステップ【肯定的意図の発見・肯定的意図を満たす他のやり方を見つける】を活用してください。
「肯定的意図」は、無意識の中に隠れています。大切なポイントは、「肯定的意図」を「やる気を出さない」とは違う、他のやり方で埋めていくという発想です。早速試してみてください。
ステップ1:肯定的意図の発見
次の質問を自分にします。
「このやる気が出ない状態が続いていることで、手に入れようとしているものは何か?」
例)
安心、やすらぎなど
何度も何度も自問自答を繰り返し、無意識に隠された肯定的意図をあなたなりに見つけてください。
肯定的意図は、無意識の中にあります。ですから、リラックスして問いかけ、ふっと浮かんでくるあなたの声を手に入れてください。
ステップ2:肯定的意図を満たす他のやり方を見つける
ステップ1で出てきた肯定的意図を満たす、「やる気を出さないこと」以外の他の方法を見つけます。できるだけ簡単な方法が理想的です。
例)
ステップ1の、やる気が出ない状態で手に入るものが、「やすらぎ」や「安心」の場合。
- サロンに通う
- 自宅でアロマを焚く
など
これぐらいシンプルなことで大丈夫です。簡単にできる方法を見つけてください。
1-12.人生の方向性が見つからなくて、やる気がでない
生きる目的やビジョンやミッション、つまり人生の方向性がないことが原因で、やる気がでない場合があります。
迷子は、どこにいっていいか、誰に話していいかわからない状態で、ただただそこで泣き続けているばかりですね。大人の迷子は、歩くことはできていても、その一歩一歩に自信が持てず、「これでいいんだろうか」「これが私の生き方なんだろうか」と、一歩一歩踏み出すたびに虚無感を感じながら、不安の泥沼を歩いているような気分になります。
人生の方向性を持っている人は、自分軸を持ち、ブレることなく、その方向に向かって邁進します。もちろん、あなたと同じ人間ですから、いいこともあれば、悪いこともあります。
ただ、人生の方向性を持っている方は、一見「悪い」と思えるような状況を自分の成長の機会として捉え、逃げることなく、その出来事と向き合います。
逆境がチャンスになることを知識だけでなく、体験でも知っていますので、逆境の苦しさ以上のメリットや未来の可能性を想像して、一つ一つに取り組んでいく姿勢を持って成長していきます。
【解決策】
あなたの生きる意味や方向性を見つける。
以下の問いかけを自分にします。
- 本当はどんな自分になりたいか
- 本当はどんな家族や家庭にしたいか
- 本当はどんな職場にしたいか
- 本当はどんな社会にしたいか
- 本当はどんな人生にしたいか
常にこの問いかけを持ちながら、探求してください。
2.健康状態が原因になってやる気が出ない3つのパターン
健康状態が原因になって、やる気が出ないことがあります。
ここでご紹介しておきたいのが、やる気やモチベーションの分野で、定番として認知されているものの一つ、マズローの5段階欲求説です。
私たちの欲求をピラミッド型で表したとき、土台となるのは本能的な生理的欲求です。
そこから順に、図のように上に向かっていきます。
この説の大切なポイントは、低層の欲求が満たされて初めて、上の層を目指すようになるというものです。
これまでは生理的欲求が満たされた上での、やる気が出ない原因に触れてきましたので、ここからは、その土台となる生理的欲求に影響をおよぼす健康状態についてご紹介します。
2-1.睡眠が不足してやる気が出ない
睡眠時間が少なく休養不足になると、思考の質やスピードが低下するだけでなく、体内のリズムも狂ってきて、あなたがやる気を出そうとしても、出す気力がなくなっていきます。
すでにあなたも経験しているかもしれませんが、ミスが増え、イライラも増えます。睡眠が十分に取れていれば、やる気を出そうと思わなくても自然にやる気が出ている状態になります。
【解決策】
上質な睡眠のために以下のことを実践してみましょう。
- 枕や布団を快適なものにする
- 決まった時間に起きるようにする
- 就寝前の90分から2時間前にお風呂に入っておく
- 就寝前にアロマやBGMでリラックスできる状態を作る
- 就寝前にコップ一杯の水を摂る
- 一人で寝る(家族やペットと一緒だとどうしても深い眠りの妨げになります)
- 昼寝は20分以内に抑える(それ以上になると、夜の睡眠に影響が出ます)
2-2.運動不足が原因でやる気が出ない
運動不足が原因で、身体のめぐりが悪く、やる気が出ない状態を引き起こすことがあります。
適度な運動は身体のめぐりを良くし、安定した私たちの生理的欲求には大切です。運動不足、また逆に過多な運動は、健全な健康状態を作れません。
もしあなたのやる気がなかなか出なかったり、出ない状態が続いているのであれば、以下の対策を取り組んでください。
【解決策】
専門家にアドバイスをもらう。
健康診断を受けている方は、その関連でサポートを受けられるサービスが多々あります。
そして、「話題になっているから」といった理由で、始めるのは危険な場合があります。
個人差というものが必ずありますので、医師や健康運動指導士といった専門家に相談してみてください。
あなたの状況と、あなたの生活スタイルに合ったアドバイスを得ることが出来るでしょう。
2-3.栄養状態が原因でやる気が出ない
安定したエネルギーの供給が行われないと、身体の栄養状態が悪くなり、やる気が出ません。
ここまでご紹介した睡眠や運動によって、あなたの健康状態は良くなっていきます。
そして、そこに安定したエネルギーの供給が行われなければ、やる気は出ません。エネルギーが供給されないと、停滞した思考を招き、注意散漫な状態になります。
栄養状態のバランスが悪くなると、車の燃料切れと同じで、いい車体やエンジンがあっても動かないよう、身体も思うように動きません。燃料となる栄養を摂ってください。
【解決策】
食事と健康状態の日記をつけ、自分にあった食事を見出し積極的に摂る。
これも運動と同じです。他の人の健康的な食事が、あなたに合うかはわかりません。
記録をつけてみると、食事の後に明晰だったのか、眠気が強かったのか?などで、消化にかかる負担などが見えてきます。
そして食べる時は、ゆっくり噛んで唾液と絡めるのが効率よく摂取する秘訣と言われています。気をつけてくださいね。
3.関係性が原因になってやる気が出ない3つのパターン
私たちは単一の存在ではなく、様々な周囲との関係性の中で存在しています。
季節や天災なども、私たちに影響を及ぼすことの一つですが、ここでは他との関係性で顕著なものをピックアップして、やる気がでない原因となる3つのパターンをご紹介します。
3-1.人との関係性が影響してやる気が出ない
人との関係性によって、やる気が出ないことがあります。例えば、ネガティブな思考の人や不健全な態度の人と一緒にいる場合、ポジティブで健全な心の状態は生まれにくいものです。
どんな良いお金でも、悪いお金や不正なお金の中に混じれば、悪い方に影響を受けやすくなるという「悪貨(あっか)は良貨(りょうか)を駆逐する」という諺があります。
残念ながら、人間関係もこれに近いところがあります。
【解決策】
ネガティブな影響を受けている可能性がある人と距離を置く。
不健全な人が周囲にいるのであれば、その人との関係を断ち切ることも場合によっては必要です。あなたの周囲の状況を見回して、もしそんな状態であれば、一度距離を置くことも選択肢の一つです。
3-2.物との関係性(物的環境)が影響してやる気が出ない
整理整頓ができていない状態の時は、あなたのやる気は奪われます。
物が溢れすぎると、結果を出すためのシンプルな思考や物事の処理の邪魔になります。
例えば、職場では書類やデータを探すことに時間を取られ、家の中では洗濯物がソファの上に出しっぱなしといった状態、あなたにも経験がないでしょうか。
ストレスの度合いや程度が少なくても、繰り返すことで、あなたのやる気が奪われ、時に怒りに変わり、無気力になってしまいます。つまりやる気が出ない状態です。
【解決策】
人との関係性の整理だけでなく、物的な環境の整理もおすすめします。
多くのクライアントをサポートしてきたプロのカウンセラーの言葉です。
「問題を抱え、悩みを多く抱える人の部屋は、整理整頓がされていない」
やる気が出ない原因がモノとの関係にあるということも知っておいてください。
ちなみに「整理整頓」は、「整理」が捨てるものを決めること。「整頓」が残したものの置き場を決めることです。使っていなければ捨て、整頓を促進し、本来のやる気を取り戻してください。
3-3.全体のバランスが影響してやる気が出ない
私たちの人生は、関わる複数の分野と相互に影響を受けていますので、そこのバランスが崩れているのが原因で、やる気が出ないということがあります。
具体的には、以下のような分野のバランスで成り立っています。
- 仕事
- 家庭(親との関係、配偶者との関係、子どもとの関係、親戚関係を含む)
- 趣味や教養
- 人間関係、
- お金/経済
- 健康など
【解決策】
何かに対してやる気が出ない時、他の分野で問題が生じていないか、補うところはないかを確認してください。あなたのやる気が停滞しているときは、他の分野でもっと補うところは何かを見ていく必要があります。
もちろん得意なところを伸ばすという考え方も一つですが、ここでは、不足している分野を補うことで、人生の総合点は上がるという考え方をおすすめします。
例)
10点満点で「仕事分野」「家族分野」「健康分野」と3つの分野を点数で表してみましょう。
- ①仕事分野:7点、家族分野:5点、健康分野:3点
- 相互に関係しているので掛け算で表すと以下のようになります。
仕事分野7点 ☓ 家族分野5点 ☓ 健康分野3点 = 105点
【合計105点】 - ②得意分野を高めた場合。
仕事分野の7点のところを2ポイント上げて「9」点にし、他の分野は変えずに計算すると以下のようになります。 - 仕事分野9点 ☓ 家族分野5点 ☓ 健康分野3点 =135点
【合計135点】 - ③点数が低い分野を高めた場合。
健康分野を2ポイント上げて「5」点で計算すると、以下のようになります。 - 仕事分野7点 ☓ 家族分野5点 ☓ 健康分野5点 = 175点
【合計175点】
135点と175点。
同じ補うところでも、点数が低いところを上げることで、あなたが人生で手に入れる全体の点数は高くなります。人や物との関係だけでなく、他の分野との関係性で、あなたのやる気を取り戻してください。
4.まとめ
あなたのやる気が出ない原因は18のパターンのうちのどれに当てはまったでしょうか。
一つだけでなく、複数のパターンが組み合わさっていることもあります。
大切なのは、自分がそのパターンにはまっていることに気づき、
そして自分がそこから抜け出すために、心理状態をコントロールする方法を学んでいくことです。
今日ご紹介した解決策の多くは、心理状態を切り替えるための方法で、
NLPという心理学を中心としています。
NLPは、「自分とのコミュニケーション」というテーマも扱いますから、
自分の心理面をより良くコントロールしていくことができるようになります。
自分のここが弱いなあ、という課題が見つかっている方や、
もっと自分を成長させていきたいと感じている方は、ぜひ取り入れていかれることをオススメします。
多くのビジネスマンが自分の精神面を高めていくためにNLPを学んでいます。