2050年
AIによって「現在ある職業の47%はなくなる」
世界中に衝撃を与えた論文「雇用の未来」で、オックスフォード大学教授のマイケル・オズボーン氏はこのように発表しました。
2030年以降には、さらなる通信技術の発達や、長距離をより短時間で移動できる乗り物の登場により、世界はさらに狭くなってくると言われています。
そして、生まれや育ちの違う様々な価値観の人とのビジネスや交流がさらに加速され、うまくコミュニケーションをとっていくことが求められてくるのです。2022年の今、急速に世界との距離が縮まっていることを実感している方も多いでしょう。
この記事では、このような「これから必要なスキル」をどのように身に着けて、鍛えていくかについて話を進めていきます。
1.オックスフォード大学が発表した、「2030年に必要なスキル」
オックスフォード大学のマイケル・オズボーン氏が発表した
2030年に必要なスキルTOP10がこちらです。
1位 | 戦略的学習力 |
2位 | 心理学 |
3位 | 指導力 |
4位 | 社会的洞察力 |
5位 | 社会学・人類学 |
6位 | 教育学 |
7位 | 協調性 |
8位 | 独創性 |
9位 | 発想の豊かさ |
10位 | アクティブラーニング |
出典:The Future of Skills:Employment in 2030
それでは、次章からそれぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
2.2030年に必要なスキル【1位 戦略的学習力】
1位の戦略的学習力とは「何をどのように学ぶか」ということです。
これは、2位以下のスキルをどのように学んでいくのか?という戦略のベースになる要素のため、この章で詳しく考えていきたいと思います。
冒頭でもお伝えしたように、飛躍的な通信技術等の向上により、世界はさらに狭くなっていき、生まれや育ちの違う様々な価値観の人とのコミュニケーションをとっていくことが求められてきます。
併せて、人生100年時代と言われる現代。医療の発達によって寿命がさらに長くなる未来がすぐそこまで来ていると言われています。大人の学び直しも推奨されるようになってきました。
そこで、今まで以上に重要になってくることが「どのように生きていくのか」ということであり、そのために「何を学ぶのか」という自分自身に対する「問い」になってきます。
「より長い人生を豊かにするために、何を学び、人生に活かしていくのか」
生きる時間が増えるということは、人生をより豊かにするための、様々な機会が増えるということ。
そして学ぶことで、物質的にも、精神的にも貧しい生き方を避けることにも繋がるのです。
この戦略的学習力の3つの観点「1.何を学ぶか 2.どのように学ぶか 3.どこで学ぶか」を見ていきましょう。
1.何を学ぶか |
「何を学ぶか」。言い換えれば「何を選択するのか」ということです。 そして、後悔しない選択をするために大切なことは、自分にとって人生で何が大切なのか。自分自身の価値観を明確にするということです。 大切なことを明確にする方法の1つとして、「書き出す」という方法が有効です。 そして、重要と思える順に並び替え、「自分が人生で大切にしているものは、1番が〇〇で、2番が□□で・・・」と声に出し、しっくりくるまで並び替えることで、人生で大切なものが見えてきます。 さらには、人生の目的や使命、ビジョンを書き出していくことで、「そのために必要な学びは何なのか?」と、選択することが可能となるのです。 |
2.どのように学ぶか |
「どのように学ぶか」についてですが、学びをより深く楽しくするためのコツは「一気に」「日常で活かす」「仲間を作る」です。 「一気に」とは、例えば英語の勉強です。日本では、小中学校から勉強しているが、「いつまで経っても話せないという人がほとんど」という現状があります。 一方、数カ月フィリピン等の英会話学校に行って一気に英語に触れることで、話せるようになったという話はよく聞きます。 他にも自動車の夏合宿もそうです。一気に学ぶので、短期間で運転技術が習得できる。ですので、学ぶときは、ある一定期間、集中するが効果的です。 そして次に、「それらの学びを日常で使う、意識的に実践すること」が大切になってきます。 学びだけで終わらせると、運転できないペーパードライバーのように知識だけ残り、運転できなくなり、実用的でなくなってしまう可能性が大きいのです。 さらには、もう一つ「共に学び刺激しあう、仲間の存在」も大切です。 内容が分からない時、お互いに教えあったり、学んだ内容をなかなか実践できない時、頑張っている仲間がいたりすることで、自分も頑張ろうと思えるのです。 そのために、学ぶときは出来るだけ本気の人がいるコミュニティーをお勧めします。 セミナーであれば、料金が相場に比べて、極端に低いところは避けましょう。ある程度高いところの方がそういった方が集まりやすい傾向にあります。 また、書籍で学ぶという方法もあります。おすすめは、まずは入門書を読んでみる。 そして、その分野を深く知りたいと思った時は、大きめの書店や、図書館に行き、学びたい分野の本を少なくとも、5・6冊まとめて手に入れて読むという方法です。 これらを読むことの利点は、同じことが書いてある部分は、大切であり、必ず知っておくべきことであると分かること。 そして、それ以外のことは、+αの知識として知っておくことで、周りの人に比べても、より詳しくなることができるのです。 |
3.どこで学ぶか、誰から学ぶか |
「どこで学ぶか」「誰から学ぶか」も重要です。皆さんも学生の時、信頼できる先生や、内容が面白いと感じる授業は、自ずと学びが進んだという経験が少なからずあるのではないでしょうか。 とくにセミナーのような場所で学ぶときは、WEB等で事前に企業団体、講師について調べることです。 また、学びたい内容について、体験講座等を行っているのであれば、まずは体験講座を受講することでその企業や講師の質を肌で感じることができます。 いいスクールは、WEBページで担当講師が分かっていることがあげられます。担当講師が記載されていなかったり、沢山の講師が並んでいるだけだったりするサイトの場合、注意が必要です。 また、書籍であれば、朝活の読書グループに参加することや、ともに高め合える友人たちと読書会を行うことも有効です。 |
3.2030年に必要なスキル【2位~10位】
それでは、戦略的学習力をベースに、2位以降を見ていきましょう。
【2位 心理学】
心理学とは、人間の心の動きと行動のメカニズムを科学的に研究する学問です。
そこで大切になってくるのは、2つの観点です。
1つ目は「相手の心理を理解し、人に影響を与え、人を動かす」ということ。
さらに重要な2つ目が「自分自身の心理を理解し、感情をコントロールする力を身に着ける」ということです。その結果、ネガティブな自分のパターンを手放し、目標達成能力を上げることができます。
実は、人を動かすために何より大切なことは、まずは自分自身を知り、現在うまくいっていなかったり、自分を止めてしまったりしている原因と向き合うこと。
自分が問題だと感じることは、実は自分の中にある問題を相手や世の中を通して見ているにすぎないことがほとんどです。
そのため、大切なのは、自分の中にあるその原因を手放したり、機能するように変容させることです。
つまり、自分が変わることで、相手が変わり、周りの世界の見え方、聞こえ方、感じ方までもが変わっていきます。そうなることで、生きやすくなります。
その上で、人に影響力を及ぼす言葉を学び実践することで、人の心を掌握することも可能となっていくのです。
<心理学スキルを学ぶ方法>
「2030年に必要なスキル」のうち、第1位の戦略的学習力を学習方法と考えると、何を学ぶかという意味では第2位の心理学は最も重要なスキルと考えることができます。
相手の心理を知り、自分のことを理解して、コミュニケーション力をあげることは、どんなにAIが発達しても「人」がいる限り、すべての活動の基本となっているからです。
これらのスキルを総合的に学ぶには、心理学NLPトレーナーとして、心理学NLPをお勧めします。
私は、NLPを学んで学習塾での指導や運営にNLPを使ってきました。
相手の心理を理解し、言葉によって大きな影響を与え、人を動かす。そして、目標達成しやすい自分や、メンタルを鍛える、ぶれない自分を手に入れる要素がNLPには詰まっているのです。
【3位 指導力】
指導力とは、「こちらの意図通りに相手に伝わり、相手が行動できるようにする力のこと」です。
例え年齢や、生まれた国・文化が違っても、自分が伝えたい意図がズレることなく相手に伝わり、相手が行動できるようになる。
ここで大切なことは、相手の立場に立ってみるということです。
相手の力量に合わせて、わかりやすく伝えることや、相手の力量が高ければ仕事であれば任せてみるといった、見極める能力も必要になってきます。
<指導力スキルを学ぶ方法>
指導力スキルを学び、高める方法として、近年コーチングがとても有効とされています。
なぜなら、教えるティーチングに対して、コーチングは相手の能力を引き出す方法として、指導力に幅が広かるからです。
【4位 社会的洞察力】
社会的洞察力とは人や組織、そして自分自身を観察し、「どのように働きかけることで組織や集団が上手く回り、自分自身が心地よい居場所を作れるか」という力になります。
つまり、自分を含めた人や状況を客観的に見ることが必要であり、どのように発言し行動することで、どのような結果になるかという想像力も必要になってきます。
<社会的洞察力を学ぶ方法>
社会的洞察力を学び、高めるためには、物事を客観的に見れるようにすることです。そのためには、普段考えていることを紙に書いてみたり、
上手くいっていない事象ほど、自分が全く利害関係のない第三者だったとしたら、どのように見えるのか、聞こえるのか、感じるのか、とことん想像してみたりすることが有効です。
その行動を続けていると何が起こるのか。ポジティブなこと、ネガティブなことを想像し、紙に書き出すことで気づきが増えてくるのです。
また、客観的な立場に立つ有効な方法として、心理学NLPのポジションチェンジというやり方が役に立ちます。
私たちは幼いころから「相手の立場に立ちなさい」と、どこかで言われたことがあるのではないでしょうか。
ですが、具体的にそのやり方まで教えて貰ったことはあまりないのではないかと思います。その具体的な、効果的なやり方があるのが、心理学NLPです。
【5位 社会学・人類学】
社会学・人類学はどちらも、「人間の行動を研究する」という共通点を持つ、近代に誕生した学問です。
その違いは、社会学は私たちが生きる現代社会をより良く生きるための研究や、問題点を解決するといった学問であり、
人と人が集まったときの、人間同士の関係や、そこで生まれる組織の構造等を研究していきます。
一方、人類学は、集団や地域社会の文化を詳しく調べ、文化の違いや多様性を研究するという学問です。また、人類学はいくつかに分かれますが、一般的には、文化人類学のことを指すことが多いです。
<社会学・人類学を学ぶ方法>
社会学、人類学を学ぶときには、書籍がお勧めです。
【6位 教育学】
教育学は、人に知識や教養を教えたり、人の能力開発を総合的に研究したりする学問です。
一般的には、学校教育の印象がありますが、企業での人材教育やキャリヤ教育、家庭内教育なども研究対象になります。
そして、心理学、社会学など教育を取り巻く関連科目と併せて高レベルでの考察を行い、研究結果をまとめていくことを行います。
<教育学を学ぶ方法>
教育学を学ぶときには、書籍がお勧めです。
【7位 協調性】
協調性とは、「周囲とバランスを取りながらコミュニケーションをとる力」のことです。
「協調性=相手に合わせること」とも言えますが、時に「相手に合わせるだけでは、自身の伝えたいことを言わない」といった、ネガティブな側面が見え隠れすることがあります。
結果、ストレスが溜まったり、自分だけが一方的に我慢したりといったことが起こります。これは、バランスが取れているとは言いません。
自分が伝えたいこともしっかりと伝えながら、相手の意見も尊重し、信頼関係を築きながら、よりよいものを模索していく。そのような能力が必要となるのです。
<協調性を学ぶ方法>
協調性を学び、高めるためには、コミュニケーション能力を総合的に学ぶことが有効です。
書籍で読むよりは、実際に人が集まるセミナーでワークをしながら、練習していくことをお勧めします。
コミュニケーションを学ぶことで、協調性が生まれ、「相手に心地よい」と思ってもらえたり、「この人と一緒にいたい、この人の影響を受けたい」と思ってもらえ、人を惹きつける人にまでなることができるのです。
さらには、リーダーシップ力の向上等、ビジネス等で役立つコミュニケーションを身に着けることができるのです。
【8位 独創性】
独創性とは、一般的な固定概念、いわゆる「普通こうだよね」といったものに縛られない、その人オリジナルの考え方や物事の捉え方と言われます。
そしてこれは、「物事にどれだけ興味を持てるのか」という好奇心が大きく関わっています。
例えば何か1つの分野に徹底的にこだわることで、その人にしかできない独創性を持つことができます。
好奇心は本来、誰もがもっているものですが、成長とともに、自分が何に興味があるかというったことさえ、忘れてしまう人が多いのが現状です。
<独創性を学ぶ方法>
独創性を学び、高めるためには、改めて目の前のことにあえて興味を持って取り組んでみることです。目の前のことに「私は興味がある」と口で言うだけでも、違ってきます。
また、自分が過去に興味を持っていたものや、好きなことを、改めてとことんやってみること。
それは、キュレーションという考え方に、繋がっていくからです。キュレーションとは、全く関係ない2つのことを関連付けて、新たな価値を生み出すことです。
有名なところでは、ウォークマン+携帯電話=iPhoneといったものです。
「自分がとことん興味をもったもの」+「他の何か」により、化学反応が起き、新たな独創的なアイデアが生まれるのです。
そのことを学ぶ参考資料として「アイデアの作り方」という書籍を紹介します。
【9位 発想の豊かさ】
発想の豊かさとは、「自分自身を制限しているものの見方、とらえ方といったものを外し、物事を多角的に捉え、再構築したりする能力のこと」です。
うまくいっていない時、例えばそれは「成功体験という過去にとらわれているのか」または、「自分の思い込みである主観に囚われていて、客観性がないのか」等、それらに気づくことが大切です。
<発想の豊かさを学ぶ方法>
発想の豊かさを学び、高める1つの方法として、心理学NLPの「T.O.T.Eモデル」という考え方が役に立ちます。
うまくいっていない時は、何かに囚われ、思考や体までもが、ガチガチに固まっています。そして、それさえにも気づいていないことが多いです。
そこで大切なことは、まずは深呼吸して身動きが取れない、固まっている自分に気づくこと。そして、「もっとうまくいく方法はないか」「必ずあるはず」と自身に問いかけ、柔軟に考え、試していくことです。
【10位 アクティブラーニング】
アクティブラーニングとは、能動的な学習のことです。
講義や映像を一方的に、聞いたり見たりする受動的学習に対して、グループでのディスカッションや、実際に体験をして五感を通して学んだり、知識を人に教えることです。
そのような学びをすることで、より深い気づきや学びを得たり、答えの決まっていないことに対して、自分なりの答えを見出していく力を身に着けたりすることができるのです。
<アクティブラーニングを学ぶ方法>
アクティブラーニングを効果的に学ぶ(行う)方法として、例えばセミナーを選ぶとき、ワークや、ディスカッションといった体験内容が多い講座を受講することが有効です。
また、自身が得た知識やスキルを家族や友人にシェアすることだけでも、わかっていること、わかっていないことが明確になり、学びが深まります。
他にも、本1冊読むについても、読書会のようなものを開き、その内容に対してお互いにわからないところを教え合い、得た気づきを伝え合うことで、学びが変わってきます。
可能であれば、同じ学びをしている仲間同士日常での実践をオンライン上や、直接会い、うまくいったこと、いかなかったことを共有します。
そうすることで、お互いの学びになったり、上手くいく方法をみんなで考えることができたりするのです。
一方、以上のようなことが「わかっているけど、人と話すことに抵抗がある。」「人に教えることがどうも苦手であり、抵抗を感じる。」という場合、
これらは、直ぐに変えようとしても長年の癖みたいなものなので、なかなか変えるのが難しく、本気でこれらを変えたいと思ったら、自分の内面の根本から変化させることが大切です。
そこで役に立つのが、心理学NLPです。「その癖の根本」つまり、自分が何故そのような行動をとってしまうかを浮き彫りにし、自身の望ましい状態に変化させる具体的なやり方があるからです。
4.まとめ
「2030年に必要なスキル」について、オックスフォードが発表した2030年に必要なスキルTOP10を見てきました。
TOP10が示していることは、これからの未来、より豊かで生きやすい人生を自分自身で切り開いていく力が必要不可欠であり、
そのためにまずは「何を学ぶかを決め、どのように学ぶかという、戦略的学習力(1位)」が必要ということでした。コロナ禍を経て、加速する変化に対応するためにも、これらの重要性は増しているでしょう。
人生100年時代と言われる現代。生きる時間が増えるこれからの時代、これらのスキルを学ぶことで、物質的にも、精神的にも貧しい生き方を避け、豊かな人生を送ることができるようになるのです。
この記事が皆さんにとって少しでも豊かな人生を送る手助けになれば、嬉しい限りです。