「プレゼンを制する者は、ビジネスを制する」と言われます。
会議やセールス、また上司への提案や部下の教育と、社内外問わずさまざまな場面でプレゼンが行われ、そしてそのプレゼンであなたの評価は決まっていきます。
もしあなたが、
- 相手の「心に刺さる」プレゼンができるようになりたい
- 一発で決済が下りるような提案ができるようになりたい
- 影響力や説得力を高め、自分の実力や評価を高めていきたい
そんな思いがあれば、ここでご紹介する書籍や内容は、効果的にお役立ていただけます。
ところで、以下は何の数字だと思いますか?
2,352
実はこの数字、amazonのプレゼンテーションに関する書籍の検索数、つまり出版されている本の数です。(2017年10月12日現在)
登録されていない本、または翻訳されていない書籍を合わせれば、この数以上の本が世の中には存在します。
あなたが「伝わるプレゼン」を本から学ぼうとするとき、これだけの本の中から良書を選ぶのは至難の業です。
そこでこの記事では、これまでに企業や自治体、また個人を対象に、海外も含めパブリックな講演や研修を5,600回以上にわたって経験してきた筆者の観点をベースに、
コンサルタントや業界のトップセールスやマネージャー、また講師業を行う「話し方のプロ」「説得のプロ」「セールスのプロ」たちに取材をし、プレゼンが学べるおすすめ本6冊を厳選しました。
私自身、人前に立つプレゼンだけでなく、その前段階となる、コンサルティングやセールスも行ってきました。そういったプロセスも含めると、1万回は既に超えていると思います。
まだまだ「道の途中」ですが、そういった活動の中で、わかったことがあります。
それはプレゼンの秘訣は、以下の4つのテーマが必要であるということです。その4つとは、
- プレゼンの構成
- 話し方や見せ方
- 言葉の使い方
- 心理学的な知識
今回の記事では、以上4つについてのポイントを深く、また「実践的に」学べる書籍に絞りました。
何よりもそのプレゼンの目的が大事になってきますが、ここでご紹介する6冊から、聞き手の心をわしづかみにするヒントを手に入れてください。
著者:足達 大和 全米NLP協会公認・NLPトレーナー | |
当サイト「Life&Mind」の運営元である「NLP-JAPAN ラーニング・センター」の専属トレーナー。5,600回以上という圧倒的な回数の研修実績を持つ。 NLP-JAPANラーニング・センターとは、日本最大手の「NLP総合スクール」で、NLP業界の世界5大組織と連携。日本で唯一、NLPの基礎から大学院レベルまでの学びを提供している日本最高峰のNLPトレーニング機関。 |
目次
1.プレゼンの構成が学べる書籍3冊
- 表面的な話で、要点やメッセージが伝わってこない
- 話がガチャガチャとややこしい
- 主張も根拠も見えてこない
あなたは、こんなプレゼンを聞かされたことはありませんか。
話す人がエネルギッシュで、ノリノリで話していても、こんなプレゼンをされたら時間のムダですし、仕事ができないという評価をもらうのがオチです。
逆に「主張と根拠が論理的で、メリットやベネフィットがしっかり伝わり、何をすればわかりやすい」プレゼンもあります。この差は何でしょうか?
その1つに「プレゼンの構成」が挙げられます。骨子です。
ここではあなたのプレゼンが論理的であり、わかりやすく、説得力を増す「構成」に関する本を3冊ご紹介します。
1-1.戦略的にプレゼン内容を構成する1冊!
あなたのプレゼンのシナリオやストーリーをつくる際の細やかな内容が記されている1冊です。
研修やセミナーを中心に活動している私ですが、コンサルティングな提案をするときには必ず活用する書籍です。
この本は、論理的な構成を学ぶにとどまらず、プレゼンの目標や目的の設定、聴衆を分析すること、決定者を招集することなど、ただ話の内容づくりのための本ではなく、
意思決定に必要な内容も盛り込まれているのがうれしいポイントです。
聴き手の巻き込み方、非言語の使い方、スライド作成のポイントといった点にも触れていて、最後には以下の項目についてのワークシートが付いています。
- プレゼンテーション戦略立案シート
- 聴き手分析シート
- 目的分析シート
- シナリオ作成シート(イントロダクション・ボディ・コンクルージョン)
- インタラクション(意見交換)準備シート
書き出していけば、そのままプレゼンの流れができるワークシート付きです。
手元に1冊は置いておきたい、その1冊は、
1-2.「論理的」「ロジカル」を机上の空論で終わらせない実践できる1冊
論理的に考え、問題が解決できても、それを相手にうまく伝えなければ意味がありません。
また、プレゼンがうまくできても、話す中身がなければ意味がありません。
この本は、「正しく考えること」と、「正しく伝えること」の両方を強化するために、あるストーリーと共に展開されていく構成で、論理的に何が重要かを学べるユニークな内容になっています。
この本の中では、「提案」という言葉でプレゼンテーションのノウハウが書かれていますが、
論理思考力や仮説検証力、会議設計力と、人によってはとっつきにくいコンテンツを、このストーリーの仕掛けによって理解しやすく書かれています。
プレゼンだけでなく、会議を促進するファシリテーションのスキルも磨ける内容で、私自身も何度も立ち返り、活用してきた本です。
この本に関心をもったのは、私自身がアマゾンの「著者のコメント」と同様の疑問をもっていたからでした。その疑問とは、
昨今、いろんな場面で「論理思考」の重要性が説かれているが、「欧米コンセプトの受け売り」の域を出た書籍を私は見たことが無い。「まずピラミッドで考える」「ロジックツリーを作る」「MECEを作る」…手を変え品を変え、だいたいどの書籍も書いてあることは同じだ。
外資系の戦略コンサルティング会社で働いていた私にとって、欧米流の論理思考も十分に理解は出来る。しかし日本に生まれ育った私には、やはり「日本的な論理思考」とでも言おうか、「欧米流ではない」ものの考え方の方が、日本の会社にはしっくり来る気がしてならない。そして現在、事業会社の経営企画部員としてビジネスの現場で働く中で、日々それを実感している。
伝わらない自己満足に陥りやすいロジカルプレゼンを、あなた自身の説得の武器にしたい方にはおすすめです。
※今回はプレゼンに関する本について言及しているので、論理思考そのものの本は割愛しました。もし論理思考そのものを知りたい方は、「ロジカル・シンキング」東洋経済 照屋 華子/岡田 恵子(著)、
または定番と言われる「考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」 ダイヤモンド社 バーバラ ミント(著)、この二冊の本はおすすめです。
1-3.仕事だけでなくあらゆる場面で活用できる「話の順番」が意識できる1冊
おもしろい、そして悔しい!
これは私がこの本に出会い、読み進めはじめた段階で、その着眼点に嫉妬すら感じた書籍です。
著者はコピーライターであり、そして作詞家でもある、まさに言葉を本業にしている方ですが、
この本では仕事だけでなく、プライベートでも「わかってもらいたいこと」「やってほしいこと」を伝える力が増してきます。
構成とは、表現を変えれば「話の順番」のことです。
そして、テンプレートです。
「何を」「どの順番」で伝えていくか。この本を伝え方のテンプレートとしてみていくと、構成力だけでなく、説得力も増していくことと思います。
内容としては、「イエス」に変える「7つの切り口」として、
- 「相手の好きなこと」
- 「嫌いなことの回避」
- 「選択の自由」
- 「認められたい欲」
- 「あなた限定」
- 「チームワーク化」
- 「感謝」
また「強いコトバ」をつくる5つの技術として
- サプライズ法 ──── 超カンタンだけど、プロも使っている技術
- ギャップ法 ───── オバマ氏、村上春樹氏も使う、心を動かす技術
- 赤裸裸法 ────── あなたのコトバを、プロが書いたように変える技術
- リピート法 ───── 相手の記憶にすりこみ、感情をのせる技術
- クライマックス法 ── 寝ている人も目をさます、強烈なメッセージ技術
このようにプレゼンで重要な見出しの「キャッチ」にも工夫されているのがわかります。
プレゼン初心者はもちろん、中級以上の方でも自分のコンテクストにあてはめなおし、プレゼン力に磨きをかけられる大ヒットした本です。
2.内容の話し方や見せ方が学べる本
構成が決まり、話す順番ができあがったあなたが聞き手に対し、暗い声で話をするのか、それとも情熱を込めた声で話をするのかでは、プレゼンの評価に当然違いが生まれます。
スーツを着てプレゼンをするのか、カジュアルな服装でプレゼンをするのか、といった見た目からも印象が異なります。
つまり「非言語の領域」をいかにうまく活用するか、これが説得力を増すプレゼンの秘訣になります。
ここでは、話す内容を効果的にする「話し方」「見せ方」といった非言語アプローチが学べる書籍を1冊ご紹介します。
非言語とは、身振り手振りといったボディランゲージや目の使い方などがそうで、これらを有効に活用することによって、あなたの主張やメッセージを効果的に相手に伝えることができます。
政治家も活用するスキルで、これを行うだけでもあなたのプレゼンにおける「説得力」の向上につながります。
2-1.何を話すかではなく、どのように話すか。非言語に関する必読の1冊
著者は国内におけるプレゼンテーション研修のカリスマと呼ばれる方で、この方の研修で何人もの方々がプレゼン上達に成功されています。
「何を話すか」も大事ですが、「どのように話すか」。
この部分がもっとも多く書かれている点でこの本を選びました。
目次ごとに学べる内容で、私自身も活用し、国内や海外で通用するノウハウであることを実感しています。少しご紹介すると、
●話し方としては、
- 大勢の前でも一対一で対話するように話す
- 言葉で絵を描くように話す
- 1つの文章を短くして、たたみかけるように話す
- プレゼンの最初はまず1番後ろの人に話しかける
- ワンセンテンス・ワンパーソンで説得力を増す
●手や体、そして目の使い方に関しては、
- 身振り、手振り、表情で気持ちを伝える
- プレゼンテーションの最中は常に聴衆の誰かの目を見る
- 手は視覚物と考えて大きく使う
●ビジュアル(ホワイトボードやスライド)の活用法としては、
- プロジェクターのうまい使い方「ブラックアウト」
- 前のスライドをスマートに出す
- 展示物や視覚物の使い方
- 板書は小さな字を羅列しない
- 文字を書きながら話さない
●その他の活用法として、
- 部屋の机の並べ方を目的によって変える
- 部屋のサイズによって対処法を変える
- 演壇の使い方とマイクの使い方もプロの手法を身につける
など、この他「質問に対する対応」や「緊張状態を克服する」ノウハウに関しても書かれています。
私自身が学んだのは、今は絶版の「成功するプレゼンテーション」(日本経済新聞社)です。
そしてこれが元となって、現在出版されている本はこちらの書籍です。
後世にのこす「話し方」「見せ方」に関する1冊を選ぶとしたら、この本です。
3.言葉の使い方が学べるおすすめ本
ここでは言葉の使い方についてお伝えします。
人には情報をその人なりのフィルターによって処理する傾向があります。
例えば「歯磨きは何のためにしますか?」と4人の人に質問したとき、
以下のような答えが返ってきたとします。
Aさん:虫歯にならないため
Bさん:歯をキレイにするため
Cさん:口臭予防のため
Dさん:歯を白く美しくするため
この4人の答えは大きく二つに分けられます。
それは「〇〇を手に入れたい」という目的タイプ。
もう1つは「〇〇になりたくない」という回避タイプの答えです。
先ほどの4人の答えを2つのタイプに分けると以下のようになります。
【目的タイプ】
Bさん:歯をキレイにするため
Dさん:歯を白く美しくするため
【回避タイプ】
Aさん:虫歯にならないため
Cさん:口臭予防のため
情報を処理するそれぞれのタイプの傾向が見えてくるでしょうか。
このように、人は無意識に情報を自分のフィルターで処理する傾向があるため、その傾向に合わせた言葉を活用することによって、あなたのプレゼンはより効果的になります。
【目的タイプ】には、「得られる」「手に入る」「獲得できる」といった言葉をもちいて、
【回避タイプ】には、「避けられる」「防げる」「除外できる」といった言葉で伝えていくのが効果的なわけです。
こういった聞き手のタイプに合わせてプレゼンすることで、あなたの言葉に力をもたせることが可能です。
ここでは、より効率的な説得やセールスといったプレゼンが可能になる言葉の使い方に言及した本をご紹介します。
3-1.言葉の使い方が学べる1冊
先ほどご紹介したように、言葉の使い方で参考になるのが、実践的なコミュニケーションスキルと呼ばれるNLP(神経言語プログラミング)の「メタプログラム」という考え方です。
よりビジネスに活かせるように、現在ではLAB(ラブ)プロファイリングとして活用されています。
※LABプロファイリングの LAB は、Language and Behavior の頭文字をとったもので、
言葉(Language)と行動(Behavior)の関係性を分析したものです。
自動的に情報を処理するその人なりのフィルターには、14カテゴリーがあります。
【方向性】【主体性】【判断基準】【選択理由】【変化・相違】といったものです。
そのカテゴリーの中にはいくつかのタイプがあります。その一部をご紹介すると、
カテゴリー【方向性】
A:何かを得ようとすることでやる気が出る
B:何かを回避することに対してやる気が出る
カテゴリー【主体性】
A:すぐに行動する傾向がある
B:すぐに分析する傾向がある
カテゴリー【判断基準】
A:外部の情報やフィードバックでやる気が出る
B:内的な基準でやる気になる
カテゴリー【選択理由】
A:正しいやり方や手順が明確であることを好む
B:さまざまな可能性や選択肢があることを好む
カテゴリー【変化・相違】
A:ものごとが「同じである」ことに関心をもつ
B:ものごとが「進化する」ことに関心をもつ
C:ものごとが「革新される」ことに関心をもつ
といった項目があります。
こういったことを理解することで、あなたの言葉づかいをパワフルにしていくことが可能です。例えば【変化・相違】というカテゴリーにおいて、
同じことを好む保守的な人に「革新的な商品です」といっても、その人のフィルターには合わず、違和感や抵抗感をもったままあなたのプレゼンを聞いてしまうことになります。
こういったタイプの人に新商品や新たな提案をするときには、
「基本的に同じです。ここが進化しました」という表現を使います。
つまり同じことを意識できるような言葉を活用していきます。
また、相手がどちらのタイプかわからないときには、両方の言葉をもちいて伝えていきます。
卓越したプレゼンをするスピーカーの原稿をひもといていくと、実はこの「両方の口」と呼ばれるスキルが組み込まれています。
素晴らしいプレゼンをするスピーカーの一人としても知られる、故マンデラ氏は、自由についての演説で、先にご紹介した目的志向と問題回避の二つのタイプを取り込める言葉を使っています。
わかりやすいようにシンプルにしてお伝えすると以下のようなセリフです。
「生きる自由を手に入れよう!それはつまり、貧困からの脱却であり、束縛からの解放です!」
よく見るとわかりますが、
「生きる自由を手に入れて生きよう!」
これは手に入れることを目的にした表現です。一方、
「貧困からの脱却であり、束縛からの解放です!」
これは問題を回避することを刺激する言葉です。
このように、聴衆すら気づいていない無意識のフィルターに働きかけることで、あなたのプレゼンの影響力や説得力は異なります。
相手に対して、効率よく言葉を使って影響を与えたければこの1冊。
この学びは私の仕事観、そしてプレゼンの世界を大きく変えてくれました。
4.さらにあなたのプレゼン力を高める心理的アプローチを学べる本
最後にご紹介したいテーマは、よりあなたのプレゼン力に拍車をかけ、さらに質の高いプレゼンの糧にしていただきたい、人の心理に関する知識です。
心理学を学ぶということは、表現を変えると、
「人が動く理由」を知ることです。
人を動かすプレゼンをしたければ、その理由になる心理学を学ぶことは、決して無駄にはなりません。むしろ重要な学びです。
そして突然ですが、以下は何の数字かご存知でしょうか。
67,644
先にご紹介したとおり、この数字もアマゾンで検索した心理学に関する本の検索数です。
(2017年10月15日現在)
認知心理学、教育心理学、そして有名になってきたアドラー心理学と、心理学と言ってもいろんな分野が存在しています。
そのため、シンプルかつダイレクトにビジネスで効果を生み出す本に出会うこともまた、むずかしくなってきています。
そこでおすすめは、消費心理、購買心理といった分野を扱う本書です。ここでは、そんな1冊をご紹介します。
4-1.プレゼンに活用できる心理的アプローチをマスターするための1冊
あなたのビジネスに直結する「意思決定」に関するこの心理学の分野は、プレゼンのみならず、ビジネス全般における必須の学びと言えるでしょう。
この本の中には、人が何かを決める際の6つのポイントが、実験や実例とともに具体的に書かれています。雑学レベルの本ではなく、骨太な実用書です。その6つとは、
- 返報性
- コミットメントと一貫性
- 社会的証明
- 好 意
- 権 威
- 希少性
すでにある程度プレゼンをしてこられた方でしたら、
- 提案の「社会的証明」をどのようにすればいいか。
- 「好意」を示す話をどのように組み立てればいいか。
- 「権威性」と「希少性」を出すには、どのように話を進めていけばいいか。
- 「返報性」を活かすために、どのようなサンプルやお試し期間を設定するといいか。
など、キーワードだけでも、あなたのプレゼンに工夫ができるかと思います。
ビジネスにおける「人が動く理由」を知ることは、あなたのプレゼン力、ひいてはビジネス力をバージョンアップさせる大きな力になることでしょう。
全ビジネスパーソンにおすすめできる1冊です。
5.まとめ
効果的なプレゼンに必要なものは、「構成」「話し方・見せ方」「言葉の使い方」、そして「心理的な知識」です。
それら4つのテーマのポイントにも触れ、6冊の書籍もご紹介してきました。
この記事を書くにあたり、コンサルタントや業界のトップセールスやマネジャー、また講師業を行う「話し方のプロ」「説得のプロ」「セールスのプロ」たちに取材をし、私の経験を踏まえてご紹介した厳選6冊。
こちらの記事を活用することによって、ムダな時間を省き、短時間で成功するプレゼンを構築してください。
あなたのプレゼン力は確実に変化していくと確信しています。