NLP・心理学

アドラー心理学『嫌われる勇気』に学ぶ、人生と対人関係を変える方法

  • 「人は変われる、いつからでも、誰もが幸せになれる」
  • 「意味付けを変えれば未来は変えられる」

日本では、著書「嫌われる勇気」をきっかけに広く知られることになったアドラー心理学。アルフレッド・アドラー氏は上記の言葉をはじめ、様々な著書の中で「誰もが人生を変え、幸せになれる」と教えてくれます。

そのため、あなたが以下のようにお感じでしたら、「アドラー心理学」や「嫌われる勇気」は、人生や対人関係をより良くするきっかけにできます。

  • 人生をより良くしたい
  • 対人関係で悩んでいる
  • 自分を変えたい/自信が欲しい
  • コンプレックスに苦しんでいる
  • 自分が嫌い/自己否定している
  • 行動する勇気を持てない
  • 無能力・無価値感が強い

など

さらに、ありのままの自分を受け入れ、行動する勇気・幸せになる勇気を発揮することができ、幸せな状態を作る助けに繋がります。

そこでこの記事では「アドラー心理学」や「嫌われる勇気」の中から、アドラー心理学の特徴とされる下記3点について紹介します。

  • 原因論と目的論
  • :人は何かしらの目的に沿って生きている。

  • 人生を左右するライフスタイル(意味付け)
  • :「経験それ自体」ではなく、経験に与える意味によって自らを決定する。

  • 対人関係の悩みを解消する「対人関係論」
  • :どんな種類の悩みであれ、そこには必ず他者の影が存在する。

どれも仕事や人生、対人関係を変える大切な学びにしていただけます。この記事がお役に立てば嬉しく思います。

アドラー心理学について、全体像を知りたい方は下記の記事も併せてご覧ください

アドラー心理学とは?幸福に生きるための「考え方」をわかりやすく解説

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1.アドラー心理学の掲げる人生でクリアすべき課題と学ぶメリット

この章では、アドラー心理学の概要について紹介します。
アドラー心理学が掲げる人生の目標や、学ぶメリットがどのようなものかをまとめています。

1-1.人生の目標「ライフタスク」について

アドラー心理学では、人が幸せになるためにクリアすべき課題を挙げています。
それを「ライフタスク」と呼びます。

そして人生の目標は、これらをバランスよくクリアすることだとされています。

【アドラー心理学:ライフタスクとは】

  1. 仕事のタスク(ワークタスク)
    :仕事・家事・育児・学業など
  2. 交友のタスク(フレンドシップタスク)
    :友人・会社の人間関係など
  3. 愛のタスク(ラブタスク)
    :家族・親子・夫婦・異性関係など
  4. セルフタスク
    :趣味や健康など、自分自身に関すること
  5. スピリチュアルタスク
    :自然への畏敬・瞑想など

どれも人生や対人関係において、重要なテーマです。

(注):アドラーが提唱したライフタスクは、1番~3番になり、4・5番は、アドラーのお弟子さん達の研究により追加されています。

1-2.アドラー心理学を学ぶメリット

アドラー心理学や嫌われる勇気を通して、私達は様々なものを得ることができます。
ここでは、私自身が手にした成果を含めて紹介します。

  • 自己理解
  • :自分のことをどのような人間だと考えているか、どのような性格で、どんな思考・感情・行動の傾向パターンを持っているかを知ることができます。そして自己理解をすることは、他者の理解につながります。

  • 非建設的な行動・感情を変える
  • :「人の行動・感情には目的がある」という目的論から、自分の非建設的な行動・感情の目的を明確にできます。そして目的が明確になることで、建設的な行動を選べるます。

    さらに目的論で考えられるようになることで、「他者の行動・感情が持つ目的」に目を向けることができ、理解と共感を深めやすいです。それは他者への関わり方を建設的なものにし、対人関係を良好にすることへつながります。

  • ライフスタイルを選び直す
  • :ライフスタイルとは「狭義には性格」「広くすると、世界観や人生観(自分・世界・人生に対して、どんな意味付けをしているか)」ともいえます。

    もしも自分に対して不幸な意味付けをしていれば、不幸と感じるような経験を作ってしまいます。もしこのような「非建設的なライフスタイル」を持っていても「建設的なライフスタイル」を選び直すことができます。

  • コンプレックスを健全なものに変える
  • :「自分に価値を感じられない」「悲観的・否定的・卑屈になる」「自分を大きく見せる・自慢する」「非建設的な言動をとる」など、人生や対人関係に影響を与えるコンプレックスを健全な状態に変えることができます。

    それにより「他者との比較・争い・競争」ではなく、自分の理想に対して「自己を向上させる」こと、「私には能力がある」「人々は私の仲間である」という状態を作り出せます。これが人生や対人関係に建設的な影響を与えます。

  • 自己受容
  • :上記までに紹介したことを行うことで、「自分にできること」「自分にできないこと」を理解し、ありのままの自分を受け入れることができるようにしていきます。それがアドラー心理学でいう「他者信頼」「他者貢献」につながります。

  • 対人関係の悩みを解消する
  • :上記までに紹介したことや「課題を分離」などを通して、対人関係の悩み解消につながります。

※これらは、「アドラー心理学」や「嫌われる勇気」から得られるメリットの一部です。たくさんある中で、この記事にマッチした部分を取り上げています。

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2.人生や対人関係を変える「原因論と目的論」とは?

この章では、人生や対人関係をより良く変えていける「原因論」「目的論」について紹介します。

2-1.アドラー心理学「原因論と目的論」とは?

原因論と目的論の違いを知ることは、人生や対人関係をより良くすることに役立ちます。
まずは違いを見ていきましょう。

【原因論と目的論】

原因論

「原因には結果がある」という前提を持つのが「原因論」の考え方です。

そして以下のように考えます。

  • 過去の出来事が、現在の状況を作り出している
  • これまでの出来事が、未来を作り出す
  • 人の感情・行動・症状などは、過去を原因として生み出される

こうした「原因論」の例は以下の通りです。

  1. 仕事をしすぎて、体調を崩す
  2. 異性にフラれたショックで自信を失い、異性に対して行動する勇気を失う
  3. 何かしらの出来事(原因)があって、家に引きこもる/他者と自分を切り離す
  4. 「いつも帰りが遅い」という理由で、仕事帰りの夫に対して怒りをぶつける
目的論

「人は過去の原因に突き動かされるのではなく、自ら定めた目的に向かって動いていく」という前提を持つのが「目的論」の考え方です。

そして以下のように考えます。

  • 人間の行動には目的がある
  • 目的を達成するために、今の状況を作り出している
  • どんな人間にも究極目標がある(人より優れたい・完璧でありたい・安全を求めたいなど)

こうした「目的論」の例は以下の通りです。

  1. 体を休める、あるいは家族や愛のタスクを満たすために、体調を崩すなど、休養を取らざるを得なくなる
  2. 傷つきたくない、あるいは安全でいるために、行動しない選択をする
  3. 親の注目を集めたい、あるいは愛を感じるために、引きこもる
  4. 夫との愛やつながりを感じるために、怒りの感情を出す

他にも、著書「嫌われる勇気」の中では、目的論について、以下のような例えが出てきます。

「勇気を出さないのは、・・・(中略)・・・他者との関係で傷つかずに済むから。この目的のために短所を見つけ、自分を嫌いになり、対人関係に踏み出さない。そうやって殻に閉じこもれば、関わらなくて済み、拒絶された時の理由になる」

これがアドラー心理学の提唱する「人は過去に支配されず、何らかの目的があって、現在の状況をつくり出している」という目的論であり、原因論との違いです。

もしも問題行動の目的を知らないまま、原因論のみで考えると「非建設的な行動を取り続ける」ということになりかねません。実際に、自分を変えられないまま、何年・何十年と時間が経過するケースはたくさんあります。

そのため行動の目的を探り「目的に沿った建設的な行動」を考え、明確にして、選択し直すことが、人生や対人関係を変えるポイントです。

2-2.目的論の活用法とメリット

目的論を活用するポイントは、行動の持つ目的を明確にし「目的に沿った(目的に向かうための)別の行動を選択する」ことです。

その時に知っておきたいポイントは以下の通りです。

【目的を明確にするためにしておきたいこと】

  • 人間の行動には目的がある
  • 目的(目標)は連鎖している
  • (目的の目的を連鎖的に探っていくと、最終的に究極目標(目的)につながる)

そして以下のような質問を使うと、目的を明確にしやすいです。

【行動や感情の目的を明確にする質問】

  • 行動には、どんな目的があるか?
  • 目的(上記質問の答え)には、どんな目的があるか?
  • など

そして明確にした目的が、あなたにとって「非建設的」「間違っている」「適切ではない」という場合は、「目的に沿った別の行動」を見つけ、行動を選択し直しましょう。

このように目的を明確にして、目的に沿った別の行動を選び直すメリットは以下の通りです。

【目的を明確にし、目的に沿った行動を選択するメリット】

  1. 自分に対して
  2. 自分を知り、自分を受け入れやすくなる

    建設的な行動をとれるようになる

    など

  3. 他者に対して
  4. 相手を理解し、受け入れやすくなる

    相手の変化や行動をサポートしやすくなる

    など

※【補足:別の「建設的な行動を選択し直す」ために知っておきたいこと】

アドラー心理学は「人は変われる」ことを前提にしています。そのため、行動の目的を明確にしたら、別の行動を選択することができると考えます。

この時に「自分には無理だよ」と考える方もいるかも知れません。
しかしご安心ください。アドラー心理学の「自己決定性」では、人は自分の行動を決めることができると教えてくれます。

【自己決定性とは?】

「どんなハンデキャップを持って生まれようと、どんな状況・環境に置かれようと、それだけでは、その人の人生を決める決定的な要因にならない。それを受け止めた時に、建設的な行動をとるか、非建設的な行動をとるかは、自分自身が決められる」

このように「自分の人生は自分で決められる」という考え方が、アドラー心理学の「自己決定性」です。「出来事をどのように捉え、解釈し、受け止め、行動するかは、自分次第」ということですね。

状況・環境、過去の出来事が未来を決定づけるのではなく、「今この瞬間に、何を選択するかで、未来や手にする結果は変わる」ということです。常に今、この瞬間に行動を選択できるということですね。

あなたがもし、人生や対人関係で悩んだら、悩みを生み出す行動や感情が、「どんな目的を持っているか」を明確にしましょう。その上で、「今、望んでいる結果に向けた建設的な選択をする」ということがポイントです。

そしてもう一つ、以下も大切なポイントです。

【感情にも目的がある】

行動には目的があると表現してきましたが、感情にも目的があります。
もしも自分自身や他者に対して、感情的になり、非建設的な態度・行動をとりそうになったら、まずは「感情の持つ目的」を探りましょう。その上で、建設的な行動を選び直すことができます。

こうした感情との付き合い方も、人生や対人関係にとって、とても重要ですね。

3.人生に影響を与える「ライフスタイル」とは?

この章では「ライフスタイル」について紹介します。
ライフスタイルは、人生や対人関係へ大きな影響を与えているため、知っておきたい内容となっています。ぜひお役立てください。

3-1.アドラー心理学「ライフスタイル」とは?

アドラー心理学のライフスタイルとは、「自分や世界に対して、どのような意味付けをしているか?」であり、「人生のおける思考や行動の傾向(パターン)」とも言えます。

著書「嫌われる勇気」の中では、以下のように教えてくれています。

その人が「世界」をどう見ているか。また「自分」のことをどう見ているか。これらの意味付けを集約させた概念が、ライフスタイルだと考えてください。狭義的には性格とすることもできますし、もっと広く、その人の世界観や人生観まで含んだ言葉になります」

ここでいう世界観や人生観とは、下記3つをひっくるめたものです。

  • 自己概念:「私は◯◯である」
  • :私は必要とされている人間/いなくても良い人間 など
    :私は価値のある人間/無価値な人間 など

  • 世界像:「◯◯は△△である」
  • :仕事とは、自分を成長させるもの/苦痛なもの など
    :お金とは、人を幸せにする/不幸にする など

  • 自己理想:「私は◯◯であるべき」
  • :私は会社を引っ張っていくべき など
    :世界はもっと住みやすく、平和であるべき など

このように主観的な思い込みが、ライフスタイルです。

そしてライフスタイルは、諸説ありますが、10歳頃くらい迄に「これでいこう」と決心すると言われています。もちろん主観的な思い込みですので、事実ではなく、「勘違い・間違い・刷り込み・親や周囲の影響」など、様々な要因から作られています。

ではライフスタイルは、私達にどのような影響を与えるのでしょうか?
「嫌われる勇気」の中では、以下のように教えてくれています。

「われわれは、経験から学ぶのではない。自分のライフスタイルに合わせて、経験を作る」

例えば、自分・世界・自己理想に対して「不幸な意味付けをしていれば、不幸と感じるような経験を作り」「幸せな意味付けをすれば、幸せと感じるような経験を作る」ということです。

以下に具体例を見ていきましょう。

【ライフスタイルが作り出す経験の違い】

例えば、プロジェクトが思うように進まない状況を例に挙げましょう。

自分に対して「私は能力がある・私なら結果を出せる」と思っている人と、「私は能力がない・私には無理」と思っている人では、手にする結果に、どのような違いがあるのでしょうか。

  • 「私は能力がある・私なら結果を出せる」と思っている人
  • :結果を出せることを前提に考えるため、思うように行かない現状に、悲観的になることはありません。建設的な意味付けをし「常に目的に沿った建設的な行動を取る」「冷静に、客観的に状況を見る」「失敗を上手くいくために必要な経験だと考える」など、ライフスタイルにふさわしい経験を作り出します。

  • 「私は能力がないから無理/できない」と思っている人
  • :上手くいかないことが前提にあるため、思うように進まない状況に対して、非建設的な意味付けを行います。そして、「非建設的な行動を取る」「否定的・悲観的になる」「心理的に追い込まれる」など、ライフスタイルにふさわしい経験を作り出します。

このようにライフスタイル(意味付け)は、人生や対人関係に影響を与えています。そのため、非建設的なライフスタイルに気づいたら、建設的なライフスタイルを選び直すことが大切なポイントといえます。

3-2.「ライフスタイル」を変える方法とメリット

ライフスタイル(意味付け)を変える方法を見ていきましょう。

アドラー心理学では「ライフスタイルを変えるのは簡単ではない。けれど誰でも変えることができる」と教えてくれます。基本は、現在のライフスタイルを知り、別の選択を行うことです。そのために役立つポイントを紹介します。

3-2-1.自分のライフスタイルを知る

あなたが今、どのようなライフスタイルを持っているかを明確にしましょう。
「自分はこういうライフスタイルを持っているんだ」と知ることで、別のライフスタイルを選択し直すことができます。そのために以下を行いましょう。

【自分のライフスタイルを知る方法】

  1. 質問を使い、明確にする
  2. 自分をどのような人間だと思っているか?

    仕事・お金・他者・愛などを、どのように捉えているか?

    どんな理想像(私は、◯◯すべき・皆◯◯すべき など)を持っているか?

    周囲の人や他者から、どのように見られていると思っているか?

    など

  3. 対人関係を通して、自分を知る
  4. 人は「対人関係を通して、様々な感情を感じ、自分・相手・出来事に意味付けしている」と言えます。
    つまり対人関係を通した、ものの見方・捉え方を振り返ることで、あなたのライフスタイルを探ることができます。

    この作業を通して自分を客観的に捉えることができるため、主観や思い込みから抜け出し、別のライフスタイルを選択しやすいのです。

3-2-2.客観的な視点で見る

あなたのライフスタイルを客観的に見ましょう。
ライフスタイルを変えるためには、客観的な視点を持ち、主観的な思い込みから抜け出ることが重要です。

アドラー心理学では、以下のように教えてくれます。

「人はそれぞれ自分の心のメガネで物事を見て、受け止め、解釈している」
「人は程度の差はあれど、主観的で・歪んだものの見方をしている」

これを「認知論」といいます。

そして認知の歪みがひどい人ほど、「主観的な思い込み」や「強いコンプレックス」を持っているため、無意識に「問題行動」を起こしたり、「自分の殻に閉じこもる」などの状態を作ってしまいます。

そこで以下のような質問を使い、客観的な視点で、自分のライススタイルを捉え直しましょう。

【ライフスタイルを客観的に捉え直す質問】

  • 本当に?
  • それは誰が決めたの?
  • そう考えること(行動すること)のメリットは何ですか?

など

こうした質問は効果的で、事実ではない主観的な思い込みの存在に気づき、別の建設的なライフスタイルを選択する助けに繋がります。

3-2-3.目的を明確にする

ライフスタイルが持つ「目的」を明確にしましょう。

例えば、「私は愛される価値がない」という悲観的なライフスタイル(意味付け)を持っている場合、そこには「どんな目的があるのか?」を「目的論」を使って探ります。

例えば、以下のような目的があるかも知れません。

  • 傷つかないため
  • 安全でいるため
  • 周囲の注目を集めたい

など

このようにライフスタイルには目的があります。

さらに目的論の「どんな人間にも究極目標がある」という視点で見るなら、「私は愛される価値がない」と思うことの究極目標(目的)は、「幸せになる」「愛を感じる」「他者とつながる」ということかもしれません。

こうしたライフスタイルの持つ「目的」や「究極目標」を明確にするため、以下を行いましょう。

【目的や究極目標を明確にする質問】

  • ライフスタイルには、どんな目的があるか?
  • 目的(上記質問の答え)には、どんな目的があるか?

など

こうして目的や究極目標を探ることで、建設的なライフスタイルを選び直しができます。

3-2-4.自分の短所を長所に置き換える

自分の短所を長所に置き換えましょう。

例えば「私は飽きっぽい」と思っている人は、その通りの経験を作り出します。それが自分にとって非建設的だと思う場合は、変えていきたいですね。

この時「飽きっぽい」という主観的な思い込みを「別の言葉に置き換える」ことで、意味付けを変えることができます。例えば、「好奇心が強い」や「何かをやめる/始める決断力がある」などのように、別の言葉に置き換えることで、意味付けが変わります。

そのために行いたい質問の例が以下です。

【短所を長所に置き換える質問】

  • 短所を長所に置き換える(言い換える)と、どうなるか?
  • 短所の中にある良い面は何か?

など

そして、上記までに紹介した方法で、非建設的なライフスタイルを「建設的」なものに変えるメリットは以下の通りです。

【ライフスタイルを変えるメリット】

上記までに紹介した方法で、非建設的なライフスタイルを「建設的」なものに変えるメリットは以下の通りです。

  • 行動する勇気を持てる
  • ありのままの自分を認められる(自己受容できる)
  • 「非建設的な行動」を「建設的な行動」に変えられる
  • 不幸な意味付けを、幸せな意味付けに変えられる
  • コンプレックスを建設的な向上心に変えられる

など

どれも人生や対人関係において、どんな結果を手にし、経験をするかに影響を与えます。

4.対人関係の悩みを解消する「対人関係論」とは?

この章では、「対人関係論」について紹介します。
対人関係論は、非常に奥深いのですが、その中からまずは知ってほしい入り口の部分を紹介します 。

「対人関係の悩みを解消し、良好な人間関係を築く」ことに役立ちますので、ぜひご覧ください。

4-1.アドラー心理学「対人関係論」とは?

アドラー心理学の「対人関係論」では、「人の行動・感情は、いつも特定の誰かに向けられ、影響し合っている」と考えます。さらに「人の行動や感情は、相手との関係性で変わる」とも教えてくれます。

良好な人間関係を築く人ほど、「相手を信頼し、仲間だと考え、相手のために何を与えられるかを考える」傾向があります。その一方で、人間関係で悩み・ストレスを抱える人ほど、「他者と競争や対立をし、自分を大きく見せたり、卑屈になる」などの傾向があります。

このように、どんな対人関係にも相手が存在しています。

さらに「アドラー心理学の根底」に流れる、重要な考え方があります。

「すべての悩みは、対人関係の悩みである」

例えば、下記のように自分の内側での悩みに見えるものでも、すべて他者からの影響を受けています。

  • 孤独や寂しさを感じる
  • 行動する勇気を出せない
  • 自分を好きになれない(自分に価値を感じられない)
  • コンプレックスに悩む
  • 自分を大きく見せたり、卑屈になる
  • 自分の殻に閉じこもる

など

他者と自分を比較して、私は人よりも「劣っている・欠けている」と主観的に思い込むことでできた「劣等感」が影響しています。

劣等感はプラスに捉えると、成長や努力に繋がります。一方でネガティブに捉えると、上記のような悩み・問題になったり、「私には価値がない・能力がない」という非建設的な意味付け(ライフスタイル)につながります。

このように劣等感をネガティブに捉えた状態を「劣等コンプレックス」といいます。
こうしたコンプレックスは対人関係において、自分を大きく見せたり、卑屈になるなど、非建設的な言動を生んでしまいます。

このような対人関係論を知ることで、対人関係の中で、以下を見いだせます。

  • どのような影響を受け、与えているか
  • どのような劣等感やコンプレックスを持っているか
  • 「悩み」の正体と目的
  • どんな意識で他者と関わっているか

など

こうすることで、対人関係における意識・関わり方・ライフスタイルを選び直すことができます。それが「対人関係の悩みを解消し、良好な人間関係を築く」ことにつながります。
そして「仕事」「交友」「愛」という「ライフタスク」をクリアすることができます。

4-2.対人関係論の活用とメリット

対人関係論をどのように活用し「対人関係の悩みを解消し、良好な人間関係を築く」ことができるかを見ていきましょう。

ポイントは、対人関係におけるあなたの「意識・関わり方・コンプレックス・ライフスタイル」を明確にして、選び直すことです。

4-2-1. 横の人間関係を築く

アドラー心理学では、理想的な人間関係を「横の人間関係」や「人々を仲間だとみなす」ことだと教えてくれます。そこに必要な要素として以下を挙げています。

  • 尊敬
  • 信頼
  • 共感
  • 協力

このような「横の人間関係」を築くことで、他者を仲間とみなすことにもつながるため、良好な人間関係を築くことができます。

そして横の人間関係の対になるのが、縦の人間関係です。
会社の上司と部下のように、「存在価値に上下・優劣をつける」「コントロールする」というような人間関係、あるいは他者と「競争する・争う」などの意識になるため、人間関係が上手くいきません。

さらに縦の人間関係は、「対立を生む」「相手と自分を比較して、劣等感を強くする」「お互いに、私には価値がない・能力がない感覚になる」という可能性があります。

そのため、あなたが上司であっても、部下であっても「縦の人間関係」や「競争意識」から、「横の人間関係」を築くことが対人関係を良好にするポイントです。

4-2-2.課題を分離する

「自分の課題」「他者の課題」を分離しましょう。

アドラー心理学では、対人関係のトラブル・悩みは、以下のような時に起こると教えてくれます。

ライフタスクや人生で起きる出来事に対して、

  • 相手の課題に土足で踏み込む
  • 自分の課題に土足で踏み込まれる

そのため以下の質問を行い、それが誰の課題であるかを明確にし、「課題の分離」をするのが、ポイントです。

  • 今起きている課題の責任は誰にあるのか?
  • その選択によってもたらされる結末を、最終的に引き受けるのは誰か?

こうすることで、人の課題に介入せず、自分の課題に介入させずに済みます。
必要なら、相手の同意の上で協力することもでき、お互いが共同で持っている課題については、協力し合うことができます。

そして「課題の分離」には、もう一つの重要なポイントがあります。
それは、「あなたに対して、他者がどのように評価するかは、相手の課題である」というものです。

こうして課題を分離できるようになると、「他者からの承認を求める気持ちや行動」「他者の視線や評価を気にする」「嫌われたくないと考える」ことが不要だと感じます。

その結果、行動する勇気を持ち、対人関係の悩みを解消し、良好な人間関係を築きやすくなるのです。

4-2-3.ライフスタイルを選び直す

今、この瞬間、あなたの目的に沿ったライフスタイルを選び直しましょう。

対人関係の中で劣等感を感じ、それがネガティブに働くことで、
「自分には価値がない・能力がない」など、様々なコンプレックスを感じるかも知れません。

それが非建設的な言動を生み、人生や対人関係に影響を与えているかも知れません。
さらに先程紹介した、「横の人間関係」「課題の分離」にしても、ライフスタイルが影響して、中々、実践できないこともあるかも知れません。

しかし大丈夫です。

アドラー心理学では以下のように教えてくれます。

「ライフスタイルを変えれば、世界との関わり方、行動までもが変わらざるを得なくなる」

「これまでの人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかについて何の影響もない」

「今後の人生を決めるのは、” いま、ここ ” に生きるあなた」

今、この瞬間に、あなたにとって必要なライフスタイルを選択しましょう。
それは劣等感を成長につなげ、理想の自分に近づくことの助けに繋がります。さらに自分を大きく見せたり、卑下するようなことが必要なくなり、非建設的な言動を建設的な言動に変えることができます。

※ライフスタイルを変える方法は、3-2.をご覧ください。

そして対人関係論を活用することは、以下のようなメリットがあります。

【対人関係論を活用するメリット】

  • 「対立や競争の人間関係」を「調和の取れた人間関係」へ変える
  • 自分を知り、人生や人間関係をより良く変えることができる
  • 劣等感を成長に変え、理想の自分に近づける
  • 幸せな人生を手にする手助けやきっかけになる

対人関係論は、非常に奥深いのですが、その中からまずは知ってほしい入り口の部分を紹介しました。どれもあなたの人生や対人関係をより良くすることに役立ちます。

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まとめ

この記事では、上記「アドラーの言葉」を前提として、アドラー心理学の教えから下記3点について紹介しました。

  • 原因論と目的論
  • :人は何かしらの目的に沿って生きている。

  • 人生を左右するライフスタイル(意味付け)
  • :「経験それ自体」ではなく、経験に与える意味によって自らを決定する。

  • 対人関係の悩みを解消する「対人関係論」
  • :どんな種類の悩みであれ、そこには必ず他者の影が存在する。

どれも、ありのままの自分を受け入れ、行動する勇気・幸せになる勇気を発揮するきっかけになることでしょう。それがあなた自身にとって、幸せな状態を作る助けに繋がります。

この記事が、少しでもあなたのお役に立てれば嬉しく思います。

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