自己暗示と聞くと、
「怖いイメージがある」
という方もいらっしゃれば、
「正しくできれば、自分にとって
プラスになるイメージがある」
という方もいらっしゃるかもしれません。
また、
「聞いたことはあるけれど、
詳しくは知らない。」
という方も多いのではないでしょうか。
私自身もはじめは自己暗示について
「やってみたいけど難しそう」
という印象を抱いていました。
そんな自己暗示ですが、
実は、この記事を読みながらでも、
すぐに試せる方法もあるのです。
自己暗示について、正確なかけ方を知り、
知識を深めることで、
自分の隠れた力を引き出すこと
ができるかもしれません。
この記事では、そんな自己暗示の意味や
正しいかけ方について解説します。
目次
1.自己暗示とは?
自己暗示とは、「自分自身がそう強く思い込むことで、自分の中でそれがさも当たり前かのようなイメージに変えていくこと」です。
そして自己暗示には、自分の中に隠れていた力を引き出したり、メンタルが強くなったりするなどの効果が期待されます。
自己暗示という言葉は、フランスの心理学者であり薬剤師の「エミール・クーエ」という人物が生みの親とされています。
クーエが自己暗示を生み出した背景にはこんな出来事がありました。
ある日、クーエのところへ「薬を売って欲しい」という1人の男がやってきたのですが、その薬は、既に期限が切れていて、色も変わっているような状態でした。
そのためクーエは、「この薬は腐っているから売る訳にはいかない」と断りました。
しかし、その男が「その薬は効くからどうしても売って欲しい」と懇願したため、クーエは「責任は負わない」という条件でその薬を売りました。
すると数日後、その男がまたやってきて「あの薬のおかげで病気が治った」と言い出したのです。
「効果がないはずの薬でなぜ病気が治ったのか?」と疑問に思ったクーエは、薬の効果に加えて、「この薬を飲むと、必ず病気が良くなる」という強い気持ちが、薬の効き目に表れたのではないかと考えました。
この出来事をきっかけにクーエは「クーエの自己暗示療法」という治療法をはじめ、そこから「自己暗示」という言葉が生まれました。
自己暗示は一般的に、「自分ならできる」などと強く思い込むことで、それを成功に導くような、「今の自分の思い込みを、自分にとってより良い思い込みに変える」ということが多いです。
しかし、自己暗示の中には、「どうせ自分にはできない」といったように、マイナスな思い込みをさらに強めてしまい、結果として、できないことが当然かのようになってしまうパターンもあります。
またその他にも、ダイエットが目的で、食べすぎないようにと「毎日食べたいくらい大好きな食べ物をあえて苦手であるかのように思いこむ」というような、あえて否定的に使用するといった一例もあります。
「暗示」と聞くと、念じることや唱えることを、イメージする方が多いかもしれませんが、実は念じたり、唱えたりする以外にもかけ方があるのです。
3章では、そんな自己暗示の具体的なかけ方をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
・参考文献
自己暗示〈新装版〉 | C.H.ブルックス、E.クーエ, 河野 徹 (出版:法政大学出版局)
1-1.肯定的な自己暗示
先程お伝えしたように、自己暗示には肯定的なものと否定的なものがあります。
肯定的な自己暗示とは、自分がなりたい状態を繰り返し想像することで、それを実現できるように無意識を変化させていくことを指します。
この肯定的な自己暗示は、プロスポーツ選手も多く実践しており、今回は、プロ野球のイチロー選手の例をご紹介します。
イチロー選手は小学6年生の時、「夢」というタイトルで作文を書いています。
そこには、「プロ野球選手になる」という夢のために自分が何をすべきなのか、これまでに何をしてきたのかが、詳細に書いてあります。
つまり、イチロー選手は、小学生の頃から夢を叶えるために、肯定的な自己暗示をかけていたとも言えるのです。
イチロー選手は作文で「〇〇するつもり」「〇〇になったら」などといった、なりたい未来が実現することが、前提であるような表現を使用していました。
このように、自己暗示をかける際のポイントは、なりたい状態が実現したかのように表現することです。
自分がなりたい姿を想像することで、意識しないうちに「自分はそうである。」と感じるようになり、実現に導きます。
こうした肯定的な自己暗示のことを、別名「アファメーション」と呼びます。
このアファメーションの具体的な方法は、3-1でご紹介していますので、
読み進めながら、実践してみてください。
アファメーションの効果で、皆さんの隠れた力を引き出すことができるかもしれません。
1-2.否定的な自己暗示
こちらも先程ご紹介した通りで、自己暗示には否定的なものも存在します。
ふとした瞬間に、「自分はダメだ」などという気持ちを抱いてしまうと、そこから否定的な自己暗示をかけてしまっている可能性があります。
その結果として、この「自分はダメだ」という思い込みから、その言葉の通り失敗してしまい、さらにその思い込みを強くしまうことになるのです。
こうした、自分に自己暗示を引き起こす思い込みや価値観のことを、「脳と心の取り扱い説明書」とも呼ばれている心理学NLPでは、「ビリーフ」と言います。
ビリーフは、過去の経験などから深層心理に刷り込まれているため、良いビリーフを持っていれば自分に取って良い影響を与えることもあります。
反対に否定的なビリーフを持っていると、気づかぬうちに、そのビリーフに適した行動や言動を取ってしまうこともあるのです。
気づかぬうちに、自分に根ざしたマイナスなビリーフを変えるには、まず、自分が持っているビリーフに気づくことが大切です。
例えば、「仕事ができるようになりたい」と思っていながらも「自分は何もうまくいかない」というビリーフを持っているとします。
その場合、仕事でうまくいったとしても、以下のようなことを思ってしまうかもしれません。
- 自分ができるわけがない
- たまたまうまくいっただけ
- 他の人のおかげ
こういったマイナスなビリーフが、自己暗示として自分に良くない影響を与えてしまう可能性があるのです。
ここで、このビリーフを「自分はやればできる」というものに変えることができれば、行動も変わり、「仕事ができるようになりたい」という望む結果を手に入れることにも繋がります。
このように、自己暗示を引き起こす原因となるビリーフには、自分の行動や未来を変えてしまうほどの力があります。
肯定的なものもあれば、否定的な要素も含まれていることをご理解していただけたかと思います。
つまり、自己暗示は使い方次第で効果に変化が現れるものなのです。
ここでご紹介したビリーフを変えることに興味がある方、また、ビリーフについて詳しく知りたい!という方はこちらの記事をご覧ください
↓
人生を決定づける「ビリーフチェンジ」成功の鍵と8つのステップ
2.自己暗示の効果
この章では、自己暗示の効果についてご説明します。
自己暗示の効果によって、「できないと思っていたことができるようになる」なんてこともあるかもしれません。
2-1.潜在能力を発揮できる
自己暗示には、自分の中に眠っている潜在能力を発揮できる効果があります。潜在能力とは外からは見えない、中に隠れている能力のことを指します。
本当はその能力を持っているのに、本人の自覚がないため、発揮できていない可能性があるのです。
自己暗示を行うことで、できないと思っていたことが達成できるようになると、中に隠れていた能力が外に表れ、更にもう一段階、高いレベルのことを達成できるようになります。
【タイピングの練習の例】
指一本でしか、キーボードを打てなかった人がいたとします。
はじめは「両手を使って早く打つことなんてできない」と思っていました。
↓
「自分は両手で早く打つことができる」という自己暗示をかけてみました。
↓
すると、徐々に両手を使って打てるようになり、自信がついたことで、そこから更に、早いスピードで正確に打てるようになったのです。
このように、自己暗示によって、中に隠れていた潜在能力を発揮できるのです。
2-2.メンタルが強くなる
自己暗示をすることによって、気持ちに余裕が生まれ、メンタルが強くなるという効果があります。
この記事をご覧になっている方の中には、
- 「メンタルが弱い」
- 「人の言葉を気にしてしまう」
という方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、「自分なら大丈夫」自己暗示をすることで気持ちに余裕が生まれ、少しの事では動じなくなります。
そして、徐々に本心から「自分なら大丈夫」と思えるようになるのです。
「自分なら大丈夫」と思えることで、どうしよう、できないかもしれないといった不安が消え、メンタルが強くなる効果を得ることができます。
2-3.何事にも意欲が湧いてくる
自己暗示をすることには、何事にも意欲が湧いてくるという効果もあります。
たとえ、自分にとっては難しい挑戦だったとしても「自分ならできる」という自己暗示の効果によって、不安というマイナスな気持ちよりも、
成功などの達成感や、嬉しさを想像できるようになるため、やってみようかなとチャレンジできるようになります。
仮に、やってみた結果が自分には難しいと感じたとしても、自分ならできるという自己暗示の効果で、必要以上に落ち込んだりはせず、別のことおいても、挑戦してみようという意欲が湧いてくるようになるはずです。
3.自己暗示のかけ方
この章では自己暗示のかけ方についてご紹介していきます。
どちらもすぐに実践できるかけ方ですので、興味を持てる方から実践してみてください。
3-1.肯定的な言葉を唱える(アファメーション)
1-1でもご紹介しましたが、肯定的な自己暗示のことを、アファメーションと呼びます。
アファメーションには、なりたい姿を実現できるという効果があります。
具体的な方法は、自分がなりたい姿を想像し、肯定的な言葉を繰り返し唱え続けることです。
自分がなりたい姿を想像することで、意識しないうちに「自分はそうである」と感じるようになり、実現に導いていきます。
アファメーションでは、なりたい姿が実現しているかのような表現を使うことが、ポイントです。
具体的には
- 私は幸せである
- 私は周りの人から信頼されている
- 私はお金持ちになれる
のような言葉が挙げられます。
このような言葉を唱え続けることで皆さんがなりたい姿の実現が近づいてくるはずです。
「アファメーションを、もっといろんな場面で活かしたい」という方はこちらの記事をご覧ください
↓
アファメーションを「仕事や人間関係に活かす」7つの基本と8つの実践例
3-2.魅力的な人物のマネをする(モデリング)
自己暗示のかけ方には、念じたり、唱えたりすること以外にも、魅力的な人物のマネをするという方法があります。
このことを心理学では「モデリング」と呼び、心からその人のマネをすることで、魅力的な人物に近づくことができたり、皆さんの魅力が増したりするという効果があります。
あなたの周りには、「あの人のようになりたい」と魅力を感じる人はいますか?
「生まれ変わったらあの人になりたい」というようにその人の全てが魅力的だと感じる方もいるかもしれませんし、
- あの人のここがいい
- あの人はこんなところが素敵だ
- あの人のように〇〇ができるようになりたい
などと部分的に魅力を感じることもあるかもしれません。
具体的なモデリングの方法として3つの手順があります。
- その魅力的な人がどんな話し方や表情、ジェスチャーをしているのかなど、細かなところも意識して観察する。
- その人だったらどう振る舞うかを、まるで自分がその魅力的な人、本人であるかのように思い込みながら体を動かしてみる。
- その人が何を感じ、どんな景色を見ているのかを確認する。
そして、この体験を重ねるうちに、その人の感情や考え方を感じられるようになり、結果として、その魅力的なところがご自身にも身につくはずです。
また、「周りに魅力的だと感じる人がいない」という方は、映画やドラマなどの登場人物や、過去の偉人などをモデリングすることも、自己暗示のかけ方の1つです。
4.自己暗示をかける時の注意点
自己暗示には大きな効果がありますが、その分、自己暗示をかける際には注意が必要です。
間違ったかけ方で行ってしまうと、自己暗示の効果が得られないという状況にもなりかねません。
この章では、自己暗示を行う時の注意点をご紹介します。
4-1.肯定形の言葉を使うようにする
自己暗示を行う際には肯定的な表現を使うようにしてください。
実は、人の脳は、否定形の言葉を受け付けないようになっているのです。
例えば、「黄色のカーテンを想像しないでください」という文があったとします。
この文を読んだ時、みなさんは「黄色のカーテン」を想像したのではないでしょうか?
このように私たちの脳は「〇〇しない」ということを受けつけないようになっているのです。
このため、「〇〇しない」という否定形ではなく、「〇〇する」のように肯定形の言葉を使用してみてください。
4-2.達成可能なものを扱う
自己暗示を行う際にはご自身が達成可能なものを選択することが大切です。
実は、自分のなりたい姿が、現状とかけ離れているものは自己暗示に適切ではありません。
こういったものを選択してしまうと、意識しないうちに「達成できるわけがない」とマイナスの感情を抱いてしまうことで、自己暗示の効果を得られない可能性が高いのです。
ですので、現在の皆さんが達成可能なものを選択するようにしてください。
もし、こういったものを扱うとするのであれば、「徐々に」「〇〇になりつつある」のような表現を使用してみてください。
4-3.前提に注意する
自己暗示を行う際には前提に注意することが必要です。
実は、「〇〇になりたい」「〇〇したい」のような言葉は、自己暗示をかける際には使用すべきではありません。
例えば「お金持ちになりたい」という言葉を使用してしまうと「今は、お金持ちではない」という前提ができてしまいます。
こういった前提により、意識しないうちに「今はお金持ちではない」と脳が認識してしまうため、自己暗示をかける際には使用すべきではありません。
この場合は、「さらに」という言葉を加えることや、「私はお金に恵まれている」のように、今を肯定する表現をしてみてください。
5.自己暗示の効果を高めるための方法
ここまでは自己暗示のかけ方についてお伝えしてきましたが、続いては、そんな自己暗示の、効果を高めるための方法を紹介していきます 。
5-1.自分の変化に気づく習慣をつける
自分の変化に気づく習慣をつけることで、自己暗示の効果が高まります。
なぜならば、自分がより良くなっているという変化に気づくことで、モチベーションが上がり、なりたい姿に、より早く近づくことができるからです。
例えば、「さらに美しくなる」ということが目的で自己暗示をかけたとすると、更に美しくなる過程で、生活習慣が正されたり、笑顔が増えたりなど変化が現れてくるはずです。
そういった、自分がより良くなっていく変化に気づく習慣をつけることで「次はスキンケアに時間をかけてみよう」などと意欲が湧いてくるかもしれません。
このように、自分の変化に気づく習慣をつけることは、なりたい姿に近づいていくことを実感でき、自己暗示の効果を高めることができます。
5-2.自分の良いところをリスト化する
自分のいいところをリスト化することで、自己暗示の効果が高まります。
なぜなら、自分の良いところをリスト化することで、自覚していなかった自分の能力に気づき、自分のなりたい姿に近づける事ができるからです。
例えば「仕事ができる人」というなりたい姿を設定していた時、自分の良いところをリスト化した中に「言葉遣いが綺麗だと褒められた」という1文があったとします。
仕事ができる人にも様々な特徴がありますが、本人にとって仕事ができる人の特徴として「ビジネスマナーが備わっている人」だとするのなら、
「言葉遣いが綺麗」という自分の良いところを自覚したことで、なりたい姿である「仕事ができる人」に近づくことができるのです。
このように、自分の良いところをリスト化することで、自己暗示の効果を高めることができます。
人から言われて嬉しかったことや、自分で良かったと感じた出来事を、小さなことでもリスト化してみてください。
5-3.小さな目標を達成する
小さな目標を達成することで自己暗示の効果が高まります。
なぜなら「自分は目標を達成できる人間だ」と自信がつき、その積み重ねから、大きな目標を達成できるようになるからです。
その結果、自己暗示の目的となる、なりたい姿に近づきやすくなります。
例えば、「プレゼンを成功させる」という自己暗示の目的があった時、「自分にはプレゼンを成功できる」と自己暗示することももちろん大切ですが、プレゼン当日までに
- 情報集め
- 読みやすい資料作り
- 伝わりやすい原稿
などの準備が必要になります。
ここで小さな目標として、「情報集めを3日以内に完了させる」と設定したとします。
実際にこの期日を守ることができれば、「目標を達成した」という事実から自信につながります。
次は「読みやすい資料作り」について目標を立て、それを達成する。
このような積み重ねから、「自分は目標を達成できる人間だ」と自信につながり、なりたい姿に近づけることができます。
このように、小さな目標を達成することは、自己暗示の効果を高める方法として、挙げられます。
小さな目標から中くらいの目標、大きな目標と達成することで、ご自身のレベルも上がっていくと考えられます。
最後に
自己暗示の意味や、自己暗示のかけ方についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
正しい方法で自己暗示をかけることで、皆さんの隠れた力を引き出すことができるかもしれません。
このメディアサイトを運営しているNLP-JAPANラーニング・センターでは、自己暗示のように自分のモチベーションを上げてさらに人生を豊かにする方法や、
1-2でご紹介した否定的な思い込みであるビリーフを変える方法など、ご自身がマイナスに感じていることを解消する方法などについて、学べる講座を開催しています。
- 自分の人生を、より豊かなものにしたい
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という方はこちらをご覧ください。
ご覧になることで、ヒントになることが見つかるかもしれません。
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