「チャッター」
という言葉を聞いたことがありますか。
これは、ひとことで表すと
「頭のなかのひとりごと」のことで、
「セルフトーク」と呼んでいる書籍もあります。
チャッターはどんな人の頭の中でも
無意識のうちに起こっていることで、
上手く付き合っていかないと悪影響を及ぼすことがあります。
一方で、上手に制御すると自分のパフォーマンスを
大きく引き出すことにつながります。
チャッターはどんな特徴を持っているのでしょうか。
そしてチャッターと、どうやって付き合っていけばよいのでしょうか。
この記事では、書籍『Chatter「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』を参照して、チャッターのことを紐解いていきます。
1.チャッターとは
冒頭でチャッターとは何かを簡単にご紹介しましたが、この章では、書籍『Chatter 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くため26の方法』をもとに、もう少しチャッターのことを詳しく紹介いたします。
チャッターの中身は、循環するネガティブな思考と感情です。
人間は無意識のうちに、目の前に見えているものや体験から、過去や自分の経験、そして経験から想像したことを考えてしまいます。
これを書籍の中では「デフォルト(初期状態)」と呼んでいます。
目覚めているときの1/3~1/2の時間はこのデフォルトの状態になっていて、その間ずっとチャッターが頭の中で喋り続けているのです。
そして驚くべきはその早さで、1分あたり4000語のスピードとのこと。
普通の会話の速度を遥かに超えるスピードで、頭の中で喋り続けています。
このチャッターが頭の中にあること自体は問題がないのですが、チャッターの影響力が大きくなると、問題が発生します。
脳の前頭前野という部分は、思考力を司る「実行機能」の基盤となっています。
実行機能は、関連する情報を保持し、いらない情報を排除するという働きをします。
そして、この実行機能の容量には制限があります。
チャッターの影響力が大きくなると、集中するためにチャッターを排除することへ実行機能の容量を割いてしまうこととなり、かえって集中力を削ぐことにつながってしまいます。
集中力が削がれる
- →それに動揺してよりチャッターの影響力が増す
- →さらに集中できなくなる、
という悪循環に陥ってしまうのです。
また、チャッターの中身はネガティブな思考・感情なので、常にネガティブな思考に入ってしまうと、パフォーマンスが低下したり、暴力性が高まったり、精神疾患や体調悪化にもつながりかねません。
例えば、スポーツ選手がある日突然自らのパフォーマンスを失う「イップス」も、チャッターにより起こることがあるようです。
チャッターは常に頭の中にあるものだからこそ、悪影響を及ばさないように、上手く付き合って行く必要があります。
次の章では、チャッターと上手く付き合う方法として、書籍で紹介されていた内容をいくつかピックアップして紹介します。
2.チャッターと上手く付き合う方法10選
それでは、チャッターと上手く付き合っていくには、どんな方法があるのでしょうか。
ここでは、本の中で紹介されていた26の方法のうち、10個ピックアップして紹介いたします。
- 距離を置いた自己対話を活用する
- 視野を広げる
- 心のタイムトラベルをする
- 視点を替える
- 思ったままを書いてみる
- 儀式を行う
- 他の誰かのプラセボになる
- ソーシャルメディアを上手に活用する
- 環境に秩序をつくる
- 緑地を活用する
それぞれ、簡単にご紹介します。
【1】距離を置いた自己対話を活用する
「距離を置いた自己対話」とは、自分のことを名前や二人称(あなた)へ置き換えることです。
イーサン・クロス氏は自分を指す言葉を置き換えることで、「脳内の反芻にかかわるネットワークの活性化が抑えられ、ストレスのある状況でもパフォーマンスを向上やより賢明な思考や、ネガティブな感情の減少が期待できる」といいます。
チャッターとうまく付き合っていく方法は書籍中にいくつか紹介されていますが、その一つが「内なる声から心理的距離をおくこと」です。
チャッターが自分の中にある問題にフォーカスすると、ネガティブな感情が起こり、更に問題について思考を巡らせてしまう…という悪循環が発生するため、まずは抱えている問題から距離をおくと、その循環を断ち切ることができます。
このように、自分の抱えている問題にフォーカスする前に、問題から距離を置くことが有効です。
【2】視野を広げる
こちらも、問題から距離をおくことから派生した内容です。
問題にフォーカスするということは、視野が狭くなってそれ以外のことへ思考を巡らせることができなくなる、ということです。
著者は視野を広げるためにできることとして、下記の例を挙げています。
- 現在の悩みを、自分(あるいは他人)がこれまでに経験した辛い出来事と比較する
- 人生や世界というより大きな枠組みの中にどう位置づけるかを考える
- 自分が尊敬する人なら同じ状況にどう対応するかを想像する
このように、別の事柄と照らし合わせて考えることで、視野を広げ、チャッターの影響力が大きくなることを防止できます。
【3】心のタイムトラベルをする
心のトラベルとは、「いまから1ヶ月後、1年後、あるいはもっと先に自分がどう感じるかを考えてみる」ことです。
例えば、私が中学生の時には、友達同士が1ヶ月以上仲違いをしていたことで、ずいぶん気まずい思いをして悩んでいました。
しかし、今となってはほとんど当事者たちと連絡を取る機会もなく、その時よりも何倍も広い交友関係を築いているので、当時の悩みが「かわいいものだな」と思えてしまいます。
未来の自分の視点から見ると、現在の自分の悩みが小さく思えますし、ずっと続く問題ではないとわかります。
【4】視点を変える
著者は不快な経験について考えるときに、「頭の中で出来事を視覚化し、壁に止まってその場面を見下ろすハエのように『こっそり他人を観察する』視点」から見ることを提案しています。
その経験がどうだったか、という感情ではなく、出来事を再び客観的に解釈できるようになるため、自分を洞察し、出来事の全体像を把握することができるようになります。
試しに、嫌な経験を頭の中で映像としてイメージして、そのイメージを上から覗いてみたり、遠くへ小さく飛ばしてみたりしてみてください。ちょっとだけ気分が楽になるはずです。
【5】思ったままを書いてみる
ネガティブな経験について、自分が思ったことや感じたことを書き起こしてみることも、問題から距離を置いたり視点を変えたりすることに繋がります。
イーサン・クロス氏は「ネガティブな経験をめぐる心の奥底の思いや感情を書くことを、一日に15~20分、1日~3日間続けてみよう」と述べています。
こうすることで、その感情になった理由が客観的にわかるようになります。
【6】儀式を行う
儀式とは、「意味を込めて定められた一連の行動」です。
宗教や文化によって定まったものでなくても構いません。
一流アスリートがルーティンを決めて実践するように、決まった一連の行動は「秩序とコントロールの感覚を与えてくれる」と著者はいいます。
自分をコントロールする感覚を養うことで、集中力を高めることができ、チャッターを鎮めることが可能になります。
【7】他の誰かのプラセボになる
プラセボ効果を聞いたことがありますか?
何も効果のない薬を渡しても、患者自身の思い込みによって病気が回復する現象のことです。
著者は「状況は改善するという楽観的な見方を助言する相手に伝え、チャッターに関する見込みを変えさせよう」と提案しています。
自分がチャッターの影響力に悩んでいるとき、他のかたも同じような悩みを抱えている可能性があります。
そういうときには、自分の発する言葉や振る舞い方を見直し、周りの方がチャッターから気を逸らして前向きになれるようなプラセボになりましょう。
【8】ソーシャルメディアを上手に活用する
今や私たちにとって身近すぎるほど、日々活用しているソーシャルメディア。TwitterやFacebook、Instagramなどをうまく活用することも、チャッターを鎮めるためにできることの一つです。
イーサン・クロス氏は、「ソーシャルメディアの受動的利用を減らすこと」を提案しています。
ソーシャルメディアをぼんやりと眺めて、他人を妬んで思考の悪循環に陥るのではなく、能動的に活用して、他者と適度につながることで自分のチャッターを抑えてくれるような交友関係を築いていきましょう。
【9】環境に秩序をつくる
チャッターとうまく付き合う方法として、周りの環境を利用することも効果的です。
その一つが、自分の周りの環境を整えることです。イーサン・クロス氏は、下記のような方法で周囲の環境を整えることで、コントロールする感覚を高めることができると述べています。
- 職場や自宅を片付ける
- リストを作る
- 周囲にある色々なものを整理する など
自分をコントロールし、秩序を保った感覚を得ることで、チャッターの影響力も自分でコントロールできるようになります。
【10】緑地を活用する
もう一つ、周囲の環境に関する方法として、緑地を活用することが提案されています。
自然に触れることでいいことはたくさんありますが、チャッターから気を逸らす効果もあるそうです。
本物の自然を見なくても、画面上の自然を見たり音を聞いたり、自分のデスクを植物の緑で囲んだりすることも効果的とのことです。
【出典・参照元】 Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法 イーサン・クロス(著),鬼澤 忍(翻訳),出版社:東洋経済新報社
3.それでもネガティブなセルフトークが出てくる原因
2章では書籍にて紹介されていたチャッターとうまく付き合う方法をご紹介しましたが、上記の方法だけでチャッターの影響を小さくすることは、人によっては難しいかもしれません。
なぜなら、人間の内面にあるネガティブな感情は、過去の体験や教育から形成されていて、意識だけでなく無意識の領域にまで深く結びついてしまっているのです。
この根本的なネガティブ感情・マイナス思考を変えない限りは、改善しない可能性があります。
特に、
- 以前から自分に自信が持てない方
- 他人から言われた一言で心が傷ついているとお感じの方
- 過去に何かトラウマとなるようなマイナス体験がある方
上記の内容に思い当たることがある方は、
これらについてしっかり向き合う必要が出てきます。
なぜならば、これらを改善しないと、マイナスなチャッターがなかなか抑え込めない可能性が高いからです。
人によってはセラピーを受けたり、マイナス思考やネガティブ感情が表れなくなるような本や講座を活用する必要がある方もいらっしゃいます。
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まとめ
本記事では、チャッターとは何かをご紹介しました。
チャッター(頭の中のひとりごと)は常に頭の中にあるもので、ときに健康やメンタルに悪影響を与えてしまいます。
それを抑える方法として、書籍『Chatter(チャッター)「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』にて紹介された方法のうち、以下の10点をご紹介しました。
- 距離を置いた自己対話を活用する
- 視野を広げる
- 心のタイムトラベルをする
- 視点を替える
- 思ったままを書いてみる
- 儀式を行う
- 他の誰かのプラセボになる
- ソーシャルメディアを上手に活用する
- 環境に秩序をつくる
- 緑地を活用する
もし、こちらの方法でチャッターの悪影響が改善しない場合や、自分の内面について興味のある方は、NLP-JAPANラーニング・センターにて提供している『NLP無料レポート』をご覧いただいたり、『NLP体験講座』にご参加いただいたりすると、お力になれることがあるかもしれません。