NLP・心理学

大人の学びでオススメしたい!意外に知らない複雑の極み、コミュニケーションモデルとは

昨今、子どもが学ぶ科目として、コミュニケーション、プログラミング、家庭科での金融などに加え、一部では心理学なども学ぶようになってきているそうです。

そして、誰でも世界へ発信できる現代を生きている子どもたちが大人になったとき、スキルも高く、アウトプット能力も高く、しかも円滑なコミュニケーション能力も備えているかもしれません。

また近年、大人の学び直しを国が推奨しているなかで、何を学んでいけばよいのでしょうか?もちろん、自分が学びたいことを学べば良いわけですが、それが仕事や人生、人間関係で役立てばなお良いと思いましたので、私達が習得しておきたい「大人の学び」について、実体験を元にご紹介していきます。

【出典・参照元】

コミュニケーション能力の育成 東京都教育委員会提出資料(PDF)

情報教育の推進 学校プログラミング教育の手引 文部科学省

中学生・高校生の皆さんへ 基礎から学べる金融ガイド等 金融庁

高校生になぜ心理学教育をするのか 白鷗大学教育学部論集(PDF)

生涯学習の推進 学び直しについて 文部科学省

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1.大人の学びにオススメの「コミュニケーションモデル」

大人の学びといえば、学び直し(リカレント教育)が話題です。でも大学等で学び直しをするほどの時間的余裕がなく、また学んだからと言って会社での評価が上がることが約束されているわけでもない場合が多いようです。

そこで、企業は大人の学び直しにおいて、何を期待しているのかを経団連のアンケートを読みました。その中で、「汎用的なスキルとしては、どのようなスキルの習得・向上を期待しますか」という項目が、大人が何を学ぶか検討する際の参考になると判断しご紹介します。

下記の年齢別でアンケートの結果が示されています。

  • 若年層(新入社員~30歳程度)向け
  • 中堅層(30~40歳程度)向け
  • ミドル・シニア管理職層(40歳以上)向け
  • ミドル・シニア非管理職層(40歳以上)向け

上記、すべての世代に期待している能力として50%以上の回答だったのはこの3つです。

  • (1)コミュニケーション能力
  • (2)情報・データ分析能力
  • (3)デジタル・リテラシー

学び直しの成果として主にこれらが求められているそうです。これらは仕事だけでなく、人生や人間関係でも役に立つでしょう。

そして(2)や(3)が備わっていても、(1)コミュニケーション能力がなければ活かせないだろうと考え、大人の学びとして、コミュニケーションモデルをオススメしたいと思います。
コミュニケーションモデルには人間心理も関連しています。企業が求める能力としても、「コミュニケーション能力」は常に上位ですが、ここにはとても複雑なしくみがあるのです。

(ここでの複雑とは、相互に関連する複数の要因があるという意味であり、ややこしいという意味ではありません。)

コミュニケーションや人間心理といった分野は、私が子どもの頃の義務教育にはありませんでしたが、「人は、一人ひとり全然違う」ということをコミュニケーションモデルを元に知っていれば、どれほどやり取りが円滑になったことでしょうか。どれほど生きやすかったでしょうか。

例えば、こんなことです。

システム入れ替えの打ち合わせで、各種仕組みや使い方の説明が終わり、業者の方々も帰った後30分くらい経って、『さっきのあれってこういうことですか?』と聞かれるこの違和感。

心のなかで、「なぜ、あのタイミングで専門家に聞かないのか?」と。。

これには仕組みがありました。

専門家に質問ができないワケではなく、自分で一通り試してみて、腹落ちして【わかる】段階に入っていくだけでした。わかるまで少し長めに時間が必要となります。

打ち合わせで、資料を見て読んで説明など聞きながら、頭の中で試運転して【わかる】段階に入る場合とは差異があります。

このように、人が何かの情報を受け止め、それを処理する際、いろんな仕組みがあります。そこにはコミュニケーションモデルが存在していて、それが自分と同じような人との会話は簡単で、差異が大きい人との会話は支障が生じて滞りが出ます。

支障の出る原因がわかれば、選択肢が生まれます。そして、わからないままでいると滞った状態が続いてしまうでしょう。

そこで、大人の学びのオススメ、「コミュニケーションモデル」を軸にコミュニケーションや人間心理についてご紹介していきます。

(補足)

ここでのリカレント教育とは、社員個人の意思による自己啓発やキャリアアップ・キャリアチェンジのための学び直し、および企業主導による人材育成・研修の一環としての学び直しを指します。

【出典・参照元】

「大学等が実施するリカレント教育に関するアンケート調査」結果報告 2021年2月16日一般社団法人 日本経済団体連合会

2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果 2018年11月22日一般社団法人 日本経済団体連合会

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2.コミュニケーションモデルとは

コミュニケーションモデルとは、人が外部から情報を取り込み、独自のフィルターを通して削除・歪曲・一般化といった内部処理をして、精神状態をつくり行動する構造のことです。

※メタプログラムとは、個人が持つ無意識における物事の認識パターンのことを指します。

この図にあるように、外的な出来事から情報を取り入れる際に、自分の都合で削除して、自分の思考で歪曲して、これはこういうものだと一般化して処理し、自分の答えを発言したり行動したりしています。これらを無意識の中で瞬時に行っています。

内部処理の例)

外的な出来事:手が滑って物を落として壊した

Aさんの場合

内部

  • 過去に正直に謝れば許してもらえるという体験があった
  • 心拍数が上がり冷や汗は出たがすぐに切り替え、建設的な思考が始まる
  • すぐに謝って買い替えか修繕すれば大丈夫だ!


行動

  • すぐに報告する

Bさんの場合

内部

  • 物を壊してこっぴどく怒られた体験が過去にあった
  • 心拍数が上がり冷や汗が止まらず、なんとかバレないようネガティブな思考に入ってしまう
  • どうしよう、どうしよう、めっちゃ怒られる!


行動

  • 隠蔽しようと画策する

この例は極端ですが、同じことが起きても違う行動を取るのは、内部での処理の違いによると考えられます。無意識のうちにこういった処理を行っているので、思考パターンとして定着していることが多いでしょう。

外的な出来事:入社2年目の社員全員が、新しい商品を提案することになった

Aさんの場合

内部

  • これまで突拍子もない事を言って、注目を集めて良い体験をしてきた
  • 思い切った提案をしてやろう!という気持ちになる
  • 身体中にやる気がみなぎってくる


行動

  • 他業種も含めて広くアクティブに調査を開始する
  • 周りが驚くような新しい商品を提案する

Bさんの場合

内部

  • 突拍子もない事を言って、大恥をかいたトラウマ的体験があった
  • なんとか無難にやり過ごしたいと思う
  • 恥をかかないように笑われないように真剣に考える


行動

  • 同業他社の良いところを真似しようと調査を開始する
  • 目新しさはないが、誰もが賛成しそうな商品を提案する

この場合、どちらかが優れているわけではありません。AさんとBさんの両方が同じ組織にいることで、バランスが取れるような気がします。

Aさんは斬新な提案で注目を集めるかもしれませんので、組織がそれを求めていれば重要な存在です。また一時的にはネガティブなBさんですが、上司が安定思考であれば、とても安心できる存在でしょう。

こういった違いがあることをわかっていると、どちらにも同じようにフラットな気持ちで接することが出来ると思います。

これら2件の事例のように、同じ出来事でもコミュニケーションモデルにおける内部での処理は異なります。そしてさらに細かく示すと、情報の取り込みの時点でもだいぶ異なります。

情報の取り込み方が違う例)

外的な出来事:A4用紙1枚に要項が文字ばかりで書かれた周知があった
Aさん:目についたところを拾い読みする
Bさん:上から下まで順番にじっくり読む

Aさんは、よく読んで情報を取り入れる「読解型」というパターンをあまり使わず、加えて、次々に新しい案を思いつくような人が行いやすい「オプション型」の行動傾向があります。

Bさんは、「読解型」をよく使い、加えて、順番通りに手順を踏むことを大事にしている「プロセス型」の人が行いやすい行動傾向があります。

人は右利き・左利きのように、情報の取り込み方法に違いがあります。多くの方が視覚はよく使いますが、見ているからと言って、一言一句読んでいるとは限りません。

このように情報の取り込みの時点で、違いがありますので、情報を発信する側がそこを考慮することで、円滑にやり取りが進みやすくなります。加えて、その後に使われるコミュニケーションモデルに配慮する必要もありますが、あまりにもその部分は複雑ですので100%伝えるのは難しいでしょう。

(補足)
読解型やオプション型・プロセス型というのは、LABプロファイルの区分の一つです。
LABプロファイルは実践心理学の一つで、よく使う言葉から、その人の思考や行動パターンが推測できるというものです。

他にも、コミュニケーションモデルの違いにより噛み合わないコミュニケーションをご紹介しましょう。

Aさん:今度のコンテンツは動画にしたいと考えています
Bさん:それはおもしろそうですね。試してみましょう。
Cさん:ダメですね。これまでやってないですから。

Aさんへの返答に、正解はありません。その組織において、新しいことを試したい状況か?時間や人員の余裕があるか?なども関連するでしょう。

そして、ダメな案だったとしても、頭ごなしに否定するより、いったん受け止めるほうがコミュニケーションは円滑に進むという、経験がある方も多いかもしれません。

さて、なぜBさんは第一声で承認し、Cさんは第一声で否定してしまうのでしょうか?

ここからは憶測です。
Bさんは自己肯定感(自分を肯定的に受け止めている感覚)が高く、挑戦が大事で、Cさんは強烈な競争社会におり他者の評価が上がると自分の評価が下がると心配していて、保守的なのかもしれません。

または、単にBさんは新しいことが好きで、Cさんは同じであることが好きなのかもしれません。

どんな情報処理が為されたかはわかりませんが、それぞれのコミュニケーションモデルがあると知っていれば、Aさんは「そっかそっか」と何を言われても平常心でいられるものです。平常心でいられれば、「では、どうしたらよいか?」と次に進むことができますので、コミュニケーションモデルの理解は重要だと思います。

コミュニケーションモデルについては、実践心理学NLPのコースで学ぶことができるので、関心がある方は心理学を学び始めても良いかもしれません。また、コミュニケーションモデルについては、こちらの動画で詳しく解説されていますので是非ご覧ください。

【出典・参照元】
削除・歪曲・一般化等について NLP用語集:メタモデル
メタプログラムについて NLP上級:メタプログラムとは?

3.コミュニケーションモデルを複雑にする3つのこと

コミュニケーションモデルは、情報の取り込みから内部処理まで複数の要因があり複雑ですが、さらに複雑になる可能性が高い3つの要素をご紹介します。

それは、トラウマ、マイナス思考、発達障害です。続けて事例を元に見ていきましょう。

3-1.トラウマ

自分にトラウマがある人はわかると思いますが、人よりも過敏に反応してしまう分野、これを言われると嫌なんだよ、気に障る、やたらへこむ・・・ということがあると思います。

それが、コミュニケーションモデルのフィルターに加わることで、内部処理をさらに複雑にする可能性が高まります。何かを言われたときに、情報を歪める【歪曲】が起こりやすくなるからです。

例えば、このようなことです。

外的な出来事:
Cさんから、『Aさんの話は分かりづらいってBさんが言ってたよ』と言われた

Aさん

  • トラウマがある
  • 悪い噂をたてられるのが怖い


Bさんひどいじゃないか!悪い噂をするなんて!
Cさんに言うんじゃなくて、直接自分(A)に言ってくれたら良い話だろうが!(激怒)

Cさんが何気なく言ったことが、Aさんには鋭く刺さってしまっています。他者からの発言に何も怖がることがなかったら、『あ、そうなんだ。例えばどこらへんて言ってた?』と質問するかもしれません。

自分が思い当たる方も、他の人で思うところがある方も、『そういう事が起こるんだな』と知って、自分や他者を思いやることができたら良いなと思っています。

3-2.マイナス思考

自覚がある人もない人も、マイナス思考は何かとコミュニケーションをこじらせる要因になりやすいです。

コミュニケーションモデルで、マイナス思考によって処理された発言や行動は、否定的な内容になる可能性が高いため、受け入れられにくいからです。

例えば、このようなことです。

外的な出来事:
コロナ禍で新しい規則が増えたとき

Bさん

  • マイナス思考が習慣化している
  • 否定的な意見を言うのがくせになっている


こんなの嫌だ。手間が増えるなどと、ブーブー文句を言って周りを巻き込もうとする

Bさんからすると、いつも通りの習慣なので、みんなも同意だと信じて発言しますが、そうでもない場合も多いでしょう。特に社会的な自分として振る舞うことが求められる組織内では、規則を遵守するほうがコミュニケーションは円滑です。

うっかり否定的なことを言ってしまうことはあるかもしれません。習慣にしてしまわないよう、自分を教育できるとお互い過ごしやすいと思っています。

3-3.発達障害

これは、皆の共通知識にすることで、多くの問題が問題ではなくなると信じ、ここに紹介しようと思いました。

ここまで書いてきたように、コミュニケーションモデルには、その人が過去にどのように生きてきたかが関わっています。発達に課題があろうとなかろうと、複雑にできていますが、課題があると複雑さはさらに増すでしょう。

私自身が人間関係で悩み、自分の課題はなにか?自分がどうすると良いのかを知りたくて読んだ本のうちの1冊、「発達障害の人が会社の人間関係で困らないための本」から行き違いの事例を引用してご紹介します。

外的な出来事:他人をほめるとき
NG語:「わりと良い方ですね」

発言した本人の気持ち:
良い方だとは思うけど、最上級の人と比べれば劣るだろうから

相手の受け取り方:
私がやったらもっと上手く出来るけど、まあまあ頑張っているほうだね

修正例:「良いですね」

解説:

  • 他人の成果をほめるときには手放しにほめないと、逆に失礼な印象を与えてしまう。この場合、客観的評価や批評的な要素は不要。
  • 知り合いの成果について手放しにほめたからと言って、反論が入ったり責任を問われたりするような心配はない。

「わりと良い方ですね」という言葉には、ほめている感じはあまりしませんが、書籍によるとほめているのだそうです。

こういった行き違いが生じることの原因に発達障害があるのなら、できるだけ多くの人が知っておいたほうが人間関係は円滑に進むような気がしています。

そこには、感じの悪いことを言う人がいるのではなく、特徴的な解釈があるだけだからです。

(補足)
厚生労働省のウェブサイトより
発達障害は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、行動面や情緒面に特徴がある状態です。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

【出典・参照元】

こちらの書籍は、人間心理に興味があっていろいろ読み漁っているときに出会いました。
引用したのはこちらです。

ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が会社の人間関係で困らないための本

人間関係で悩む誰かのためになるかもしれませんので、読み漁った書籍のなかで、読んでよかったなと思ったものを記しておきますね。
(書籍の紹介)

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まとめ

大人の学びで、私のオススメのコミュニケーションモデルと、それに関連する人間心理をご紹介しました。

人は自分独自の方法で情報を取り入れ、内部処理をしています。
そこには、育った環境や体験したことが関連しているので、本当に全員が違うパターンを持っています。

「全員違うんだ」
と知ることで、コミュニケーションが円滑でもそうでなくても、建設的なコミュニケーションを取り続けることが出来ると思っています。

中には、書きながら耳が痛いこともありましたが、それは私の伸びしろだと勝手に処理して、今後も学び続けていこうと思っています。

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