無駄な会議、何も決まらない会議、
批判や否定ばかりの実りない会議。
もっと有意義に時間を使えたら。。。
結果につながる創造的で、生産性のある会議をしたい。
このように感じたことはありませんか?
そこで、この記事では創造的で、
生産性の高い会議、
あるいは軽めの打合せをするための
ファシリテーション方法をご紹介します。
これからご紹介する方法を使うことで、
創造的で生産的な会議を行えるようになるだけでなく、
以下のような生産性の低い会議を
「結果の出る創造的な会議」へ変えることが可能になります。
- ゴールやビジョンを描けない
- 戦略、方法、行動計画が決まらない
- 良質なアイデアが生まれない
- いつも、理想だけを語って終わってしまう
- 既存の思考や発想から抜け出せない
- 否定、批判、反論ばかりの会議になる
- 会議のゴール、目的、意図が曖昧なまま進む
- 話がまとまらない
- 影響力の強いメンバーが主導権を握っている
など
実はこのような状態は、
効果的なファシリテーションの方法を学ぶだけで、
解決できることがほとんどです。
つまりファシリテーターのリードひとつで、
いつでも創造的な会議、打合せ、ミーティングに変えることができます。
またファシリテーターの場の作り方次第で、
メンバーの主体性がより高まり、
協働関係を作り出すことができます。
それが最終的に手にする結果を変えていきます。
さらにファシリテーション方法は、
あなたの仕事、恋愛、人間関係、健康など、
人生全般での目標達成や問題解決にも使うことができます。
そのため、
この記事では数あるファシリテーション方法から、
まずは押さえておきたい効果的な方法をご紹介します。
心理学や脳科学を使った方法もありますので、ぜひご活用ください。
1.ファシリテーションとは?
ファシリテーションとは、会議の方向、メンバーの思考をゴールへ方向づけ、参加メンバーの協力や協働を促す行為です。
このファシリテーションにより、会議、軽めの打合せ、ミーティング時には、そのときのテーマに対して、「最高のゴールやビジョンを描き、結果を出すための戦略、方法、行動計画を明確にし、これ以上ないレベルで練り込み、形にする」ことができます。
また重要な会議ほど、行き詰まり、混乱、感情や意見のぶつかり合い、否定や批判、新しいことへの不安や抵抗など、参加メンバーの中で様々なことが起こります。しかしファシリテーションの方法を学ぶことで、一見ネガティブに見えるその状況を、結果を出すためのアイデアに変えていくことができます。
そして他にも以下のことが可能になります。
【ファシリテーションの方法を学ぶことで得られる成果】
- 参加メンバーの主体性を引き出し、協力、協働関係を築く
- あなたとメンバー、あるいはメンバー同士の信頼関係を築き、育む
- 会議の方向、メンバーの思考をゴールに向けて方向づける
- プロジェクトの理想的なゴールを明確に描く
- 練り上げた戦略、方法、行動計画を立てる
- 不測の事態が生じても、計画が持ちこたえられるように問題を回避する
- 計画上の不具合や問題を見つけて回避できるようにする
- 客観的な視点でプロジェクトの全体、詳細を評価、修正する
- 会議中の行き詰まり、混乱、否定、批判、ぶつかり合いへの対応
- 参加メンバーと場を観察し、必要なケアや介入を行う
など
さらに個人の仕事、恋愛、人間関係、健康など、人生全般で「最高のゴールやビジョンを描き、結果を出すための戦略、方法、行動計画を立てる」ことにも使えるため、ゴールやビジョンの実現、悩みや問題の解決にも効果を発揮します。
そのためファシリテーションの方法は、「仕事の質」「人生の質」を高める、有用なものということができます。
【補足:Wikipediaにおけるファシリテーションの定義】
※Wikipediaでは、ファシリテーションを以下のように定義しています。
会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させるリーダーの持つ能力の1つ。
※出典・参照元:Wikipedia:ファシリテーション
2.効果的なファシリテーションを行う16の方法
ファシリテーションはたった1つの方法、ちょっとした違いを知るだけで、会議の進行、雰囲気、手にする結果に大きな違いを生み出します。そして学んだ方法は、経験を積むほど効果的な会議を行えるようになります。そこでこの章では、具体的な方法をご紹介します。
■1.メンバーの意識と思考を方向づける
メンバーの意識と思考を方向づけましょう。会議の始まりに、会議の目的やゴールを伝えることで、メンバーの中でどこに意識を集中させればいいかが明確になります。こうすることで、もっとも重要なことへ意識を集中させることができます。
具体的には以下を行いましょう。
【メンバーの意識と思考を方向づける方法】
- 会議の目的を共有する
- 会議のゴールを共有する
- ゴールの達成がなぜ必要か、なぜ重要かを共有する
- ゴールを達成することの利点、価値、意味を共有する
- ゴールを達成することで、何が実現できるかを共有する
- ゴールを達成することに対する、価値ある事例を共有する
- メンバー全員に対して、直接的、間接的に「あなたならできる」と伝える
- メンバー全員の協力が必要であることを伝える
- 会議全体のアジェンダを伝える
など
※プロの講師、コンサル、ファシリテーターほど、意識的に方向づけを行っています。
このように意識と思考を方向づけることは、メンバーにとっても集中しやすい状態を作ることができ、持っている能力やパフォーマンスを発揮しやすくします。さらに意識や思考が別の方向へブレるのを防止する効果もあります。そのため大切なファシリテーションの方法になります。
■2.会議の進め方、注意点に同意を得る
会議の進め方、注意点に対して、メンバーから同意を得ましょう。それによりメンバーは心の中で準備ができ、会議をスムーズに進めやすくなります。
具体的には以下を行いましょう。
【会議の進め方、注意点に同意を得る方法】
- あなたが会議の進行やファシリテーターであることを伝える
- その日の会議の終了時間を共有する
- 批判、否定、話の遮り、話のかぶせは禁止と伝え、同意を得る
- 行き詰まりや混乱が生まれたら、中断、介入することがあることを伝え、同意を得る
- あなたが発言者を指名することがあると伝える
- 話を整理するために、問いかけることがあると伝える
など
※コミュニケーションが上手な人ほど、実は自然な形で、周囲の人からたくさんの同意を得ています。
あらかじめ会議の冒頭で伝えることで、参加メンバーも受け入れやすくなり、スムーズにやり取りできるようになります。さらにあなたがファシリテーターであると明確に認識できるため、進めやすくなります。
■3.参加メンバーを励ます
ことあるごとにメンバーを励ましましょう。会議のテーマが大きい、重要、難易度が高いなど、白熱する会議であるほど、行き詰まり、混乱、否定、批判、ぶつかり合いなどが起こります。そんなときはメンバーを励ましましょう。それにより、一見ネガティブに思える状況の中で、可能性に目を向け、モチベーションを高めることができます。
具体的には以下を行いましょう。
【参加メンバーを励ます方法】
※以下は例になります。励ます前に、状況に対する意味づけを変えたりなど、工夫を加えるとベストです。
- 行き詰まっているとき
:優れたアイデアは、行き詰まりから生まれることが多い
:行き詰まるのは、それだけ集中できていることだとねぎらう
:行き詰まりのときは、踏ん張りどころだと励ます - 混乱が生じたとき(メンバー全体や個人)
:混乱はよくあることなので、実は大したことではないと伝える
:混乱の中から、新しい気づきやアイデアが生まれると励ます - ぶつかり合ったとき
:まずリラックスしてもらい、ぶつかり合いの裏にある意図を確認する
(どのような気持ちか、何を伝えたいか、何を分かってほしいか、何に不安を感じているかなど)
:ぶつかり合うほど、真剣になってくれていることへ感謝する
:あなたの協力が必要だと励ます - ネガティブな心理状態に陥ったとき
:一度、深呼吸をしたり、立ち上がって体を動かして、気持ちを切り替える
:ネガティブな状態には、肯定的な意味、価値、メッセージがあることを伝える
:ネガティブな状態には、どんな意味があり、何を教え、気づかせ、学ばせてくれようとしているかを確認する
:ネガティブになる状態に向き合ってくれているメンバーへ感謝し、励ます
など
※人の心を掴み、動かす人ほど、本音で相手を励ますということを自然に行っています。
励まされることでメンバーは前向きな心理状態に切り替わることができます。良くも悪くも心理状態は周囲のメンバーへ伝染し、思考や感情に影響を与えます。そのため、ファシリテーションでは、メンバーの心理状態へ目を向けるのがポイントになります。それにより最悪の事態や展開を回避することもできます。
■4.最高の心理状態をつくる
最高の心理状態を作ってから会議に入りましょう。心理状態と思考、感情、行動はつながっています。そのため、最高の心理状態であることは、クリアな思考、高い集中力、素晴らしいパフォーマンスを発揮できるような脳の状態を作り出してくれます。この場合の心理状態とは、リラックスして、自分にも参加メンバーに対しても、肯定的な心理状態を指します。
具体的には以下を行いましょう。
【最高の心理状態をつくる方法】
※立った状態で行いましょう。
- 姿勢を正す
- 背中側で肩甲骨同士を寄せる(それにより胸が開きます)
- 重心を丹田に集中させる
- 口角や頬肉を上げる
- 口の力、噛み合わせを緩める
- 目の力を緩め、周辺視野になり、表情をリラックスさせる
- 深呼吸を10回行いリラックスする
- 素晴らしい会議ができているのをイメージする
- 過去にファシリテーションが上手く行ったときのことを思い出す(あればで大丈夫です)
- 今回の計画が最高の結果を出しているのをイメージする
など
※心と身体はつながっているため、姿勢や身体の状態を変えるだけで心理状態も変わります。
あなたが自分にもメンバーにも肯定的な心理状態であることで、メンバーにも伝染し、会議の場が、話のしやすい、肯定的な雰囲気になります。そしてお互いが肯定的な心理状態にあるとき、メンバーの思考や発想の質が高まります。
会議中にあなたの心理状態がブレても、修正できるようになります。そして参加メンバーに対しても、効果的に使うことができます。
■5.信頼関係を深め、調和の取れるコミュニケーションを行う
お互いの信頼関係を深め、調和の取れたコミュニケーションを取るように意識しましょう。それにより無意識レベルでの安心感、共感、信頼感が生まれます。優れたリーダーやコンサルタントほど、それを意識的に行います。その結果、お互いの思考や発想が自然に活性化され、促進されます。
具体的には以下を行いましょう。
【信頼関係を深め、調和の取れるコミュニケーションの方法】
- 徹底的に相手のペースに合わせる(話し方、話すスピード、声の大きさや抑揚など)
- 話に耳を傾け、否定せずに、肯定的に受け止める
- メンバーが使っている言葉を使って、伝え返す
- 姿勢、表情、ジェスチャーを合わせる(やり過ぎには注意が必要です)
- 頷き、相槌を返す
- 「それって、こういうことですか」と話を要約して返す
- アイコンタクトを大切にする(参加メンバー全員と目でもコミュニケーションを取る)
- 笑顔、笑い
- 褒める、ねぎらう、認める
など
※このようなコミュニケーションの取り方を心理学NLPではラポールスキルと言います。
信頼関係を深め、調和が取れていると、参加メンバーも安心してその場に存在することができます。あなたへの好感も増すため、ファシリテーションしやすくなり、行き詰まりや混乱の際も、お互いに協力し合うことができるようになります。
■6.意図を設定する
会議に対する「意図」を設定しましょう。意図とは、例えば「尊重し合い、全員とのコミュニケーションを楽しみながら」「驚きと発見を楽しみながら」など、会議でどのような体験をしたいかという、どのようなの部分を指します。それにより脳や無意識が、意図に向けて方向づけられるため、自然と思考、感情、言動が意図に沿ったものになっていきます。
そのため、あなたが理想とする優れたファシリテーターとして、相応しい意図を設定することがポイントになります。
具体的には以下を行いましょう。
【意図を設定する方法】
- 深呼吸を10回行い、リラックスする
- 会議の場を「どのような体験にしたいか」決める
- 紙に書き出す(書き出すと、脳が認識を強め、働きやすくなります)
など
※意図の設定は、20カ国以上で心理学NLPのトレーニングを行っている、NLPマスタートレーナーのティム・ハルボム氏、クリス・ハルボム氏が、生徒さんたちに教え、効果を出しています。
ファシリテーターであるあなたは、会議前に意図を設定するのがベストです。そして可能なら、会議の本題に入る前に、参加メンバーにも意図を設定してもらいましょう。それによりメンバーの心理状態、思考、感情、行動が自然に変化していきます。
【補足:意図の設定に関して】
※以下の記事で詳しくまとめていますので、併せてご覧ください。
■7.共通言語と共通認識を決める
共通言語と共通認識を決めましょう。認識の違いが生まれやすい言葉、よく使う言葉に対して、言葉の意味づけ、定義づけを行い、メンバーが使う共通の言葉として統一します。それにより認識の違いから生まれる、メンバー同士の誤解、勘違い、すれ違い、ぶつかり合いを防止することができます。
さらに、プロジェクトの進捗をどのように共有し合うかなど、お互いがやるべきことの認識も共有し合うことで、お互いに理解を深め合い、フォローし合いやすくなります。
このように共通言語、共通認識を決めることで、会議やプロジェクトをスムーズに促進することができるようになります。
具体的には以下を行いましょう。
【共通言語・共通認識を決める方法】
- 認識の違いが生まれやすい言葉、よく使う言葉に対して意味づけ、定義づけをする
- メンバーの同意を得て、意味づけ、定義づけをした言葉を共通言語、共通認識にする
- お互いにやるべきことを決め、共有し合う
など
※プロのファシリテーターや優秀なリーダーほど、共通言語、共通認識を大切にしています。
共通言語、共通認識を決めることで、メンバーは安心してやり取りをすることができます。さらにお互いに、言葉に対する集中力や気遣いが高まるため、ファシリテーションをしやすくなります。
■8.創発し合える場を作る
お互いの思考や発想が、相乗効果で活性化するようにしましょう。他者の意見から刺激、学び、ヒントを受け、今までは得ることのできなかった新たな気づき、アイデアを生み出せるようなやりとりを創発といいます。そのような場を作ることで、1+1を、2ではなく、3や4、あるいは10にすることもできるようになります。
具体的には以下を行いましょう。
【創発し合える場を作る方法】
- 会議の冒頭で、創発をベースにしたやりとりを基本にすると伝える(同時に創発がどういうものかを伝える)
- もしも、創発のような相乗効果を得られるやり取りができたらどうか?と同意を得る
- 否定、批判、話の遮り、話のかぶせを禁止とする
- お互いに尊重し合うことをルールにする
- 相手の話をしっかりと聞き、その上で自分の考えを共有することを基本とする
など
※0から1を生み出せる人ほど、創発のような相乗効果の高い思考をしています。
創発し合うことで、参加メンバーも会議の場を楽しめるようになります。それがさらに良い循環を生み出します。そのため、創発し合える場を作ることは、ファシリテーションには必要不可欠な要素になります。
■9.必要なタイミングで介入する
会議の中で起きる、行き詰まり、混乱、ぶつかり合い、沈黙など、それらが過剰になってきたら、必要なタイミングで介入しましょう。それによりネガティブな影響を生み始めた会議を、ゴールや目的に向かい、軌道修正していけます。これができるようになると、ファシリテーションに対する自信が格段に高まります。
具体的には以下を行いましょう。
【必要なタイミングで介入する方法】
※以下にシチュエーションと介入の例をご紹介します。
- 批判、否定、混乱が生じたとき
:否定や批判が禁止であることを伝え、絡み合った話を一つひとつ完結させる - 行き詰まりから抜け出せないとき
:「この行き詰まりにどんな意味があるか」を問いかける
:ゴールや目的(どうなりたいか)へ意識を向け直した上で、やりとりを再開する - 既存の思考の延長から抜け出せないとき
:「もしもできるとしたら?」など、思考の限界を取り除くような質問を行う - 疲労やモチベーションの低下が見られるとき
:休憩を挟む、深呼吸をする、立ち上がって身体を動かす - ネガティブな心理状態になっているとき
:声をかける、休憩を挟む、深呼吸する、立ち上がって身体を動かす、ゴールを達成している姿をイメージする - 問題、不安、恐れにばかり目が向いている
:ゴールや目的(どうなりたいか)に意識を向けた上で、会議を続ける - 話が脱線する、話が長いとき、話にまとまりがないとき
:結論を聞く、話を短い言葉にまとめるとどうなるかを聞く、話を具体的にする質問を行う
など
※介入できるかどうかは、ファシリテーターやリーダーに必要不可欠な能力になります。
適切なタイミングで介入することで、メンバーは安心して会議に参加することができます。つまり、会議の場がネガティブで生産性を失うか、何が起きても、最終的には創造的で、生産性の高いものになるかは、ファシリテーターの力量にかかっています。
■10.状況を観察する
会議中に何が起きているかを常に観察しましょう。会議の場、参加メンバー、メンバー同士のやり取りで、どんな出来事が起き、今がどんな状態で、誰がどのような心理状態にあるかを観察します。それにより必要なタイミングで介入できるようになっていきます。
さらに、アイデアがあるのに発言できないメンバー、集中力が落ちているメンバー、感情的になっているメンバーなど、状態に気づいてケアできるようになります。
具体的には以下を行いましょう。
【状況を観察する方法】
※以下に観察するポイントをご紹介します。
- 表情、口角、目線、顔の色
- 呼吸、テンション
- 姿勢、身振り手振り、足元と足の動き
- 使う言葉、話し方、話すスピード
- 声の大きさ、抑揚、張り
- 雰囲気
など
※常に全体を俯瞰して見られるように、周辺視野を使いましょう。
適切なタイミングでケアをしてくれるファシリテーターに、参加メンバーは安心感を覚え、主体的に会議に参加できる状態をつくれます。
■11.具体的に聞き、話を掘り下げる
曖昧な話、明瞭ではない話を具体的に聞き、話を掘り下げましょう。それにより参加メンバーの発言の意図を知り、話の内容もより詳細に理解できるようになります。
具体的には以下を行いましょう。
【話を具体的に聞き、掘り下げる方法】
※以下のような質問や問いかけを行いましょう。
- 本当に?
- どうしてそう思ったの?
- もう少し詳しく教えてもらっていいですか?
- 具体的には?
- もしも、可能性があるとしたら?
- それをやることのメリット、デメリットは?
- それをやらないことのメリット、デメリットは?
など
※具体的にするための質問は、思考を明確にするだけでなく、思考を深める効果もあります。
話を具体的にすることで、お互いに内容を理解、意図を把握できるようになり、会議を進めやすくなります。そのため具体的な質問はファシリテーターとして大事なスキルになります。
■12.抗えないほど魅力的なゴールを明確にする
あなたの心を捉えて離さないほど魅力的なゴールを描きましょう。それにより会議の参加メンバーの意識がゴールに集中します。さらに脳や無意識もゴールに方向づけられるため、メンバーの思考、感情、言動が、ゴールの達成に向けて変化します。
このように「どうなりたいか」というゴールや実現したいビジョンを描くことは、目標達成や問題解決の基本になります。
具体的には以下を行いましょう。
【抗えないほど魅力的なゴールを明確にする方法】
1、意識と思考を方向づける
- 「ゴールやビジョンを明確にすることのみに集中する時間」であることを伝える
- 「どのように実現するか、誰が役割を担うか、本当にできるのか」などのやりとりは、「アイデアを潰す、既存の思考から抜け出られない、思考のブレイクスルーを妨げる可能性がある」などのポイントを伝える
2、具体的な質問でゴールやビジョンを明確にする
※以下の質問を行いましょう。
- 理想的、あるいは魅力的なゴールは何か?
- どうなりたいか?
- 実現したいビジョンは何か?
- プロジェクトの長期的なビジョンは何か?
- 目的は何か?
- どうして、そのゴールやビジョンが大切か?
- ゴールやビジョンを達成する上で、大切な価値観は何か?
- ゴールを達成したことは、どのような状態になったときに分かるか?
- いつ、どこで、誰とその結果を手に入れたいか?
- お客様、会社、関わる人、利害関係者が得られるベネフィットは何か?
など
3、注意すべき状況での進め方
- メンバーの意識が問題に向いているとき
:問題に変えて、どのような状態を手に入れたいか?
:現状に変えて、どうなりたいか? - メンバーが無理、できない、実現不可能という制限を持っているとき
:その状況に変えて、どのような状態を手にしたいか?
:もしも可能だとしたら、どうなりたいか? - 批判、否定、どのように実現するのか?などのやりとりが生まれたとき
:批判や否定はしないという注意点を思い出してもらう
:ゴールとビジョンを明確にする時間であることを思い出してもらう
:意見や不安に関しては、今後のやりとりでしっかり扱うことを伝える
など
最終的に実現したいゴールを明確にすることで、メンバーは会議や現場で動きやすくなります。さらにゴールやビジョンだけを扱う時間を設けることで、メンバーは発言しやすくなり、創発し合い、より良いゴールやビジョンを描きやすくなります。
このようにゴールやビジョンを明確にする場を設けることも、ファシリテーションに必要になります。
■13.ゴールを実現する戦略、方法、行動計画を作る
ゴールやビジョンを実現する戦略、方法、行動計画を作りましょう。いつでも、社長や上司、協力者、利害関係者などにプレゼンできるくらい、「実現方法」と「進捗や成果の確認方法」を明確にするのがポイントです。
具体的には以下を行いましょう。
【戦略、方法、行動計画を決める方法】
1、意識と思考を方向づける
- 「戦略、方法、行動計画を決めることのみに集中する時間」であることを伝える
- 「批判や否定、できる、できない、それはリスク管理があまい」などのやりとりは、「アイデアや選択肢を潰す、既存の思考から抜け出られない、ブレイクスルーを妨げる可能性がある」などの理由を伝える
2、具体的な質問でアイデアや選択肢を出していく
※以下の質問を行いましょう。
- このゴールやビジョン/プロジェクトの期限はいつか?
- 最初のステップ、次のステップ、さらにその次のステップは何か?
- このプロジェクトに関係する人は誰か?
- 責任者やキーパースンは誰か?
- どのような手順で進めるか?
- ゴールやビジョンを実現したことは、どのような状態になったときに分かるか?
- 進捗や成果の確認をどのように行うか?
- 行動に対するフィードバックはどのように受け取るか?
- 誰が、どのような役割を担うか?
など
戦略、方法、行動計画をつくるときは、長期、中期、短期という時系列で計画を立て、それぞれに対してアイデアを出し、練っていきましょう。それによりメンバーの思考は方向づけられ、整理もしやすいため、質の高い会議を促進できるようになります。
さらに、今は戦略などの全体的な話をしているとき、今は現場での詳細な行動計画を立てるときなど、全体的な話と詳細な話は別々に行うこともポイントです。このようにファシリテーションの進め方次第で、戦略、方法、行動計画の練り込み具合が変わり、最終的に手にする結果が変わります。
■14.建設的な批判を行う
ゴールやビジョン、戦略、方法、行動計画に対して、建設的な批判を行いましょう。それにより、「もしもの事態へのリスク回避」「計画上の不具合、問題点、見落としの洗い出しと解決」「生まれるかもしれないマイナス影響の予測と対処」「予期せぬ自体への対応、見落としのチェック」などを行い、計画は結果を出せるものへ練り上がっていきます。
そのため、特にこの段階は、頭に汗をかく時間となります。
具体的には以下を行いましょう。
【建設的な批判を行う方法】
1、意識と思考を方向づける
- 建設的な批判をするポイントは質問をすることだと伝える
- 思考を練り上げるためには、創発し合うことも重要だと伝える
- 否定、批判、文句、攻撃は禁止であることを伝える
2、具体的な質問で建設的な批判を行う
※以下の質問を行いましょう。
- このプロジェクトは本当に達成可能か?
- この期限は本当に適切か?
- このプロジェクトにより良い影響を受ける人は誰か?
逆に悪い影響を受ける人は誰か?
プロジェクトを行わない場合、どのようなプラスとマイナスがあるか?
(お客様、メンバー、利害関係者、メンバーの家族、会社、社会などに対して) - 鍵となる利害関係者は誰か?
- 彼らのニーズは何か?
- このプロジェクトに誰かが異議を唱えるとしたら、それはなぜか?(意図は何か?)
- このプロジェクトにリスクが生じる場合、それは何か?
- 計画から欠けているもの、さらに加えるものはあるか?
- このアイデアを導入しない方がいいと思う、時期、場所、理由はあるか?
- このプロジェクトをやめるとしたら、どのような状況においてか?
- この計画を実行する人は誰か?その人は適切か?
など
時に行き詰まり、混乱、思考の堂々巡り、白熱した議論、否定や批判など、様々なことが起きやすい状態とも言えます。そのため、ファシリテーターのリード、観察力、介入が大切になります。それによりメンバーも集中した状態を作りやすく、集中を持続しやすくなります。
■15.他者の視点、第三者の視点を使う
メンバーと一緒に、他者や第三者の視点を使いましょう。誰かになりきってゴールやビジョン、戦略、方法、行動計画を見ること、イメージの中で体験することがポイントになります。それにより、自分だけの視点では見えなかった、アイデア、問題点、発見、見落としなどに、気づくことができます。
このようなプロセスを行うことで、思考や発想が広がり、練り込まれ、深みが増していきます。
具体的には以下を行いましょう。
【他者の視点、第三者の視点を使う方法】
※以下のような問いかけをしながら、メンバーと一緒にそれぞれの立場になりましょう。そしてゴールやビジョン、戦略、方法、計画がどのように見えて、感じるか、あるいは何を考え、どのような気づきがあるかを受け取りましょう。
- もしも、エンドユーザーの立場なら?
- もしも、既存のお客様の立場なら?
- もしも、メンバーやスタッフの立場なら?
- もしも、利害関係者の立場なら?
- もしも、経営者の立場なら?
- もしも、家族や恋人の立場なら?
- もしも、競合他社の立場なら?
- もしも、全く知らない第三者の立場なら?
など
※他者や第三者の視点を使う方法は、目標達成や問題解決に必要不可欠な要素のため、ファシリテーションで必要な方法になります。
思考を深め、広げる意味で効果的な方法ですが、他者の視点に立つことで、相手へ共感することもできるため、コミュニケーションを円滑にする作用も生まれます。
【補足:他者や第三者視点に関して】
※以下の記事で詳しくまとめていますので、併せてご覧ください。
■16.決める
結果を出すと決めましょう。ゴールやビジョンを実現する、達成すると決めます。そして、そのために実りある最高の会議を行うと決めましょう。それが結果を出すための第一歩になります。このように自己責任で結果を出そうと決めた瞬間から、現実が動き始めます。
さらにファシリテーターが、参加メンバーの誰よりも意識が高いことで、会議の場をリードしやすくなります。そのための最も重要な原動力は、決めることです。
補足:■12~■14に関して
■12~■14に関しては、以下の手順で行うとより高い効果を発揮します。
- ステップ1:■12~■14を順番に行う
- ステップ2:ステップ1で出た思考、アイデア、意見を受け取り、ステップ1を繰り返す
- ステップ3:これだという状態に行き着くまで、ステップ2を繰り返す
実はこのような方法や手順の基本は、ウォルト・ディズニーが行っていました。例えば、白雪姫、ピノキオなど、様々な作品の制作において、ディズニーは3つの視点を使い分け、思考を広げ、深めていました。
そして、ディズニーの思考プロセスを誰もが使えるように体系化したのが、心理学NLPになります。仕事、恋愛、人間関係、健康など、様々な面で使える有効な方法として、心理学NLPでは「ディズニー・プランニング・ストラテジー」として、教えられています。
まとめ
たった1つの効果的な方法を実践したり、ちょっとしたポイントを押さえるだけで、あなたのファシリテーションは大きく変わり始めます。それは創造性と生産性の低い会議を、結果の出る、創造的で生産的な会議へと変える力になります。
そこでこの記事では、以下をファシリテーションの定義として、効果的な方法をご紹介しました。
ファシリテーションとは、会議の方向、メンバーの思考を方向づけ、参加メンバーの協力や協働を促す行為です。
このファシリテーションにより、会議、軽めの打合せ、ミーティング時には、そのときのテーマに対して、「最高のゴールやビジョンを描き、結果を出すための戦略、方法、行動計画を明確にし、これ以上ないレベルで練り込み、形にする」ことができます。
そしてご紹介した方法は会議だけでなく、仕事、恋愛、人間関係、健康など、人生全般で使うことができます。特に■12~■14は、目標達成や問題解決の確率を格段に高めるほど、戦略、方法、行動計画を結果が出るものへ練り上げることが可能になります。
そのため、ファシリテーターとして会議で使うだけでなく、ぜひあなたの人生全般にもご活用ください。