この記事でご紹介する「勇気づけ」は
アドラー心理学の重要な考え方であり、
あなたの人間関係をより良いものにしていく学びです。
私達の悩みのほとんどは
人間関係が影響していると言われています。
悩んだり、苦しんだりすることも多い人間関係ですが、
そんな人間関係をもっとずっと楽にする
考え方があったらいかがでしょうか。
この記事をご覧になって、自分にも、そして他者にも
勇気づけができるあなたになっていきましょう。
アドラー心理学についての全体像や特徴、勇気づけの元となる大切な考えを知りたい方は、より理解の深まるこちらの記事も併せてご覧ください。
目次
1.アドラー心理学における勇気づけとは?
アドラー心理学は別名で、「勇気の心理学」と呼ばれています。
実は、この「勇気づけ」という概念は、アドラー心理学の中でも非常に大きな考え方なのです。
勇気づけについてご説明する前に、まずはアドラー心理学で説かれている「勇気」についてご説明していきます。
実は、アドラー心理学で説かれている「勇気」は、私たちが普段使っている意味合いとは少し異なります。
一般的な「勇気」 | 恐れずに立ち向かう気持ち |
---|---|
アドラー心理学の | 人間関係上の困難を 克服する力 |
アドラー心理学は、人間関係の改善や向上についてのアプローチが豊富です。
そのため、この「勇気づけ」も、人間関係にまつわる意味となっています。
多くの人は、生きていく中で、人間関係の困難やトラブルにぶつかります。
人それぞれ価値観や考え方が異なるので、人間関係で衝突するようなケースは、ある種、自然な結果でもありますが、アドラー心理学では人間関係について下記のように考えています。
他者を思いやり、他者に貢献するようにして仕事や交友、愛といった人生の課題に取り組む力が大切である。
こうした背景から、アドラー心理学では、「勇気」を『人間関係上の困難を克服する力』と説明しているわけです。
1-1.勇気づけの考え方とは?
アドラー心理学での勇気づけとは、「困難に立ち向かい、乗り越えるための活力を与えること」を指します。
ここでの困難とは、決して克服できない障害といったものではなく、立ち向かい、乗り越えることができる課題、というような意味合いです。
この勇気づけとは、言い換えると、目標達成・問題解決のためのモチベーションを与える、ということです。
アドラーの勇気づけでは、「自分には課題を達成できる能力がある」という自信を持つようなはたらきかけをすることが重要、と言われています。
これは単に、励ましの言葉をかければいいものではなく、目の前の課題や目標から目を背けさせるわけでもありません。
「あなたはできる」というシンプルなメッセージが相手に伝わることこそが、アドラーの「勇気づけ」なのです。
こうしたことから、この勇気づけは人生のあらゆる場面に、大きく影響する大切な考え方と言えます。
1-2.勇気づけを構成する3要素
アドラー心理学の「勇気づけ」には、大きく分けて、土台となる要素が3つあります。
それは、所属感・信頼感・貢献感の3つです。
①所属感 | 自分は居場所を持っているという感覚 |
---|---|
②信頼感 | 周囲の人を信頼しようとする感覚 |
③貢献感 | 人や職場など、社会に対して自分が役に立っていると 実感する感覚 |
①の所属感とは、「自分は居場所を持っている」という感覚のこと。
例えば、職場や家庭の中で、自分という存在が所属している、あるいは受け入れられている、という感覚です。
人は社会的な動物と言われているため、集団やグループに所属することは、欲求の根本的な部分を満たすことに繋がっています。
②の信頼感とは、周囲の人を信頼しようとする感覚と言われています。
少しおさらいの内容になりますが、勇気づけとは、「あなたならできる」というメッセージを伝えていくことでした。このメッセージを伝えられるようになるために、この信頼感は非常に大切な感覚です。
相手という存在を心から信じ、心から「あなたはできる」と伝えることで、勇気づけの効果は十分に発揮されていきます。
③の貢献感とは、人や職場など 自分が社会の役に立っていると実感する感覚です。この貢献感は、上記にご紹介した①の所属感、②の信頼感を満たすベースの要素となっています。
他者に貢献する気持ちが、相手に好かれる・求められることに繋がり、その結果、自分の居場所が作られていきます。
また、他人からの評価を気にせず、まずは自分から与えるというまっすぐな貢献の気持ちは、そのまま信頼感を満たすことにも繋がります。
- 所属感
- 信頼感
- 貢献感
これらの3要素は、アドラー心理学の「勇気づけ」を構成する重要な土台となります。
1-3.相手の意欲を下げる「勇気くじき」に注意
人間関係を良好にするアドラーの「勇気づけ」ですが、絶対に押さえておきたい注意点もあります。
それは「勇気くじき」という概念です。
勇気くじきとは、相手の意欲を急速に失わせ、困難を克服する力を奪う言葉のことで、下記の4つのパターンがあります。
縦の関係での動機づけ (立場を利用して、威圧する) | 「できなかったら、わかってるんだろな?」 |
---|---|
マイナス志向 (相手にネガティブな言葉をかける) | 「どうせ何回やってもうまく行かないよ」 |
人格否定 (相手の人格を否定する言葉をかける) | 「お前なんかには無理だ」 |
原因志向 (ミスや失敗に焦点を当てすぎる) | 「君のせいで失敗しちゃったじゃないか!」 |
気づかない内に、こうした表現や働きかけをしてしまっている方は、要注意です。
そして、アドラー心理学では、勇気くじきをする人のことを、「弱い人」という捉え方をします。
弱い人の特徴としては、他責思考で周囲を責めてしまう傾向にあったり、責任逃れをするようなパターンがあることが挙げられます。
2.勇気づけの具体的な方法
ここからは、自分自身を勇気づけるために、そして周りの人を勇気づけるための具体的な方法を紹介していきます。
普段から意識をすることで、あなたの存在が周りへ大きな影響を与えることにつながっていくことでしょう。
2-1.褒めないで感謝を伝える
あなたは相手のためを思って「すごいね」や「頑張ったね」のように、褒めることを意識してはいませんでしょうか。
実は、勇気づけは褒めるのとは違います。
褒めるというのは、能力がある人が能力のない人に対して、あなたは「よい」と上から下へ相手を判断し、評価する言葉です。
たしかに、一見褒められると、褒められた相手は「嬉しい」「この人は信頼できる」と感じるかもしれません。
しかしながら、いざ期待するようないい結果を得ることができなければ、たちまちその感覚や信頼関係は破綻してしまい、褒められない自分には能力がないと感じるようになってしまうのです。
そこで、意識すべきなのは「評価するのではなく、喜びを共有すること、自分の気持ちを伝えること」です。
こうした行動が勇気づけにつながります。
普段 当たり前だと思って見逃してしまっている行為に対して、「ありがとう」や「嬉しい」「助かった」などと言った言葉をかけることで相手はどんどん勇気づけられていきます。
2-2.自立性を高める働きかけをする
繰り返しになりますが、ただ単に褒めるだけでは、相手の自立性が育たず、「褒められるから頑張ろう」という、褒められることが前提となった依存関係に発展してしまう恐れがあります。
これでは悪循環にハマってしまうため、褒めるというよりも、「自立を促すような働きかけをする」という視点が大切です。
下記の例を実際に想像してみてください。
あなたは上司で、仕事についての不明点を部下から聞かれたとします。
この時…
「〇〇(部下)はどういう風に考えてるかな?」
「不明点を解消するために、もう少し自分で調べてみようか」
といった風に、相手の考えを聞き出したり、部下に対して行動のヒントを与えたりすることが重要です。
相手に考えさせる習慣をつけることで、自立し、周囲のために何をすべきかなどを自分で考えていけるようになります。
2-3.枠組みを変える
日々生きていく中で、自分と他者を比較したり、自身の目標と現状にギャップを感じたとき、私たちは「劣等感」を抱きます。
そしてその劣等感は私たちにとって、大切な感情であることをアドラー心理学は説いています。
実は、この劣等感が生じたときこそ、勇気づけの出番です。
誰しもが持つ劣等感ですが、劣等感は「より向上していきたい」というプラスの効果をもたらすこともあれば、反対に「やっぱり私はダメなんだ…」と行動をやめてしまうようなマイナスの効果をもたらすこともあります。
ここを分けるのは捉え方であり、言い方を変えると枠組みです。
例えば告白をした際に、振られてしまったとします。
当然ショックを受ける場面だとは思いますが、ここで
「ほら、どうせ自分なんて…」という枠組みで捉えるのか、
「悔しいけど、これは自分が変わるチャンスだ」という枠組みで捉えるのかで、その後の行動や結果は大きく変わってきます。
自分の中で枠組みを変えることも重要なのはもちろんのこと、周囲の人が劣等感に苛まれている際には、枠組みを変えるヒントを与えることで、相手に「向上していきたい」という勇気を与えることができるようになるのです。
2-4.加点方式で見る
相手への勇気づけを日頃からしていくために「加点方式で見る」ことを意識してみましょう。
私たちは普段、誰かに依頼したことに対して
「あれが足りていなかった」
「ここがちょっと良くないな」
「もっとこうしないと…」
というように、期待している状態を満点として、期待に足りない部分をマイナスとして捉えて、相手に伝えてしまうことがあると思います。
マイナスなことばかりを伝えるのは相手の勇気をくじく行為となってしまい、信頼関係を壊してしまうきっかけとなります。
一方、加点方式で見る習慣をつけることで自然と感謝をする気持ちが出てくるようになったり、過程を見て努力した点が目につくようになります。
相手の良いところを見つけたら加点していく。
すると、例えば期待していた分の70%しかできていなかったとしても、
「まだ30%も終わっていない」という捉え方ではなく、「70%できてるからあとちょっと頑張ろう」といったフィードバックになるわけです。
マイナスな点を見つけて指摘するのか、プラスの部分を見つけて感謝を伝えるのか、この習慣の差がとても大きいことは、あなたも容易に想像できるのではないでしょうか。
相手を見るときは「加点方式」を意識しましょう。
2-5.失敗を肯定する
失敗した際に
「なぜこんなことになったの?」と、
「なぜ」を使って聞いているケースをよく見かけます。
しかしこれは典型的な勇気をくじく行為であり、避けたほうがいい表現です。
もしも失敗した原因を明確にしたいのならば、「なぜ(あなたは)失敗したのか」と相手を主語にするのではなく、「なにが失敗の原因だったのか」と原因に焦点を当てる方法がおすすめです。
失敗をした人は少なからず、自身の失敗を悔いて反省していると考え、次に目を向けることが勇気づけにつながります。
「次はどんな部分に注意をしていこうか?」
「すごく良い挑戦だったよ」
など、失敗を肯定することで勇気づけが可能となります。
最後に
いかがでしたでしょうか。
自分だけでなく、他者を勇気づけられると、人間関係は今よりもさらに良くなっていきます。
それは勇気づけをすることで相手との信頼関係が深まることに加え、勇気づけの習慣ができると、やがてあなたが苦手だと感じる人が一人、また一人と減っていくからです。
ここまでご覧になって、面白さや興味が湧いた方は、アドラー心理学の全体像について理解を深めてみたり、心理学をご自身で学んでみることも選択肢の一つです。
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アドラー心理学について全体像や、勇気づけの元となる大切な考えを知りたい方は
より理解の深まるこちらの記事も併せてご覧ください。
参考:『アドラー心理学‐人生を変える思考スイッチの切り替え方‐』著者:八巻秀
『アドラー心理学入門』著者:岸見一郎
『アドラー100の言葉』監修:和田秀樹