「マネジメント」とは何か。
- 海外のビジネスでは「経営」
- 英語本来は「運営」
- 日本のビジネスパーソンは「管理」や「チェック」
このようにマネジメントはいろんな意味で使われています。
この記事では、曖昧に使われる
【マネジメント】の意味を明確に理解し、
あなたの仕事や人生によりよい結果を
生み出せるように図解でわかりやすく解説しました。
激変する時代、また正解がない不確実性の今、
マネジメントの意味を曖昧にしたままだと、
あなたのパフォーマンスや成果に
より大きな差が生まれることは確実です。
あなたが大企業であれ、中小企業であれ、
また学校や病院といったどんな業界や組織においても
役立つマネジメントの原理原則とは何か。
この記事でその土台と骨子となる基本軸の理解を深めて、
あなたの現場に応用してください。
目次
1.マネジメントとは
1-1.マネジメントとは何か
マネジメントとは、
理想と現状のギャップを埋めて、目標を達成することです。
マネジメントの父と呼ばれる
ピーター・F・ドラッカーは、マネジメントを
「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と定義しています。
ドラッカー自らもマネジメントを定義づけることは
困難であると言っており、
初めてマネジメントに取り組んでいく方には、
難解だと思います。
そこで背景となる著書「現代の経営」をひも解き、
シンプルにお伝えすると、
【組織の目標を達成すること】がマネジメントです。
組織の目標を達成すること。
この前提として知っておきたいのが、
理想と現状のギャップを知ることです。
ここからマネジメントがスタートしていきます。
1-2.マネジメントの土台は「理想」と「現状」のギャップを知ること
理想と現状のギャップを知ることが、
マネジメントの土台でありスタートです。
理想とは何か |
それは自分の組織がどうありたいのか、 誰のために、何のために、何をするのか。 マネジメントには、こういった理想を |
現状とは何か |
言葉通り、理想に対して現状が
このような項目を「数字」で認識していきます。 ポイントは数値化です。数値化することによって、 |
ギャップを特定し、目標を設定する |
理想と現状を埋めていくには、 何が必要か、何を削るか、何をつくり、 目標は「いつまでに」「何を」「どれくらいやるか」、 |
マネジメントは、理想と現状のギャップを埋めて、
目標を達成することです。
その土台として、
- 理想は何か
- 現状はどうなっているのか
- ギャップは何かそしてこのギャップを埋めるために
取り組むべき目標は何か
以上を設定していくことが、
マネジメントの土台であり、スタートになります。
【マネジメントに欠かせない重要な要素】
ここでお伝えしたい重要な要素があります。
それは組織の成果を生み出し、目標を達成する
あなた自身のマネジメントです。
タイムマネジメント、感情や知性のマネジメント、
また睡眠や食事といった健康に関するマネジメント、
そして人とのコミュニケーション力の向上が必要です。
仕事を動かす、組織を動かし、人を動かす
あなた自身の管理ができていないと、
冷静な判断もできなくなり、バランスを欠いた言動が
目立ち、達成どころではありません。
ギャップを分析する力や判断力、決断力、集中力、
また自分のモチベーションなど、他者だけでなく、
自分自身とのコミュニケーション能力の向上も
必須と言えるでしょう。
マネジメント力が高い人は、
目標を達成する力だけでなく、
自分に対するマネジメント力も高い人です。
※「目標設定」「目標管理」「達成スキル」についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
2.マネジメントの骨子となる計画と進捗管理
目標が設定できたら、
次に必要な手段となってくる骨子が
「計画」と「進捗管理」です。
2-1.マネジメントに必要な計画
目標達成のために何をやるのか。
これも目標と同様に「いつまでに」「何を」
「どれくらいやるのか」という条件に
基づき、以下の2つのステップで進めます。
①ステップ1:プランニング
目標を達成するために「何をやる必要があるのか」を
決めます。以下の2つの観点からその達成要素を列挙していきます。
【リソース(資源)】 |
−どんなリソースが必要か。 必要なチームや組織、人材や具体的なスキル、また資金といった達成要素を列挙します。 |
【リスク】 |
−達成のプロセスで起きる可能性があるリスクは何か。 コンプライアンスの遵守をはじめ、社外や社内への影響を予測し、対策を考えていくことも重要です。 |
※ギャップを埋めるための項目を必要に応じて
チームのプロジェクト化、個人のタスク化を図ります。
ステップ2:②スケジューリング
スケジューリングとは、プランニングで挙げた項目に優先順位をつけて、
時間軸に落とし込んでいくことです。
※マネジメントできないビジネスパーソンは、
プランニングとスケジューリングが混在しており、
部下を持つリーダーにおいては、致命的になります。
理由は部下やチームメンバーへの指示が錯綜するため
混乱が生じ、仕事への意欲やマネージャーに対する信頼が欠けてしまうからです。
この2つはしっかり区別して取り組みます。
2-2.計画、実施、検証、改善の進捗管理
マネジメントの骨子の二つ目が
「計画」「実施」「検証」「改善」の進捗管理です。
以下の項目の進捗を管理していきます。
項目 | 内容 |
計画 | 計画そのものの計画が進んでいるかどうか。コンプライアンスを大前提とした適切なものが生まれているかどうか。停滞しているとしたら原因の解明ができているかどうかの進捗を管理します。 |
実施 | 計画で決められたことが実施されているかどうか。「やったか」「やっていないか」の進捗を管理します。また、コンプライアンスに基づいて正しく実施されているかどうかを管理します。 |
検証 | 計画された期日に検証が行われているかどうか。また結果は期待値に届いているか否かのチェックをしていきます。 |
改善 | 期待値に届いていない場合に何をやる必要があるのか。いつまでにやるのか。その改善が行われたかどうかの進捗を管理していきます。 |
土台となる理想と現状のギャップとなる目標を設定し、
「計画」と「進捗管理」という骨子でマネジメントを
進めていきます。
3.マネジメントをスムーズにする2つの手法
「理想」「現状」「ギャップの特定」「目標設定」「計画」
「進捗管理」をマネジメントの土台と骨子として
機能させるために必要な手法をここで2つご紹介します。
それが、「フィードバック分析」と
「コミュニケーション」です。
3-1.フィードバック分析の活用
2章でご紹介した、計画されたものを実行し、
その実行を通して得られる結果に基づく改善が
必要になります。
そこで欠かせないのが、「フィードバック分析」です。
フィードバック分析とは、
これもマネジメントの父ドラッカーが有名にしたもので、
期待(やろうとしたもの)に対する結果を比較し、
改善課題の特定や強みを強化するものとして紹介されました。
このフィードバック分析が発展し、
近代マネジメントの原型として一般的になったのが
PDCAと呼ばれるサイクルです。
PDCAサイクル
フィードバック分析を
品質管理の分野に特化させたのが
PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)と呼ばれる
近代マネジメントの原型です。
今は経営のみならず、
個人の成果全般にも応用されていくようになりました。
PDCAサイクルは、サイクルを構成する
次の4段階の頭文字をつなげたものです。
Plan (計画) | :従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する。 |
Do (実行) | :計画に沿って業務を行う。 |
Check(評価) | :業務の実施が計画に沿っているかどうかを評価する。 |
Act (改善) | :実施が計画に沿っていない部分を調べて改善をする。 |
何かがうまくいっていないときは、
このサイクルのどこかが停滞しています。
停滞しているのであれば、どこが停滞しているのかを
見つけ、修正を行います。
ポイントはスピードです。
- すぐに着手する
- すぐにやること
を心がけていきます。
「正解」や「正しいやり方」に意識を奪われると、
時間だけが過ぎ、トップの意思決定に影響を与えます。
このサイクルをスピーディーに回しながら
理想に近づけていくことが、
激動する時代には不可欠な要素です。
【フィードバック分析をベースにしたプロセスやサイクル】
マネジメントのプロセスやサイクルは、
意思決定のプロセスなども含め、
次のようなサイクル、ループ、モデルと称して
用いられていますので参考にしてください。
PDS(ピーディーエス)サイクル
Plan Do See
計画、実施、点検や検証
元々は品質管理に使われるサイクル
※経営者においては、「計画」「指示や命令」「検証」
の意味でも使われます。
OODA(ウーダ)ループ
Observe Orient Decide Act
観察、適応(方向性を見出す)、決定、行動
軍事行動における意思決定のプロセスから
生まれたもので、先がわからない状況において
不確かな状況に適応するところから、
今ではビジネスの世界でも応用されています。
T.O.T.E.(トート)モデル
Test Operate Test Exit
仮説のテスト、実施、検証、出口(ゴール)
プログラミングの世界で使われ、
正常に機能するかどうかをチェックするモデルです。
今では心理学NLP(神経言語プログラミング)で
知られるようになったモデルで、
目標達成や人間関係の改善、また感情という
数値化できない領域にも適応できるモデルとして広がっています。
このモデルは目標達成のプロセスと同時に、
プロジェクトレベル、タスクレベルでも活用できる
NLPのモデルです。
以上をまとめるとマネジメントでの位置づけは、
以下の図のようになります。
3-2.コミュニケーションを活用すること
- 市場の現状を把握し、組織の未来を
どのように創り出すか - どんな目標を設定して、どう計画を進めていくか
- 計画と実施後の現実にギャップが生じたときに、
どう修正していくか
これらの促進に必要なのが、
コミュニケーションです。
コミュニケーションは、フィードバック分析の
スピードや質を高めると同時に
目標を達成するアイデアやヒントを生み出し、
目標達成に関わるスタッフの士気に影響を与えます。
ビジネスの場面を振り返れば、あらゆるシーンで
コミュニケーションが発生しています。
- 指示を出すことも、相談を受けることもコミュニケーション
- ビジョンや方針、戦略を伝えるのもコミュニケーション
- お客様への提案やセールス、プレゼンもコミュニケーション
- 評価をとおし、やる気を出すのも、やる気を奪うのもコミュニケーション
- 専門家や技術者も、ニーズをくみ取ることを考えれば、それもコミュニケーション
具体的には以下のコミュニケーションの強化で、
マネジメント力は高まります。
- 基本となる「報告」「連絡」「相談」
- 影響や説得をもたらすプレゼンテーション
- Win-Winをもたらす交渉
- 承認や成果でモチベーションを与える評価面談
- 問題解決を促進させるコーチング
- 相手のニーズや気持ちをくみ取る傾聴
目標があっても、計画があっても、
フィードバック分析があっても、
それをつないでいくのは人であり、
コミュニケーションです。
話し言葉や書き言葉を含めた
コミュニケーション能力を高めて、
あなたのマネジメントの力を飛躍させてください。
4.マネジメントにおススメのツール
最後にこれまでご紹介した内容を
スピーディーに実行レベルまで落とし込む
ツールをご紹介します。
これはトップだけでなくミドルにも、
そして規模の大小に関係なく、チームレベル、
個人レベルで活用できるマネジメントツールで、
事業計画や戦略を立てるときに特に有効です。
理想を描き、見落としがちなリスクの側面も考慮し、
現実化していくプランニングのテクニックで
【NLPディズニー・プランニング・ストラテジー】と呼ばれています。
このツールは世界中で愛されているディズニーランドの生みの親として有名なウォルト・ディズニーの頭の中、そして事業化を成功させたメンバーたちの知恵を誰もが実践できるようにモデル化したものです。
この方法をつかって計画を立てるときに必要なのが、以下の3つの視点です。
- ドリーマー(夢想家)の視点
望むもの、夢、理想、ゴールに焦点をもち、とにかくどんなことでも可能で、望むものはすべて手に入るという心理状態をもちます。 - リアリスト(現実主義者)の視点
明日からの具体的な行動を決めていくことに焦点をもち、時間枠、具体的なプロセス、進捗管理や仕組みなどの視点をもちます。 - クリティック(建設的批判家)の視点
単なる批判をするのではなく、リスクや問題を事前にどう解決していくのか、問題に焦点をもちます。
現状の肯定的な副産物を維持していくことも重要視します。
以上です。具体的には、以下のそれぞれの質問に答えていきます。
- ドリーマー(夢想家)としての質問
※ドリーマーの質問に答える時には、なんでも望むものは手に入るという心理状態で取り組むことが重要です。
- あなたは何をしたいのか
- 何のためにあなたはそれを望んでいるのか。目的は何か
- それをすることで、あなたはどんな恩恵が得られるのか
- この目標やプロジェクトが実現することで、あなたの周囲にどんないい影響があるか
- ロールモデル(お手本)はいるか。誰に手助けしてほしいか
- リアリスト(現実主義者)としての質問
※リアリストの質問に答える時は、感情を入れず「達成のために何が必要か」、時間枠も含めて具体的に答えていくことが重要です。
- いつゴールの全体が完了するのか
- 具体的にどんなやり方、プロセスが必要か
① 最初のステップは何か
② 次のステップは何か
③ 3番目のステップは何か - その目標やプロジェクトをどのように進捗管理するか
- 時間やお金はどれぐらいかかるか
- 優先的に取り組むことは何か
- クリティック(建設的批判家)としての質問
※クリティックの質問に答える時は、問題やリスクに対する建設的な批判家として考えることが重要です。
- 誰がこの目標やプロジェクトを実行するのか
- その人たちはどんな結果、報酬を求めているのか
- この計画やアイデアに反対する人がいるとすれば、その理由は何か
- 現状のやり方で得ているものがあるとしたら、それは何か
- この目標やプロジェクトで、現状で得ているものを維持するには何ができるか
- このやり方を導入した場合、どんなリスクが生じるのか
- このアイデアを導入しない方がいいと思われる時期や場所はあるか
- 足りないものや、さらに加えるものは何か
以上の質問に答えながら、統合し、バランスをもったプランを準備します。
NLPディズニー・プランニング・ストラテジーを一人で活用するときのポイントは、それぞれのスタンスの特徴が出るように想像上で、会議をさせるようなイメージで、質問に答えていきます。答えるときは場所を変えて答えるだけで、「効果的な戦略の立案」「抜けや漏れのない詳細事項の検討」「明確なプランニングの実現」が加速されます。
5.まとめ
マネジメントとは、理想と現状のギャップを埋めて、目標を達成することです。
そのためには土台となる【理想】【現状とのギャップ】【目標】の設定が重要です。
そして骨子となる【計画】と「計画」「実施」「検証」「改善」の【進捗管理】が必要です。
その土台と骨子を機能させていくのが、【フィードバック分析】と【コミュニケーション】です。
4章には実証済みのプラニングツール、「NLPディズニー・プランニング・ストラテジー」をご紹介しました。
原理原則は大きな力です。
これらの内容をあなたのマネジメントに役立ててください。