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病は気からは本当?3つの実話と病気を引き起こしかねない心理的要因

昔から「病は気から」と言いますが、
本当に気持ち次第で、病気が良くなったり
悪くなったりするのでしょうか?

この記事では、
病気と気持ちの関係がわかる実例や、
気持ちが体に影響を及ぼす仕組みをご紹介していきます。

そして、あなたが気づかないところで、
体に悪影響を及ぼしているかもしれない
『心理的要因』の存在。

これについても心理学の視点で言及していきます。

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1.「病は気から」とは?

病は気からの意味は、『病気は気の持ちようで、重くもなれば軽くもなる』として辞書に載っています。

これに起因し、「気持ち次第で体に変化がある」ということも言われています。

特に近年は、「楽観的な人が長生きする」といった研究結果もあり、気持ちと健康の関係性は話題になることも多いと思います。

そして、巷には信じがたい話も溢れています。

例えば以下のような、気持ちや思考が体に変化を及ぼす話を、目にされたことがあるかもしれません。

  • 多重人格の人は、ある人格でアレルギーが生じ、別の人格になるとアレルギーが出ない
  • 何を食べても太らないと言って食べると、本当に太らない
  • 怒ってばかりいると病気になる
  • 花粉症は完璧主義者の人がなりやすい

ここからは、実際に起きた事例について詳しくご紹介していきます。

(参照元)

1-1.悪性リンパ腫の患者の事例

1957年、アメリカでのある男性のお話です。

彼は悪性リンパ腫(リンパ球のガン)で抗がん剤が効かず、主治医も助からないと考えていましたが、彼は諦めていませんでした。

彼は、ある治験薬に期待をかけ、粘り強く使用を希望して、その治験薬を投与されることになりました。

そして、寝たきりであったにも関わらず、以下のようなスピートで退院へと至ったのです。

金曜日に投与
 ↓
翌週の月曜日には院内を歩き回るほどに回復
 ↓
10日後には腫瘍はすっかり消え退院

ところがその2ヶ月後、「治験薬に効果がなかった」と発表されると、彼の腫瘍は再発して入院しました。

ここで、担当医はプラシーボ効果※が期待できると判断し、以下のように患者に伝えました。

「報道は信じないでください。前回の治験薬の中に問題があるものがあって、たまたまそれが当たったんです。来週には改良した治験薬が届きますから、それを投与します。」

そして、担当医はただの蒸留水を治験薬として投与し、患者の腫瘍は再び消えたのです。

その2ヶ月後、「治験薬は、まやかしだった」と再度報道されると、彼の腫瘍は再発して入院し、2日後には亡くなってしまいました。

これは、何を意味しているのでしょうか?
気持ちや考えが、想像以上にパワフルに体に影響を及ぼす可能性を示唆しているのかもしれません。

※プラシーボ効果とは、有効成分を含まないモノを、効果がある薬として処方されて、症状の改善や副作用が出ることです。

1-2.偽薬をオーバードーズした事例

26歳のある大学院生のお話です。

彼は恋愛問題のもつれから、抗うつ剤をオーバードーズ(過剰摂取)してしまいます。

ですが、すぐに後悔し隣人に助けを求め、病院に行くことができました。

緊急救命室の彼は、真っ青で汗まみれ、血圧80/40と低く、心拍数は140と高く危険な状態で「死にたくない!」と叫び続けたそうです。

そして、医師の診断では、上記以外は悪いところがないものの、昏睡に陥りそうな話し方をしていたとされます。

その後、実は飲んだ抗うつ剤はプラシーボ効果の治験薬で、全く薬品が含まれていないことが判明しました。そして、それを知った彼のすべての症状が収まり数値も正常化したのです。

偽薬であっても、気持ちによってはオーバードーズの悪影響すら、体に引き起こすのかもしれません。

1-3.モルヒネの代わりに生理食塩水を麻酔薬にした事例

第二次世界大戦中に、軍医として従事されたハーバード大出身の外科医:ヘンリー・ビーチャーのお話です。

彼は戦時中、モルヒネを切らしている中で、酷い負傷者の外科手術を行うことになりました。

その際、看護師がまるでモルヒネかのように、生理食塩水を注射器に満たして注射すると、負傷者は穏やかさを取り戻していき、麻酔が効いているような状態になったそうです。

そこで、そのまま肉体にメスを入れ、患者は、ほんの少し痛みを感じたものの、予測したようなショック状態になることはなく、手術を終えて縫合したそうです。

その後も彼は、モルヒネが切れたら生理食塩水を使って治療を続けました。戦後、その経験を元にプラシーボの研究を進め、プラシーボの有用性を発表しています。

※生理食塩水は人間の血液や細胞液と浸透圧が同じ状態の食塩水のため、麻酔の効果はありませんが無害です。

さて、ここまでのお話、どのようにお思いでしょうか?

少し怪しいという気持ちが拭えないという方もいらっしゃれば、自分の体の可能性に期待を膨らませている方もいらしゃるかもしれません。

この後は、気持ちと体の関係について、軽く研究結果をご紹介し、その後で体に悪影響を及ぼす重要な心理的要因をご紹介していきます。

(1-1~1-3の参照元)あなたはプラシーボ 思考を物質に変える | ジョー・ディスペンザ博士(著), 東川 恭子(訳)

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2.気持ちが体に影響を及ぼす仕組み

思考や感情が体に影響を及ぼすことは、先にご紹介のとおりです。

そして、ここでは体と関係する気持ちの中で特に問題となる「ストレス」について取り上げ、ご紹介します。

ストレスを感じる状況では、体内にストレス物質が放出されて体に変化が起きることが解明されています。

また、以下のような「仲間はずれにされた時の脳の反応を調べる」という実験もあり、心と体がつながっていることがわかっています。

(心的ストレスと体の関係)

  1. 3人でゲームを行う
  2. 1人だけ仲間はずれにする
  3. 仲間はずれにされた人の脳を調べる(MRIで測定)

(参照元)単純な脳、複雑な「私」 池谷裕二(著)

多くの人は、急に仲間はずれにされると、寂しくて胸が締め付けられるような気持ちになるものです。

そして、その時の脳の反応をMRIで測定した結果、体が痛みを感じたときに反応する部分と同じ部分が活動していたのです。

つまり、「心が痛む」というとき、文字通り【痛み】を感じているのです。

このように、気持ちと体が連動している仕組みがあることが明らかにされています。

ですので、実生活で仲間はずれにされたり、人から無視されるなど社会的なストレスで痛み経験をすると、本当に【痛み】を感知しているのです。

これらの心的ストレスが重なることで、体調が悪くなっていくことは簡単に想像できるでしょう。

さて、ここまでは「病は気からは、本当らしい」と思えるような事例や仕組みをご紹介しました。

そして、実践心理学の視点では、ストレスとは別の心理的要因が体に影響を及ぼすことも分かっています。

その心理的要因とは、二次利得(にじりとく)や肯定的意図と呼ばれるものです。これらについては3章で、詳しく解説していきます。

【コラム】

『病は気から』の「気」は、本来は東洋医学における、気・血・水の中の「気」の意味でした。

「血・水」は血液やリンパ液などの水分や、その循環を意味します。「気」は電流のようなエネルギーなので実体はありませんが、気・血・水は相互に影響し合って機能しています。

『病は気から』とは、このエネルギーの巡りが悪くなることで、病気の症状が出ることを意味しています。

(参照元)最新カラー図解 東洋医学 基本としくみ 仙頭正四郎(読み手),出版社:西東社

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3.病気を引き起こす心理的要因

病気を引き起こす心理的要因の代表例としては、二次利得(にじりとく)や肯定的意図が挙げられます。

二次利得や肯定的意図とは、ネガティブな行動の背後にある、ポジティブな目的のことです。

これは、傍から見るとネガティブな行動のように思えることであっても、その行動によって得られる本人にとってのプラスの理由があって、行動を起こしているのです。

そのため、本人にとって「病気になると、得られることがある」と潜在的にわかっていると、病気を引き起こす可能性があると言われています。

病気を引き起こす理由として、「優しくされたい」「一緒にいたい」「休みたい」「労われたい」などが考えられます。これらは、単なる甘えや怠け心とは全く違い、非常に複雑な心理です。

もしかすると、「まさか、そんな理由で病気になるはずはない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、こういった心理的要因は潜在意識にあるので、日頃その心理に気づくことはほとんどありません。

ここからは、イメージしやすくなるように、具体的な事例を挙げてご紹介していきます。

ご自身が当てはまらない方も、身近に病気がちな方がいらっしゃるようでしたら、何らかのサポートにつながるかもしれませんのでぜひ目を通してみてください。

子ども時代に風邪をひいたときの事例

特に幼少期の子どもは、親との時間がとても重要です。

そして、家庭環境によっては共働きのこともあり、必ずしも親が子どもと長く一緒に居られるわけではなく、さみしい思いをすることもあります。

もちろん、そういったことを乗り越えて、普段は元気に暮らしていることと思いますが、それでも、風邪をひくこと自体はよくあることです。

そして、風邪をひくと、親が仕事を休んでくれたり、早く切り上げて来て看病してくれることがあるかもしれません。これは潜在的に「とてもうれしい思い出」となる可能性が高いです。

例えば、子どもの世界観であれば、このようなことを考えても不思議はありません。

いつもお母さんは、お仕事で夕方までいないのに、今日は風邪をひいたからずっとお母さんと一緒に居られる。最高だ。

また風邪が治って幼稚園にいくと、、、こんなことも経験するかもしれません。

先生がいつもよりも、やさしくしてくれて、うれしかった。

風邪をひくと苦しいけど、お母さんが一緒に居てくれる。
先生もやさしくしてくれる。うれしいことになる。

このように思うこと自体は、特に不思議はないことです。

そして、もしも「ものすごくさみしい。お母さんとどうしても一緒に居たい」という状態になったとき、風邪をひいて、その目的を達成しようとする可能性がでるのです。

これが、二次利得や肯定的意図が、病気を引き起こす事例です。

一般的には、成長過程でこういった傾向は収まっていくことが多いのですが、あまりにも強烈な寂しさなどを経験していると、潜在意識には「風邪をひくと、やさしくしてもらえる」と強く記憶される可能性があります。

そして、大人になって、誰かに一緒にいて欲しいと思ったときや、やさしくしてほしいと思ったとき、潜在意識に刷り込まれている方法(風邪や病気)で、その目的を達成しようとするのです。

だからといって、「風邪を引くのは、潜在意識に幼い頃の体験があるからだ」と考えるのが正しいわけではありません。悪い条件が揃えば、どんな人でも風邪をひきます。

もし、ものすごく健康管理に気をつけているのに病気がちである場合は、「潜在意識のどこかに潜む、二次利得や肯定的意図が影響している可能性がある」と考えてみることをご提案したいと思います。

これらは、幼い頃から長年持ち続けてきた記憶ですので、簡単に解消することは難しいものです。まずは、自分の中に心理的要因があるかどうかに、気づくことから始めてみてはいかがでしょうか。

そして、もしも癒やされていない悲しい思い出などがあるようでしたら、実践的な心理学を学んだり、専門的なセラピーを受けることで解消していくと、体をより良い状態に保ちやすくなると期待できます。

さて、ここでご紹介したような二次利得や肯定的意図は、程度の差はありますが誰もが抱くものです。

そのため、自分では意識していなくても、二次利得を得ようとしたり、肯定的意図を満たすために、本来なら行うべきではないような手段(風邪や病気など)を選んでしまっているかもしれません。

もし、そういったことに気づくことができたら、一つ一つ解消していくことでより生きやすくなり、人生の豊かさへとつながっていくのです。

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