- 「会社の今後に影響を与えるこの企画、必ず通したい」
- 「強いチームづくりのために、メンバーの理解・納得・共感を得たい」
- 「お客様が ”唸る” ようなプレゼンがしたい」
- 「親・恋人・友人に、自分の考えや想いを理解して欲しい」
このような思い、あるいは似たような思いを抱いたことはありませんか?
「企画を通す」「販売を成功させる」「チームメンバーを動機づける」「親・子供・恋人・友人の理解を得る」など、何かの思いを形にするためには、相手の心を掴み・動かす必要があります。つまり説得ですね。
そして説得する際は、必ず対話やコミュニケーションが必要になります。そこから「意思の疎通」⇒「理解・納得・共感を得る」⇒「相手に受け入れられる」⇒「相手の気持ちや行動が変化する」ということが可能になります。
こう考えると仕事やビジネス・人間関係において、説得力を高めることは必要なことだと言えますね。仮に「真剣で・強く・熱量の高い思い」「社会に広めたい優れた技術・アイデア・コンテンツ」「面白い企画」を持っていたとしても、「話すことが正論」であっても、それらを形にできるかどうかは、以下に左右されます。
「必要な人の協力・応援・同意(賛同)を得られるか」
そこでこの記事では、「説得とは何か?」「説得に関する誤解」「人の心を掴み・動かす説得の方法(技術)」についてまとめました。説得方法については、心理学を用いた効果的な方法を紹介していきます。
そして、実は著者である私は数年前まで、「説得 = 自分の主張を押し通す」という印象があり、説得って苦手だな~と思っていました。そのため重要な場面においては、全力で「相手の理解・納得・共感」を得られるように、対話を重要視してきました。それにより「周囲から得られる協力」「周囲に対する影響力の大きさ」が変わることも実感しています。
そして後になって、こうした対話やコミュニケーション自体が、説得という行為になるんだと理解しました。仕事・ビジネス・人生全般で使えるようにまとめましたので、あなたのお役に立てば嬉しく思います。
目次
1.説得とは?
説得力を高めることで、仕事やビジネス・人間関係で手にする成果が変わります。
例えば、
- 「営業・セールス・販売の成功」
- 「プレゼンを成功させ、思いを形にする」
- 「特定の誰かの理解・納得・共感を得る」
- 「周囲の協力・応援・支援を得る」
など
そして優れた経営者・ビジネスパーソン・セールスパーソンほど、説得力が高い傾向があると言えます。そして説得力を高めるために、まず知っておきたいのは、「説得とは何か」について知ることです。それさえ分かれば取るべき行動も見えてきます。
そこでこの章では、説得者の視点・説得される側の視点から「説得とは何か?」という定義・基本的な手順・ポイントを見ていきましょう。
1-1.説得とは(説得する・説得されるとは?)
説得とは「あなたの働きかけにより、相手が納得し・受け入れ・気持ちや行動が変わる」ことです。具体的には、あなたの働きかけや情報発信を通して「理解・納得・共感」を得るということです。その結果として、「必要な人の協力・応援・同意(賛同)」をいただくことができます。
そして「説得とは何か」を理解するために重要なことは、説得には「説得する側」と「説得される側」があることを忘れないことです。この両者の視点から説得を見ていくと、より具体的に見えてきます。せっかくですのでwikipediaの定義も載せておきますね。
【説得とは】
1.説得の定義(出典:wikipedia:説得) |
説得(英: persuasion, suasion)とは社会的影響(social influence, ソーシャル・インフルエンス)の一種であり、合理的かつ象徴・記号的であり時には論理的とは限らない手段を利用して、ある考え、態度(英語版)、または行動を相手にさせる目的の行為、または別の誰かを差し向ける過程、プロセスである。説得術は議論などを行う上で相手を納得させるために必要な手法であり、様々なものが存在する。 「説得する」は”persuade”の訳語であり、相手を言い包(くる)めるという意味を含めて「説き伏せる」などという場合がある。 |
2.説得するとは? |
説得するとは「あなたの働きかけにより、相手が納得し・受け入れ・気持ちや行動が変わる」ことです。 具体的には、あなたの働きかけや情報発信を通して「理解・納得・共感」を得る。その結果として、特定の「行動・協力・応援・支援」を頂いたり、「賛同や許可」を得ることと言えます。 |
3.説得されるとは? |
説得されるとは、「説得に対して、納得して受け入れ、気持ちや行動が変わる」ことです。 具体的には、相手の働きかけや情報発信を受け「理解・共感・納得」をした上で、「特定の行動・協力・応援・支援を行う。または賛同し・許可を与えること」と言えます。 |
このように説得を「説得する側」と「説得される側」に分けることで、とても重要な説得の前提も見えてきます。それはこういうことです。
「説得する(行為) = 対話でありコミュニケーション」
どういうことかというと、説得は「説得する側」「説得される側」の両者がいて成り立っています。つまり説得する行為そのものは、対話やコミュニケーションであるということです。
こうした認識がないか、ブレてしまうことで、以下のような「説得に対する誤解・勘違い」が生まれてしまいます。
【説得に対する誤解・勘違い】
- 「説得 = 自分の主張を押し通す」
- 「説得 = 強制・操作的」
など
その結果、自分の主張を押し付けてしまったり、相手の気持ちを無視した、独りよがりな押し付けになりかねないため、注意が必要です。いくら「重要で、素晴らしい、正論」を熱く語ったとしても、相手に伝わらないため、もったいないですよね。
しかし対話やコミュニケーションをベースにすることで、相手との意思疎通を可能にし、理解・納得・共感を得やすくなり、心を掴み・動かしやすくなります。
1-2.説得で押さえるべき2大原則
説得について学んだら、確実に押さえたい2大原則について見ていきましょう。
2大原則とは、「信頼・信用」と「圧倒的なメリット」です。極端な話をしてしまえば、以下のように言ってしまっても言い過ぎではないかもしれません。
「説得成功の鍵=信頼・信用と圧倒的なメリットの両方、あるいはどちらかを押さえること」
すると「信頼・信用」と「圧倒的なメリット」について考えなければなりません。
一緒に以下を見ていきましょう。
1.信頼・信用 |
「誰」からのお願いや提案か?がとても重要です。人は貴重な時間・お金・エネルギーを「何に使うか?」「誰に使うか?」をシビアに見極めます。この時に大きな影響を与えるのは「信頼・信用」があるかです。 例えば、「あなたから買いたい」とお客様に選ばれる営業。「お前のお願いなら、1,000万円までなら、すぐに援助するよ」と言われる起業家。「◯◯さんがやっているプロジェクトなら僕も応援します」と多くの人に応援される人など。 これらに共通しているのは「信頼・信用」です。 ではどうしたら、「信頼・信用」を得られるのか?ということですが、押さえたいポイントは、以下になります。
など |
2.圧倒的なメリット |
圧倒的なメリットとは、相手が抗えない・または抗い難いほど魅力的な提案を指します。 つまり人の行動の判断基準として、「自分にとってメリットが有るかどうか」は非常に大きいと言えます。そのため、相手にとってのメリットに紐づけた対話やコミュニケーションが必要になります。 そしてメリットの例を挙げると以下のようなものになります。
など |
※圧倒的なメリットについての補足
最近、私の知り合いの社長は、こんな経験をしています。
保険の営業マンと初めて顔合わせをした時のことです。身なり・話し方・言葉遣い・態度など、どこを切り取っても「この営業、本当にひどいな」と思わずにはいられない相手でした。さすがにイライラして、話を切り上げようと思った矢先、営業マンの提案内容を見て、とにかく驚いたと話します。
今、自分が求めているポイント、解決したい問題に対して「これ以上ない最高の提案」をしてきたのです。この時、説得において「信頼・信用」「話し方」は大事だけど、説得の素材となる材料がやはり重要だと。
1-3.説得の基本「4つのステップ」
説得には流れがあります。「相手の注意を引きつけ・自分事にし・想いを語り・相手にとってのメリットを伝え、具体的な提案をする」。大まかですが、これが確実に押さえたいポイントです。
もちろん具体的な提案を行うタイミングは、一番最初のこともありますし、途中のこともあります。それでも大まかな流れを押さえておくことで、アレンジをしやすくなります。
【効果的な説得の基本「4つのステップ」】
1.注意を引きつける |
注意を引きつけることで、相手の意識をあなたに向けてもらうことが目的です。ここでのポイントは、あなたの話が相手にとって、「重要」「興味深い」「メリットがある」と思ってもらえる内容であることです。 さらに「この話、今すぐ聞いたほうが良さそう」と、相手に思ってもらえるような緊急性も加えられるとベストです。 例:
など |
2.自分事にする |
自分事にすることで、相手が前のめりになり、真剣に話に耳を傾ける状態をつくることが目的です。 ここでのポイントは、「今すぐ行動したくなるようなメリット」「危機感を感じる問題提議や課題」「説得者の想い/ビジョン」などを伝えることです。最初のステップで注意をひきつけた上で、話を展開させ、相手が「この話、すごく重要だな」「えっ、まじで」「めちゃくちゃ、この話おもしろい/自分にとって重要」というようにします。 さらに「もし、そんな事ができたら、いかがですか?」というように、自分事に置き換えてイメージするように質問すると効果的ですね。 例:
など |
3.理由や想いを語る |
自分事にした上で、あなたの想いに対して「理解・納得・共感」を得ることが目的です。 ここでのポイントは、相手に提案する「理由や想い」を語ることです。「なぜ、それが必要なのか?」「なぜ、それが可能なのか?」「そこにはどんな意義があるのか?」「どんなメリットがあるのか?」など。 さらに「人は感情で動き、理性で納得する」と言いますね。理由や想いを共感できるストーリーとして語ったり、高い熱量で(感情を込めて)語ることで、伝わりやすくなります。 |
4.具体的な提案をする |
相手が行動を起こしやすいように、どんなアクションを取って欲しいのかを具体的に伝えるのが目的です。 具体的な提案は、場合によりもっと早い段階で伝えることもあります。対話やコミュニケーションが始まる前に、詳細に伝えることもありますし、説得内容や相手により様々です。 |
こうしたことを対話やコミュニケーションの中で行います。当然ですが、相手の方から「具体的な質問」「突っ込んだ質問」を投げかけられることも、あるはずです。それを受けて、より深く、より密度の濃いやりとりをしていきましょう。
1-4.説得する(説得力を高める/説得方法を学ぶ)メリット
説得する(説得力を高める/説得方法を学ぶ)メリットを見ていきましょう。
【説得する(説得力を高める/説得方法を学ぶ)メリット】
- 影響力を高める/広げる
- 相手の考え方・捉え方・行動に変化をつくる
- 必要な人の協力・援助・応援をいただく
- 親・恋人・友人に考えや思いを理解してもらう
- 想いが形になる/形にするための小さな一歩を踏み出せる
- 販売が成功する(営業・セールス・販売など)
- チームが一丸となること
- 提案が通る
- 危機を回避する
- 自分を売り込みファンを増やす
- 相手との意思疎通を図れる
など
このように説得力を身につけることで、仕事や人生・人間関係の幅が広がり、できることや手にする結果を大きくしていくことができます。
2.効果的な説得方法とは?「説得に役立つ心理学のスキル」4選
この章では説得に役立つ心理学のスキルを4つ紹介します。
なぜ心理学なのか?ということですが、人の心理に寄り添う心理学のスキルには、相手の気持ちを惹きつけ・動かすことに役立つものがたくさんあります。
その中でも心理学NLPの中には、世界中で結果を出している人たちが「意識的、あるいは無意識」に使っている技術がたくさんあります。その中から、説得に役立つ内容を厳選してお届けします。
知っているかどうかで、説得におけるあなたの働きかけ/選択する言葉/発信する情報が変わります。さらにあなたの対話力・コミュニケーション力を高めるきっかけになるため、押さえておきたいスキルと言えます。ぜひお役立てください。
2-1.価値観を満たす「クライテリア/バリュー」
「あなたの提案(説得内容)=相手が大切にしている価値観を満たすもの」であると、伝えましょう。別の表現をすると「行動する(説得内容に対して) = 相手が満たしたくて仕方がない価値観を満たせるもの」とも言えますね。
人が「買い物をする」「誰かの応援・支援をする」「許可を与える」などの意思決定を行う時、判断基準として大きな影響力を持つのが、価値観を満たせるかどうかです。
心理学NLP業界の世界権威であり、プロフェッショナルコーチとして世界中にクライアントを持つティム・ハルボム氏は、以下のように話します。
『価値感を明確にすることは、本当に欲しい結果を得て、満たされた人生を送るために、とても大切な役割を果たす』
ですので相手が、「それのためなら、行動せずにはいられない/行動したくなる」というような、強い感情を伴う価値観を知ることが、最初のステップになります。
次に「あなたの提案=価値観を満たせるもの」であることを伝えることで、相手からの理解・納得・共感を得やすくなります。
そしてもう一つ押さえておきたいのは、「価値観と心の動きの関係」です。これを知ることで、価値観の重要性をより詳しく知ることができます。以下を見ていきましょう。
【価値観と心の動きの関係】
- 価値観を満たせること
- 価値観に反していること
- 価値観に沿っていないこと
- 価値観を満たせない要因/満たすことを阻む・妨げること
:興味・関心を持つ/心を掴まれ・動かされやすい/行動を起こしやすい
:違和感・反発・抵抗を感じる/行動を起こしたくない
:興味・関心を持てない/時間を使いたくない
:危機感を持って改善に務める
など
これらからも分かるように、大切にしている価値観を満たせることには、抗えないような魅力がありますね。
ここまでを踏まえた上で最も重要なことは、「説得内容に対して、相手が何を大切にしているか?/思っているか?」をどのように知ることができるか?ですね。それについては、以下を見ていきましょう。
【相手の価値観を把握する3つの方法】
- 事前のリサーチ
- 会話の中で把握する
- 価値観を明確にする質問を使う
:説得したい相手について事前に調べて、説得内容に対して、何を大切にしているかを確認する
:会話の中で「価値観に該当するキーワード」を見つける
:「◯◯で大切なことは何ですか?」と質問する
※上記の質問は心理学NLPの質問スキルで、「◯◯」の中には、説得内容に関係することを入れます。
例えば、家の購入をテーマにしている場合、「家の購入で大切にしていることは何ですか?」と質問します。人により「安全」「地域のつながり」「ゆとりのある生活環境」など様々ですね。こうして把握した価値観を「満たせるような提案をする」あるいは、「説得内容がもたらすメリットと価値観を紐づける」ということを行います。
説得力を高めるだけでなく、仕事やビジネス・日常でのコミュニケーションでも役立ちますので、お役立てください。
2-2.心に響く(刺さる)言葉を発信する「LABプロファイル」
「相手の心に響く/刺さる言葉」を使いましょう。言葉の力を意識して使うことで、それは可能になり、説得力・影響力を高めることができます。
そして、「響く言葉/刺さる言葉」を使うために、意識しなければいけないことは以下になります。
- 相手が好む傾向の言葉を使う
- 相手が興味を持てない言葉は使わない
- 相手が抵抗なく受け入れられる言葉を使う
- 相手の抵抗を生む言葉は使わない
上記を行うためにまず試していただきたいことは、「快楽原則」の活用です。「快楽原則」とは、ドイツの心理学者「グスタフ・テオドール・フェヒナー氏」がつくり、それを心理学会の巨匠「ジークムント・フロイト氏」が取り入れた、下記概念になります。
「人は痛みを避けて、快楽を得る」
つまり人の動きには「痛みを避けることに動機づけられる」「快楽を得ることに動機づけられる」「特に痛みに対して反応しやすい」という原則があるということですね。初めて知ったときは驚きましたが、この原則を使うことで、説得力が高まることは間違いないと実感しています。
こうした快楽原則を説得で使えるようにまとめると、こうなります。
- 人は痛みに反応しやすい
- 痛みと快楽のどちらに強く反応するかは、説得内容や相手により変わる
- 強く反応するメッセージ(痛みか快楽)を中心に、両方のメッセージを発信するのがベスト
このような原則を使うことは、マーケティングやセールスの基本となり、説得において押さえたいポイントになりますね。
ここで重要になるのは、以下ですね。
- どうしたら説得の際に、快楽原則を使えるか?
- 相手が痛みと快楽のどちらを求めているのか?
ここで効果を発揮する心理学のスキルが、「LABプロファイル」です。心理学NLPの言語スキル「メタプログラム」を進化させたものです。快楽原則をLABプロファイルでは、以下のように表しています。
- 問題回避型
- 目的志向型
:リスクや問題を回避することに動機づけられる(快楽原則でいう痛み)
:何かを得る/達成することに動機づけられる(快楽原則でいう快楽)
そして相手が「問題回避型」と「目的志向型」のどちらの傾向が強いのか?を見極め、そこに合わせた言葉やメッセージを発信することで、相手は「受け取りやすく」「心に刺さりやすいもの」になります。
ではどうしたら「問題回避型」か「目的志向型」かを見極められるのか?ということですが、それが以下になります。
【問題回避型と目的志向型の見極め】
- 痛みと快楽のどちらに響きやすいかを確認する
- 会話の中で傾向を掴む
質問の型:「◯◯は、どうして大切なのですか?」
※上記はLABプロファイルで使う質問になります。例えば、プロジェクトに対する支援や応援を求めて、相手を説得する場面を見ていきましょう。
この時に相手の価値観を知っていると、使いやすくなります。「誰かを支援する際に、大切にしていることは何ですか?」と問いかけた時に、「人・商品・プロジェクトそのものが信用できること」と答えたとします。この場合、価値観は「信用」ということですね。
ここで問題回避型と目的志向型を見極めるために、以下のように質問を行います。
「◯◯さんにとって信用は、どうして大切なのですか?」
ここで出てくる答えを元に判断します。
例えばこの時、以下のように答えたとします。
「信用できないプロジェクトへの参加は、自分の信用を下げる」 ⇒ (問題回避型)
「時間やお金は、人が喜ぶ・楽しむ・感動することに使うと決めている」 ⇒ (目的志向型)
「信用あるプロジェクトへの参加は、自分の信用も高まるので、ぜひ支援したい」 ⇒ (目的志向型)
ここから見えるのは、問題回避型の言葉×1に対して、目的志向型の言葉×2になります。すると、目的志向型のメッセージを多めにして、問題回避型のメッセージも散りばめることが、心に響き、動かしやすいことが、仮説として見えてきます。
:会話の中で、相手が「問題回避型」と「目的志向型」のどちらを使っているか?どちらの言葉が多いのか?と注意を向けていると、分かってきます。
不思議なもので、相手の傾向に合わせた言葉を発信しないと、受け取りにくく、反発が生まれることもあります。
例えば、「何かを達成したい」という目的志向型が強い方に、「この商品を使えば問題が解決できますよ」と、語り続けてもピンとこなかったりします。
以上のことから、相手に合わせた言葉の選択が、説得において重要と言えます。
※【LABプロファイルについて】
LABプロファイルでは、心に響く(刺さる)言葉を「影響言語」と呼びます。そして影響言語は、「14カテゴリ(12の質問)と37パターン」に分かれています。
※先程紹介した「問題回避型・目的志向型」は、1カテゴリ(1つの質問)2パターンとなります。
一部を紹介すると、
- 内的基準
- 外的基準
- 全体型
- 詳細型
:物事を自分で判断したい。そのため説得者が、自分の考えや価値観を押し付けないほうが良い
:他者や外部からの情報に影響を受け、それを基準に物事を判断する。そのため説得者の考えや価値観、エビデンスなどを積極的に提供した方が良い
:物事を全体的に見ることで、理解判断しやすくなるため、全体像とポイントを中心に伝えると、理解・納得・共感を得やすい
:物事の詳細に目を向けることで、理解判断しやすくなるため、相手が理解できるレベルで、情報を噛み砕いて、より分かりやすく伝える必要がある
こうしたツールにより、言葉の持つ力を理解することで「相手が受け取りやすく、心に響きやすい(刺さりやすい)言葉」を使えるようになっていきます。
※LABプロファイルに関しては、こちらの記事やサイトにまとめていますので、お役立てください。
2-3.「YES」を得やすい言葉(メッセージ)を使う「ミルトン・モデル」
「本人が命令されている気がしないのに、自ら同意して、行動してしまう言葉の使い方」を行いましょう。相手が否定することなく、自然に「YES」と反応してしまう言葉ですね。
このような言葉の使い方は、心理学NLPの「ミルトン・モデル」が得意としています。
ミルトン・モデルとは、天才セラピストと呼ばれた「ミルトン・エリクソン」が使っていた言葉の使い方を体系化したものです。「ミルトン・エリクソン」の元には、他のセラピストがさじを投げたクライアントが訪れ、心理的・行動的な変化を手にしていきました。
その裏には、変化を可能にした様々な要因があります。その中にある下記要素が、説得に役立ちます。
- 意識の抵抗が起こらず、無意識に同意してしまう言葉の使い方
- 意識に引っかからずに、抵抗が生まれない言葉の使い方
- 本人が命令されている気がなく、自ら同意して、行動してしまう言葉の使い方
これらは説得において、すごく重要な要素になります。
それでは「ミルトン・モデル」を使った例を見ていきましょう。
【ミルトン・モデルを使った例】
- 「YES」を前提に会話を進める(説得内容に対するYES)
- 否定しにくい/拒絶反応を起こしにくい言葉を使う
:「ご購入は、説明が終わるまでお待ち下さい」など、購入を前提とした会話を交えることで、お客様の意識が購入を前提としたものにスイッチしていきます。そして直接的なメッセージではないため、否定されにくいのも特徴です。説得内容に対するYESを前提に話していきましょう。
:目の前にいない第三者の言葉を人は否定できません。
例えば、目の前にいる人から「あなたって格好良いよね」と言われた時、自分のことを「格好良い」と思っていない人の場合、心理的な抵抗を覚えたり、過剰に照れくさくなったりします。しかし目の前にいない第三者の言葉として、「◯◯さんが、あなたのことを格好良いって話していたよ」と言われると、否定できずに受け入れます。
こうした第三者の言葉を引用することは効果的です。そして相手にとって影響力のある人の言葉を引用すると、さらに説得力・影響力が高まります。例えば、相手が尊敬している人物・信頼度の高い著名人の言葉などですね。
上記のような言葉の使い方は、相手の無意識にメッセージを届けやすくなります。それを説得の成功に向けて使うことで、説得力・影響力を高め、相手の理解・納得・共感を得やすくなります。
2-4.可能性に向けて会話を方向づける「アズ・イフフレーム」
「思わず可能性に目を向けてしまう」あるいは、「どうしたら、可能性を見出せるか?と考えてしまう」質問を行いましょう。それにより可能性に向けて、会話を方向づけできるようになります。
人が「商品を購入する」「誰かを支援する」ことを例に挙げると、その判断基準は主観によるものが大きいと言えます。ここでいう主観は過去の体験をベースにした思い込みですね。
ですので説得内容に対して「自分には無理/できない」などのように、可能性にシャッターを下ろす前に、可能性に意識が向く質問を行います。このような質問が効果的なのは、以下のような脳の働きがあるためです。
「脳は質問をされると、答えを見つけるまで考え続ける」
では可能性に目を向ける質問とは、どのようなものでしょうか?
それは「仮」の話をすることです。例えば以下のようにです。
【可能性に目を向ける質問の例】
基本的には以下のような質問を行います。
「もしも、◯◯なら~」
※もしもという言葉の使い方が、心理的なハードルを下げ、取り除き、可能性に目を向けることを助けてくれます。
具体的に見ていきましょう。
【売上が低迷し、モチベーションの下がっているチームメンバーを前に、「チームで一丸となって、目標を達成しようよ」と説得したい場合】
(質問の例)
- 「もしも、売上を上げられるとしたら、どんな可能性があるだろうか?」
- 「もしも、目標を達成している未来の自分なら、どんな行動を起こすだろうか?」
- 「もしも、尊敬する◯◯さんなら、どのように考え、行動するだろうか?」
- 「もしも自分に可能性があるとしたら、これは最善の選択だろうか?」
など
「もしも」とつけるだけで、問いかけられた相手は、ずいぶんと感情的に楽になります。そして可能性に目を向けた思考をできるようになります。
このように、「もしも」とつける質問の方法を心理学NLPでは「アズ・イフフレーム」といいます。そして「可能性に目を向けたコミュニケーション」「YESを前提とした会話」を行いやすくなります。
さらにお客様は、自分が持つ可能性・できることを知ることになるため、元の状態には戻れません。すると肯定的に話を進めやすくなります。かなり使えますので、お役立てください。
※心理学NLPについて、詳しくはこちらの記事にまとめていますので、お役立てください。
3.相手を「深く理解・共感」し、説得力を高める方法「ポジション・チェンジ」
ここでは説得に効果を発揮する「5つ目のスキル」として、心理学NLPの「ポジション・チェンジ」を紹介します。
説得力・影響力を高めるための鍵は、相手の心を掴み・動かすことです。そのために必要な要素として、あなたの使う言葉が重要です。ここでのポイントを挙げると以下になります。
「相手に寄り添い、深く理解・共感することでしか生まれない言葉」
不思議なもので、相手への「理解度・共感度」が高まるほど、相手の目線に立ち、相手を大切にしたコミュニケーション(態度・雰囲気を含む)を行えるようになります。さらに琴線に触れる言葉も使えるようになるため、説得力・影響力を高めます。
では相手を「深く理解・共感」するにはどうしたら良いか?ということですね。
ここで重要なことは2つです。
- 相手の感情にフォーカスする
- 相手の立場に立つ
できる人はできますが、できていない人にとっては、簡単にできるようで難しく感じるかもしれません。でも大丈夫です。これから紹介する心理学NLPの「ポジション・チェンジ」では、それをシンプルに行うことを可能にします。
具体的には以下のように行います。
【ポジション・チェンジ5つのステップ】
- ステップ1:「もしも◯◯の立場だったら?」と想像し、なりきる
- ステップ2:相手の感情を感じる
- ステップ3:相手になりきりながら考える
- ステップ4:相手の感覚に十分に馴染む
- ステップ5:なりきることで得られる気づきをメモする
このように相手の立場に立ち、なりきることで、「深く理解・共感」しやすくなります。その上で、以下のように自分へ問いかけます。
- どうしたら相手の心を掴み・動かせるのか?
- どのような対話やコミュニケーションが必要か?
- 相手はどんな言葉に響くか?
- 何が説得の決め手になるか?
- 相手の行動を止めるものがあるとしたら何か?
など
ここから分かることは以下になります。
「視点を変えるだけで、気づけること/見えるものは変わる」
このようになりきることの有用性は、「自分が上司や管理職の立場に立つ」「自分が親になる」などの立場に立った時、はじめて「昔の上司や親の気持ちが分かった」という瞬間に似ています。相手の立場に立つことで見えることがあるということですね。
ポジション・チェンジは、何度も繰り返すことで、気づきの精度や感覚を高めることができるようになります。
そして相手が何を考え、感じ、どんな思いでいるかを知るほど、「あなたの態度・言葉・雰囲気」は自然に変わりますのでお役立てください。
まとめ
「企画を通す」「販売を成功させる」「チームメンバーを動機づける」「親・子供・恋人・友人の理解を得る」など、何かの思いを形にするためには、相手の心を掴み・動かす必要があります。つまり説得ですね。
そして説得する際は、必ず対話やコミュニケーションが必要になります。そこから「意思の疎通」⇒「理解・納得・共感を得る」⇒「相手に受け入れられる」⇒「相手の気持ちや行動が変化する」ということが可能になります。
そこでこの記事では、以下について紹介してきました。
- 説得とは
- 効果的な説得方法とは?「説得に役立つ心理学のスキル」4選
- 相手を「深く理解・共感」し、説得力を高める方法「ポジション・チェンジ」
説得とは(説得する・説得されるとは?)
説得で押さえるべき2大原則
説得の基本「4つのステップ」
説得する(説得力を高める/説得方法を学ぶ)メリット
価値観を満たす「クライテリア/バリュー」
心に響く(刺さる)言葉を発信する「LABプロファイル」
「YES」を得やすい言葉(メッセージ)を使う「ミルトン・モデル」
可能性に向けて会話を方向づける「アズ・イフフレーム」
これらがお役に立てば、嬉しく思います。