
- 怒りの感情をコントロールできず、スイッチが入ると止まらない・・・
- 思った通りに人が動かず、イライラしてしまう・・・
- キレてしまった後に自己嫌悪を感じて、落ち込む
- 振り返ると、怒りのせいで人間関係を壊したのは1度や2度ではない・・・
- イライラが募るとまたキレて後悔する。この繰り返し
もし、あなたがこんな状態であれば、早い対応が必要です。
怒りの感情は、ジリジリと蓄積され、時には一気に膨れ上がり爆発します。
勢いで怒ってしまうことで、大切な存在を傷つけたり、時には失ったり、取り返しが付かないことになった方もいらっしゃることでしょう。ひどくなれば、暴言や暴力にまで発展することも。最後には罪悪感や自己嫌悪に陥ってしまうこともよく起こる現象です。
瞬発的に出てくる怒りはコントロールが難しく、どれだけ反省しても、また同じことを繰り返してしまう方が多くいらっしゃいます。
怒りをコントロールすることをアンガーマネジメントと言いますが、この記事で紹介する方法を実践したり、自分に向き合うきっかけにしていただけると嬉しく思います。
また、「怒り」がコントロールできないのは、下記のような理由が考えられます。
- (1)遺伝的な要素
- (2)怒りがパターン化(プログラミング)されている
こうしたマイナスのパターンは変えることができます。
例えば、こんなことができたらいかがですか?
- 怒りの感情と上手に付き合える
- イライラしても自分を客観的に見て、言動をコントロールできる
- 怒りを感じた時に発動するマイナスパターンを変える
- 怒りというテーマをきっかけに自分を成長させる
- 怒りを原動力に変える
実は、これらは誰にでも身につけることが可能です。
そこでこの記事では、「怒りの原因」「怒りのコントロール法(アンガーマネジメント)」「予防法」「パターンを変える方法」についてご紹介します。
また5章では「本気で自分を変えたいとお考えの方」へのメッセージもございますのでご覧ください。この記事があなたに役立ち、意味のあるものになれば嬉しく思います。
![]() | 著者:足達 大和 全米NLP協会公認・NLPトレーナー |
当サイト「Life&Mind」の運営元である「NLP-JAPAN ラーニング・センター」の専属トレーナー。心理学NLPに精通し、5,000回以上という圧倒的な回数の研修実績を持つ。 NLP-JAPANラーニング・センターとは、日本最大手の「NLP総合スクール」で、NLP業界の世界5大組織と連携。日本で唯一、NLPの基礎から大学院レベルまでの学びを提供している日本最高峰のNLPトレーニング機関。 |
目次
1.「怒りのコントロール」知っておきたい4つのポイント
怒りをコントロールする第一歩は、「怒り」とは、どんな状態なのかを知ることです。この章では脳科学と心理学の側面から、「どのような点を意識すれば、怒りをコントロールができるか」をご紹介します。
1-1.怒りを抑えると、実はやる気も低下する
怒りのホルモンは、やる気の源や、行動するエネルギーになります。
怒りを感じている時、私たちの脳内では、ノルアドレナリン(米国ではノルエピネフリン)という神経伝達物質のホルモンが過剰に分泌されています。その伝達物質が人の活動の源となるのです。
朝起きて日常の活動に適した状態をつくるためにノルアドレナリンが放出されます。一方で興奮作用があるため、過剰に分泌されると、人によっては、怒りっぽく、イライラしやすくなる傾向もあります。
「怒り」はどうにかしたいですが、「活動のホルモン」という側面から考えると、怒りを感じないことで、活動のエネルギーが低下し、やる気にも影響します。
また、カウンセリングの世界では、「怒りや悲しみの感情を感じないように切り離すと、喜びやワクワクといった感情も感じられなくなる」と言われています。ですから、脳内のホルモンだけでなく、心理的な側面からも怒りの感情は抑えるのではなく、どのように昇華し、活用するか、という視点が必要です。
1-2.原因を理解しないと、怒りは再発する
ただ単純に怒りをなくそうとしても、感情を発散させようとしても、その瞬間の怒りは解消できても、人を変え、状況を変え、時間を変えて、同様の怒りはまた起こってきます。単純に怒りをなくそうと思わず、ますはその原因は何か、よく理解しておく必要があるということです。
心理療法の見地から、怒りを調べていくと、怒りの感情は単なる一つの感情ではなく、いくつかの異なる表現があることがわかっています。日本発祥の心理療法のひとつにあるSAT(サット)療法では、怒りの感情を次のような表現でまとめられています。
怒り系の感情とは、
怒り、悔しい、不満、敵意、嫌悪感、不信、攻撃心、拒否感、憤り、憎しみ、軽蔑、うらみ、むかつく、 恥ずかしい、自己嫌悪、同情心、後悔、自責、罪の意識、罪悪感、(強い)情けなさ
また、心の声やいいたい言葉で表すとこのようなものです。
ふざけるな/ばかにするな/ちゃんとしてよ/バカやろう/じぶんばっかり/いいかげんにして/なんであの人が/わかってよ/ (自分に対して)情けない/なにやってるんだ/怠けるな/ごめんね
といった声です。
よく見てみると怒りは単純に一つの感情ではなく、様々な状況でその姿を変えるものであり、他人や出来事といった外的なものだけに感じているのではなく、自分にも向けられる感情だということです。
そして、あなたにとって役に立つ情報をもう1つ。
怒りは小手先では解決しづらい部分も多く、「根本的に自分を変える必要がある場合が多い」というのが実際のところです。
自己理解を促し、思考や行動パターンを変えたり、感情のコントロールをするためには、人や自分を深く知ることができるようになる、心理学があなたの役に立つことになるでしょう。
自分の傾向やパターンを知ることで、やっとそこから自分自身をコントロールすることができるようになります。中でも心理学NLPは、あなたの器を大きくしていく上で、きっと大きなきっかけとなることと思います。
※SATとは「Structured Association Technique」の略で、筑波大学名誉教授の宗像恒次氏によって開発された理論です。
1-3.怒りは、あなたの成長の機会になる
怒りは、捉え方を変えることで、成長の機会として活用することができます。
たとえば、以下のように
- 「失敗した分だけ学びがある」
- 「ピンチはチャンスである」
- 「影があるから光がある」
ただ感情のおもむくままに、怒りを発散するだけでは、やる気のエネルギーを低下させ、怒りが再発する可能性が高くなります。そこで役立つのが、怒りを成長の機械に変える3ステップです。
3ステップとは、「怒りに気づき」「原因を理解し」「対処できるやり方を実践する」というものです。
気付くことの重要性は、あなたも経験があると思いますが、怒りの支配下に入ってしまうと、通常の自分では考えられない言動をしてしまうのが、私たち人間です。ですので言いたいことを飲み込んだり、爆発させるのではなく、まずは怒りの感情に気づくことへ集中してください。
次の章でご紹介する「怒りの主な原因3つ」を参考にして、あなたの怒りの原因を突き止めてください。本当の理由は何か、それを知るだけでも対処しやすくなります。
そして対処方法を見つけ、実践してください。「3.【怒りのコントロール】場面別・今すぐできる17の方法」で、具体的な方法をご紹介しています。
3つのステップを意識し、実践することで、怒りに蝕まれることなく、怒りに対して別の反応をしたり、成長や学びにつなげられるようになります。
1-4.怒りのパターンはプログラミングされている
怒りのパターンはプログラミングされています。「怒る → マイナスの反応や捉え方、言動を取る」という無意識のものです。これを心理学NLPでは「無意識のプログラミング」と呼びます。
例えば、怒りをコントロールをできない人のパターンの一例を見てみましょう。
- 怒る ⇒ 周囲の人へ感情をぶつける/口撃する
- 怒る ⇒ ものに当たる/破壊する
- 怒る ⇒ 溜め込んで溜め込んで爆発させる
- 怒る ⇒ お酒、SEX、暴力に走る
- 怒る ⇒ 我慢し続け、ストレスから体調を崩す
このようなパターン(プログラミング)は、過去の体験や経験により、つくられます。
そして、一度、自分の生き方のパターン(プログラミング)ができあがると、その後は条件反射のように、パターン化された反応をするようになっていきます。
ここに怒りをコントロールできない原因があります。その一方で言い方を変えると、プログラミングされたものは、パターンの上書きで、変えることができます。ここに怒りをコントロールする秘訣があるのです。
それを心理学NLPでは、「リプログラミング」として、具体的な方法を確立しています。
※心理学NLPについて詳しくはこちら
2.「怒りのコントロール」知っておきたい怒りの原因3つ
怒りは、大きく分けると3つの原因で生じます。原因がわかれば、これまで以上に冷静に対応することができ、かつ再発防止も可能です。解説とともにヒントもご紹介していますので、あなたの状況に当てはめ、「怒りのコントロール」へお役立てください。
2-1.期待どおりに行かない(前提が崩れる)
期待とは人に対して勝手に抱いている「こうしてくれて当然/やってくれて当たり前」と、あてにしている状態です。
そうなって当然という気持ちや思い込みが前提にあるため、自分の思い通りにならなかった時、「何でっ」と、裏切られた気持ち、あるいは否定された気持ちになりがちです。ここから怒りが生じます。
期待があるだけに落胆もあり、怒りの感情をコントロールしにくくなりがちです。
たとえば仕事では、お客様のところへセールスに向かった時に部下や後輩が「重要な書類を忘れてしまった」といった場合がその例です。おそらくこのときというのは「なにをやってんだ!」と言っている状態ですね。つまり、前提が崩れて起きた怒りのケースです。
また、家庭では、子どもが宿題をせずに遊びに行って怒っているとしたら、「遊びに行く前に宿題を済ませていくのは当たり前でしょっ!」と心の中で言っているときです。これも前提が崩れて起きている場合です。
こういった場合には、過剰な期待をもたず、日常は「イレギュラーの連続」であると思っていれば、怒りにあなたのエネルギーを奪われることはありません。デキル人は、このような考え方を持っているので、柔軟性を発揮して冷静に対処することができます。
知っておきたい点は、あなたの前提を相手と確認することなく、あなただけで常識にしていることで、このような怒りは生じるということです。考えてみるとわかりますが、あなたの前提を事前に相手と確認できている状態であれば、このケースによる怒りは軽減されます。
ポイントは、あなたはわかっていても、相手が知らない場合があることを自覚することです。「言ったつもり」「言わなくてもわかっているはず」の状態を減らしていくことで、この原因による怒りは、解消されます。
2-2.正しい/大切だと思っている価値観を否定される
価値観というのは、あなたが心から大切にしていることで、モチベーションの源泉とも言えます。人によっては「大切にしている価値観 = 周囲にとっても正しいこと」と思っているケースもあります。
価値観は、人生や仕事、人間関係などのテーマにより異なります。例えば、仕事で大切にしていることは?と質問すると、人によって、「成果」「スピード」「楽しさ」「成長」「やりがい」など、様々なことが挙がります。
家族関係であれば、「笑顔」「やすらぎ」「つながり」「思いやり」「安全」などですね。
こうした価値観に対して同意や賛同を得られない、ないがしろにされる、雑に扱われる時、人は価値観を否定された/傷つけられたと感じ、怒りの感情が湧いてきます。価値観につながっているため怒りもひとしおです。
特に正しいと思っている価値観が否定されたと感じる時、ことさら怒りは大きくなり、怒りの感情をコントロールするのが困難かもしれません。
例えば、仕事の面で「結果」を大切にしたいと思っているあなたに対して、「楽しくやろうよ」と他の社員が言うとムッとするわけです。許せない気持ちになります。
政治家の横暴や不正が許せない人は、その人の中にある「平等」「誠実」「安全」といった価値観が侵害されて、怒りを感じます。
また身近な例で言うと、「外食する」という場面においては、「味」を大切にしている人にとっては「量」は優先順位が低く、「量」が大事になってくる人には、味は二の次で、こういう人は、「量」が少ないと「この食事の量にお金を出すのは嫌だ」といった嫌悪感がでて、怒りが生じます。
このように恋愛も含む人間関係や趣味といった分野、また経済や健康といった人生の分野、さらに細かい状況や場面において、人はそれぞれ大切にしたい価値観が存在しています。
一つの見方として捉えると、これら価値観の集合体を「自分自身」と表現してもいいかもしれません。つまり、自分自身が大切な存在だと思いたいからこそ、自分のことを相手から無視されたり、馬鹿にされたりすると怒りを感じるのは、当然のことになります。
この原因による怒りも、「前提」と同様、あなただけがわかっていて、相手は認識できていないということが深い部分での原因です。
言い方をかえると、あなたの大切にしている価値観を相手が無視したり、侵害しているのではなく、あなたとは異なる「その相手が大事にしている価値観」を言っているだけだったりします。もし、そういったことが理由だとわかれば、過剰な反応をすることもなく、円滑なコミュニケーションを進めていくことができます。
2-3.体調不良(コンディションが悪い)
体調不良とは慢性的なもの、突発的なもの、不健康な生活を原因にするものがあります。いずれにせよ、体調不良の時は心の余裕がなくなりがちです。普段なら笑いながら許せることへもイライラしてしまいがちです。
普段の自分の気持ちとは違い、切れやすい状態であることが注意点です。何かをきっかけにボッと爆発する状態とも言えますね。さらに先程お伝えした、「期待を裏切られる(前提が崩れる)」と「正しい/大切だと思っている価値観を否定される」と合わさると、とんでもない怒りに発展することも・・・。
つまり、健康で健全な状態を維持することで、冷静な対応や偏見のないものの見方ができる状態を作り、怒りに対処することができます。
3.「怒りのコントロール」8つの方法(怒りを感じている時用)
この章では、怒りの最中に行う「怒りをコントロール(アンガーマネジメント)」する方法をご紹介します。
※3章に書いているものは応急処置的なものです。根本的に自分を変えたい方は、6章もご覧ください。
3-1.タイムアウト
タイムアウトとは、場所を変えたり、時間を変えたりして、自分の怒りの感情を落ち着かせることです。その人との距離や話す位置を変えたりして、怒りの感情を切り離します。
3-2.呼吸を深く、ゆっくり行う
文字通り呼吸を変えて、感情を静めてください。多くの場合、怒りの感情が出てくるときは、呼吸が荒れています。また止まっている状態です。深い、静かな呼吸を意識してとり、怒りをコントロールしていきます。
3-3.数字を数える
6秒間を過ぎれば、怒りそのものの感情はなくなると言われています。ですから6からでも1からでもいいので、数を無言で数えながら、怒りをコントロールしてください。
3-4.目を上にあげる
脳の取扱説明書と呼ばれるNLP(神経言語プログラミング)のアイパターンと呼ばれる考え方を活用して、怒りをコントロールすることができます。NLPのアイパターンとは、目の動きと脳の情報処理の関係性をパターン化したものです。
怒りだけでなく、感情を脳で処理している時、私たちの視線は下に向いています。怒りの感情に気づき始めたら、すぐに目を上のほうに向け、感情を司る脳へのアクセスを断ち切ってください。不安やパニックといった状態でもこのことは効果的です。
3-5.ツールに視点を向ける
ここでいうツールとは、愛着のある写真やグッズのことです。写真で言えば、大切な家族の写真とか、ペットの写真などです。グッズは、大切な人からもらったプレゼントやその他のあなた自身が大切にしているモノです。
怒りが出てきそうになったら、パソコンの壁紙などの写真を見たり、グッズに目を向けて、そのツールに関連している感情を思い出しながら、怒りの感情を緩和させていきます。
3-6.ジェームズ=ランゲ説を活用する(筋肉の状態を変える)
アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズとオランダの心理学者カール・ランゲが提唱した、ジェームズ=ランゲ説という考え方があります。
簡単に意訳してお伝えすると感情は体で先に知覚して、その後で心で感じるという考え方です。ですから、例えば悲しくて涙が出ている状態というのは、「悲しい→泣く」ではなく、「泣く→悲しい」という順番で私たちは感情を処理している、という考え方です。
「人は悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなるのだ」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、まさにこのことです。
動物の本能的な反応を思い浮かべればわかってきますが、敵が現れたストレス状態の時には、逃げる、または戦うといった状態で、筋肉が緊張状態にあります。これは刺激に対する身体反応の一種です。
表情の筋肉で言えば喜びの場合は、目の周辺の筋肉が収縮し、口角が上がります。
怒りの感情の場合は、眉間にしわがより、歯を食いしばるといった反応が現れます。ちなみに悲しいという感情は、顔の中心に向かって筋肉が収縮します。
つまり、筋肉の状態と感情には相互に関係があり、感情を変えたければ、表情や姿勢といった筋肉の状態を変えていけばいいわけです。
表情から変えてもいいですし、姿勢を変えて怒りをコントロールしてもかまいません。表情や姿勢を変えて怒りをコントロールしてください。
※もちろん他の説はありますが、ココでは、怒りのコントロール法の選択肢を増やすことを目的にご紹介しています。
3-7.「視点」を変える
ここでご紹介する「視点」とうのは、先にお伝えした実践的な心理学の側面をもつNLP(神経言語プログラミング)の中の「知覚位置」という考え方を活用します。
知覚位置とは、「自分の位置」「相手の位置」「第三者の位置」で物事をとらえると、その出来事や人に対する意味や解釈が異なって認識できるというものです。
怒りを感じている時をコントロールするときに最も認識しやすいのが、「自分の位置」です。人との関係で怒りを感じている時であれば、まさに今自分の目でみて、自分の耳で聞いて、感じることができている情報です。そこから見ているという自覚もなく認識できている世界ですね。
これを第三者の位置でとらえなおすと、怒りの感情が薄らいだり、慣れてくると感じることすらできなくなります。この第三者の位置や視点とは、例えば、壁にとまっているハエの視点とか、天井の蛍光灯からみた自分と相手の姿、といった視点です。
もっと極端に視点を高めるならGoogleマップの「写真」を想像するとわかりますが、グンと視点を大空にもっていって地上を見下ろすようにすると、怒りの感情と自分自身の感情を容易に切り離すことができてきます。
Googleマップ https://www.google.co.jp/maps
さらにすぐに練習できるのは、この記事を読んでいる画面の視点になったつもりになって、そこから自分の顔を見て観るということです。これは「相手の位置」になりますが、こういった工夫で、その場の怒りの感情をコントロールすることはできます。
3-8.伝え方をアサーティブにする
アサーションというコミュニケーションのスキルがあります。簡単にお伝えすると言いたいことを飲み込んだり、相手を責める表現を使ったりすることなく、自分も相手も理解し尊重したうえで、自分の意見を適切な言い方で伝えるコミュニケーションスキルです。
人に対して怒りの最中にいる時、良い人間関係、円滑なコミュニケーションを築くためにこのアサーションを活用すると効果的です。
アサーティブな表現とは、自分の気持ちを正直に伝え、かつ相手にも配慮した言い方です。効果的に活用するために以下のステップを参考にしてください。
① 自分の気持ちを考える
自分の正直な気持ちはどういうものなのかをしっかりと特定する。
② 相手の気持ちや立場を考える
自分の気持ちを一方的に伝えるのではなく、それを言われた相手がどのように感じるのか、と想像します。
③ 伝える言葉を考える
怒りを感じている時は、色んな場面があっても結局のところ「あなたは間違っている!」「あなたはヒドイ!」「あなたはわかっていない!」ということを伝えたがっています。
ここを「あなたは・・・」と言うメッセージでなく、「私」を主語にして言葉を作ります。
そして、建設的で肯定的な言葉をもちいます。例えば、
- 「私は、○○練習が必要になってきます」
- 「○○してくれると私はやる気が出ます」
- 「私は○○で困っています。☆☆していただけないでしょうか」という表現です。
少し練習が必要になってきますが、慣れてくると、自分の怒りを飲み込むことなく、かつ散らかすことなく、コントロールできるやり方です。一方的でなく、建設的な意図が伝わるように伝えてください。より詳しく学びたい方は以下の書籍を参考にしてください。
アサーション・トレーニング ―さわやかな〈自己表現〉のために 平木典子 金子書房
4.「怒りのコントロール」6つの方法(怒りを引きずっている時用)
この章では、怒りを引きずっている時に行う「怒りをコントロール(アンガーマネジメント)」する方法をご紹介します。
※4章に書いているものは応急処置的なものです。根本的に自分を変えたい方は、6章もご覧ください。
4-1.ツボ(百会)を刺激する
ツボの効果はすでにご存じだと思いますが、怒りを鎮める効果があるのは「百会」です。ここをゆっくり押して怒りを解消させてください。
左右の耳をむすぶ線と鼻からの延長線が交わるところにあります。
4-2.マッサージで身体を緩和させる
ここでは先にご紹介したSAT理論を基盤としたマッサージ、「スキンシップ法」をご紹介します。
① 二人で行います。怒りを緩和したい人が、自分の怒りを想起したとき、0~100%の数値でその怒りを数値化します。
② その怒りをイメージすると体のどこの部分がストレスを感じるかを特定します。(頭が重い、首が固くなる、おなかが痛いなど)
③ その症状がどうしたら楽になるかを直感的にキャッチし、相手に伝え、相手の体をかりてどのようにマッサージ、指圧などをしたらいいか実際に施術します。
④ 相手は言われたとおりにマッサージ、または指圧します。時間は1から2分を目安に楽になるまで相手は強さやテンポなど要求どおりに行います。
⑤ スキンシップ(マッサージ・指圧)を終えたら、自分の体がどのように変化しているか、0~100%の数値で怒りを数値化します。
やればわかりますが、非常に効果的です。
※参考文献:SAT法を学ぶ, 宗像恒次監修, 金子書房
4-3.怒りの理由を考える
そもそもなんで怒りを覚えているのか、腹が立っているのかを考えてみます。
その理由は、ほとんどの場合、「2.怒りをコントロールするために知っておきたい3つの原因」でご紹介した内容で怒りが起きていますので、まずは、その理由を当てはめてみてください。
自然と何が目的なのか、何が予想と違っていたのか、期待と違っていたのか、どんな価値観が大事にされていないと思ったのかに気付けば、怒りが軽減され、新たな対応が浮かび、選択肢が見えてくると思います。
相手は「わかっているつもり」「知っているはず」といった自分の前提や価値観をこの機会にぜひ相手と共有してください。
4-4.紙に書き出して、破る
これはとにかく怒りの感情を紙に書き出すやり方です。運動をして、怒りのエネルギーを発散させることとポイントは同じです。ひたすら書いて、書いて書き出して、自分の中に引きずっている怒りのエネルギーが放出するまで書きなぐってください。
そして、書き出したら、その場でもいいですし、一晩時間をおいても大丈夫です。冷静に読めるようになったら、書き出した紙を破ります。ハサミで切っても、カッターで切り刻んでも大丈夫なので、スッキリして、馬鹿らしくなるまでやってください。
4-5.五感情報を変化させる
人は内側でイメージしたり、自分や誰かの声を聞いたり、体の中で怒りをはじめとする感情の形や温度や重さ軽さを感じています。この内側で見たり聞いたり感じたりする内的な五感情報を変化することによって、怒りをコントロールすることができます。
想像力が必要になりますが、ここではこの五感情報を活用した3つのアプローチをご紹介します。どれか一つは取り組みやすいものがあると思いますので、その一つに慣れてきたら、他のアプローチも組み合わせながら試してみてください。
4-5-1.視覚情報を変える
リラックスした状態で「その怒りのことを考えたときに浮かぶ映像はどんな映像か」、と自分に問いかけてください。「怒りの対象を思い浮かべるのではなく、怒りのことを考えたときにポンと浮かぶ映像」というのがポイントです。そこに浮かんでくる一枚の映像を特定します。
その映像が大きいのであれば小さくしたり、カラーで見えているのであれば白黒にしてみたり、左側に浮かんでいるのであれば、右に移してみたり、近いのであれば距離を遠くにしてみたりその怒りの感情が薄くなるまで編集したり加工していきます。
次のような要素を参考にしてください。
「色」「明るさ」「動き(静止画か動画か)」「距離」「位置」「枠があるかないか」「自分が写っているか、写っていないか」。これらを変化させていきます。
4-5-2.聴覚情報を変える
怒りの対象を想像したとき、その時に聞こえてくる音を特定します。
例えば、場所はどこか、どんなセリフか、その声は高いか低いか、その声は速いか遅いか、リズムはあるかなしか、といったことを特定していきます。それが特定できたら、映像と同じように、聞こえてくる場所を変えたり、誰かの声であればセリフのスピードを早くしたり、遅くしたり、声質を変えたりして怒りを緩和させます。
頭の右上から聞こえてくるのであれば、左足の小指に音の発信先を移してみたり、ミッキーマウスの声でセリフを聞いてみたり、また、その「セリフの逆再生」も試してみる価値があります。セリフの逆再生とは「なにやってんだ、君は」というセリフでしたら、「わみきだんてっやにな」と逆から音をきいてみる、ということです。
「うとがりあ」ときいてもピンときませんが、これは「ありがとう」の逆再生のセリフです。逆再生は、言葉が持つ意味をなくしていくのに効果的ですので、これらを使ってあなたの怒りを解消させてください。慣れてくると、怒りどころか、笑えてきますので、そこまで出来るようになったら、怒りのコントロールは容易になります。
4-5-3.体感覚情報を変える
怒りを体のどこで感じているか探してみて、それを以下のように特定してみます。
例えばゴツゴツした岩のような形とか、鉄のような棒とか、三角すいのような形、といった具合に「形」で表してみます。
この他、触れるとしたら、その強度(硬いか柔らかいか)、肌触り、重さ、温度なども特定して、その情報が特定できたら、硬ければ柔らかく、ザラザラしていれば、ふわふわに。また重ければ軽く、冷たければ、ポカポカあたたかく情報を変化させます。
視覚情報、聴覚情報同様、怒りが軽減し、対処できるようになるまで取り組んでください。呼吸とともにその体感覚情報を体の外に出していくというイメージを使っても効果的です。
ここでご紹介しているのは、先に紹介したNLP(神経言語プログラミング)のサブモダリティと言われる概念が基盤となっています。より詳しく学びたい方は、以下の書籍を参考にしてください。
※参考文献
- プロが教えるはじめてのNLP超入門 芝健太(著),出版社:成美堂出版
- 神経言語プログラミング―頭脳(あたま)をつかえば自分も変わる リチャード・バンドラー(著),出版社:東京図書
4-6.成長の機会になる問いかけ
このやり方は、「1.怒りをコントロールする時に知っておきたい4つのポイント」でお伝えしていた怒りの感情を成長の機会としてとらえる具体的なやり方です。
怒りは、「今のやり方では通用しない」「このやり方では理想に近づけない」「止めている何かがある」という、あなたを成長させるシグナルやメッセージとしてとらえます。
柔軟性があり、仕事がデキル人は、怒りを「他のやり方を求められている」「これではない、他の視点を必要している」といった意味で、成長や学びの機会にしています。
ぜひ、以下の問いかけを活用してください。
「自分の成長のためにこの怒りは、私に何を教えようとしているのか?」
「この怒りのエネルギーをもっと価値あることに使うために自分にできることは何か?」
「もし、今日が人生最後の日なら、このことに時間を割くか。それとも他のどんなことに時間を使うか?」
5.「怒りのコントロール番外編」怒りの爆発を予防するオススメ習慣3つ
これまでは怒りそのものへのアプローチをご紹介してきましたが、ここでは「怒り」を感じていない時に「予防」という観点からおすすめしたい3つの習慣をご紹介します。
「貯めずに捨てる」という観点、「確認のコミュニケーション」の習慣、そして「感謝に目を向ける」というアプローチです。
5-1.貯めずに捨てる
「貯めずに捨てる」とは、「3-2-4.紙に書き出して、破る」で、ご紹介したやり方をもっとこまめにやっていくやり方です。
必要なメモも要件が終わったらゴミ箱に捨てるように、ちょっと気になる「怒りの種」のようなことをサッと紙に書いて丸めて捨ててください。必要な場合は、次の「確認のコミュニケーションを増やしていく」を活用し、貯めないことで、怒りに対して柔軟に対応できるあなたの心をつくっていきます。
5-2.確認のコミュニケーションを増やしていく
思い込みやその人なりの当たり前といった前提や大切にしている価値観が崩れることや無視されることで怒りが生じるのは、「2.怒りをコントロールするために知っておきたい3つの原因」でお伝えしたとおりです。
ここでは予防でもあり、相手との人間関係をより良好なものにしていくためにもオススメなのが、怒りの状態が生まれる前に、「前提」と「価値観」を確認しておくことです。
つまり、事前に「確認のコミュニケーション」を行うということです。
「あうん」の呼吸は、直ぐにできるものではなく、様々なコミュニケーションを重ね続けた結果として生まれます。ですから、何度も確認しながら、円滑なコミュニケーションの土台を築いてください。このやり方は、怒りが減るだけでなく、あなたと相手との信頼関係がより構築されていくコミュニケーションにもなります。
5-3.感謝に目を向ける
やり方はとても簡単で、感謝できることをその日に10コほど書き出していくやり方です。
- 家族が朝起きて「おはよう」と挨拶してくれた。
- 会社で部下が「笑顔」で業務報告してくれた
- ランチで入ったお店の食事が思った以上に美味しかった
といったことで大丈夫です。とびきりの感謝ではなく、日常の自分なりの当たり前を外して、見つけていくことが大切なポイントです。
- 食事がまずかったら、期待はずれが起きてちょっとイラっとしたりします。
- 部下や後輩が無愛想に報告してきたら、ムカッとしますよね。
- 朝、家族が挨拶をせず、実は布団の中で具合を悪くしていたら、大変なことですね。
ですから、なんでもない日常が起こっていることだけでも、あなたの人生は実は豊かさにあふれています。特別なことだけでなく、なんでもないことの中から感謝できることを見つけてリストに書き残してください。
このやり方は「感謝の落ち葉拾い」とも言われていて、道端に落ちている感謝を拾うのか、怒りを拾うのかでは、その人の見るもの、聞くもの、感じる世界はまったく違ってくるのは想像できると思います。
なんでもないことを当たり前にするのではなく、感謝の出来事にしていき、その物事や人に対して温和に対応できるあなたの視点を習慣にしてください。
6.怒りをコントロールするために「本気で自分を変えたい」方へ
怒りをコントロール(アンガーマネジメント)するために、本気で自分を変えたい、真剣に変わりたいという方は、まずは何かに取り組み始めましょう。
怒りほど、パワフルな感情はありません。「怒りをコントロールする」「怒りを原因としたマイナスのパターンを変える」「怒りと上手に付き合う」ためには、真剣に「自分を変える覚悟」で、行動する必要があります。
何もしなければ、後悔や反省を繰り返すことになりかねません。怒りをコントロールするために、「3章で紹介した対処法を徹底する」「心理学NLPを学び、改善を試みる」など、なんでも構いません。自分や周囲のために、行動を積み重ねましょう。
※補足:怒りをコントロールするために押さえたいポイントのまとめ
- 1.マイナスのパターンを変える(再プログラミング ※詳しくは1-4へ)
- 怒りが引き出されるパターンを変える
- 怒りによるマイナス行動のパターンを変える
- 2.内面を変える/整える
- 怒りにくい自分になる
- 怒りをコントロールしやすくなる
- 3.怒りの感情と上手に付き合う方法を学ぶ
※こうしたアプローチを推奨する理由は、怒りの感情が持つ力や影響力は大きく、コントロールするのは簡単ではないためです。さらに繰り返し発動している怒りのパターンは、3章で紹介した対処法のみで、根本から変えられるのが難しいと言えます。
こうした3つのポイントをについて学べるものが1-4で紹介した心理学NLPです。
NLPは「怒りのコントロール」だけでなく、人生や仕事、人間関係で使える学びがたくさんあります。真剣な方、ご興味をお持ちの方は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
怒りをコントロール(アンガーマネジメント)する具体的な方法は見つかったでしょうか。まずは「怒りに気づき」「原因を理解し」「対処できるやり方を実践する」の3ステップを心がけてください。
そして真剣に人生を変えたいとお感じの方は、5章もご参考にされてください。
この記事が少しでも、あなたの人生が変わるきっかけになれたなら嬉しく思います。
※「心理学NLP」について詳しくはこちらの記事へ
- 特集:心理学NLPとは?
- NLP資格認定コースとは?
- 大人気!NLP体験講座とは?