コーチングとは、
コーチが相手の内面にある答えを引き出し、
理想の状態に導く目標達成の手法です。
企業やスポーツ指導ではもちろんのこと、
介護や子育て、アートや音楽の世界でも
活用されています。
生活のあらゆる場面で
使われているだけあって、
その効果は大いに期待できます。
この記事では、
コーチングを知りたい方
学びたい方、受けたい方に向けて
ゼロからわかりやすくご説明します。
目次
1.コーチングとは?
1-1.コーチングの基礎知識
コーチングとは、
傾聴と対話で相手の中にある課題や答えを引き出す、目標達成の手法です。
例えると、「相手が目指す最高の自分」になるためのサポートをするイメージです。
「答えは本人の中にある」
という考えを基本としており、
コーチが答えを与えるわけではなく、
コーチングを受けた人(クライアント)が
自発的に考えて行動するようになる点が大きな特徴です。
コーチングを受けると、
「欲しい結果を、より早く、より確実に、
より効果的に実現すること」が可能となります。
目標達成までのプロセスや、達成に必要なことが明確かつ具体的にわかるため、モチベーションの向上と自発的な行動に役立ちます。
マネジメントや指導との相性が良いと言われるのはこのためです。
また、近年では企業内で上司部下とのコーチング(1on1)が注目されていたり、コーチングを職業として活動する人も増えており、その市場規模は今後益々大きくなっていくことが予想されています。
コーチングに関連する本が売れている状況や
講座を受講される方が増えていることからも、
これからの時代、コーチングスキルが重要な役割を担うことは間違いないでしょう。
1-2.コーチングの由来
コーチングは、「馬車」を意味する「コーチ (Coach)」という言葉から生まれました。
その時代の馬車の役割は、
「人を目的地まで運ぶこと」だったため、
コーチングは
「人の目標達成をサポートする」
という意味で使われています。
コーチングによって、目的地まで自力で歩くよりも、早く連れて行ってくれる人を「コーチ」と呼びます。
2.コーチングの効果と注意点
2-1.コーチングの効果
コーチングを受ける主なメリットは次の5つです。
コーチングをする人(コーチ)はコーチングを受ける人(クライアント)に、
- 新しい気づきをもたらす
- 視点やアイデア増やす
- 内に秘めた可能性を引き出す
- 目標達成に必要な行動を促す
- モチベーションを高める
これらのための効果的なコミュニケーションを作り出します。
ここで重要なのは、
コーチがこれらを強制するのではなく、
クライアントが主体性を持ちながら目標を実現することです。
コーチはあくまでも支援者のスタンスで、主導権はクライアントにあります。
そのため、コーチングでは基本的に先生のように「教える」「助言する」ことはしません。
その代わりに、「質問する」「傾聴する」などを通じて、クライアント自身から考えやアイデアを引き出します。
- 自分なりの考えを促したい
- 自主的な行動を求めたい
- 正解ではなく、プロセスを学習してほしい
このような場合にコーチングは効果的です。
2-2.コーチングの注意点
一方でコーチングにもデメリットが存在します。
【コーチングのデメリット】
- 効果が出るまで時間がかかる場合がある(緊急事態には不向き)
- 相手の知識や経験、能力が不足している(ある分野で)
このような場合、コーチングは非効率となってしまう可能性が高いです。
さらに集合研修のように、多人数を相手にする場合、コーチングは1対1が基本となるため、一斉にコーチングすることは困難です。
※コーチングでは自発性を重視しますが
マネジメントの現場ではふさわしくない場合もあります。
例えば、急いで問題解決をしなければならないとき、自発性よりも緊急性を優先すべき場合もあります。
その際には、具体的な指示命令が現実的かつ有効でしょう。
一方で、多少時間はかかっても相手からアイデアを引き出し、本人に自発的に行動してほしい場合、指示命令は向かないと言えます。
コーチングの詳しい手順を4つのステップで解説
3.コーチングの代表的な3つのスキルとコーチの役割
3-1.コーチングのスキルとコーチの役割
コーチの大きな役割は、
クライアントが自らの力で目標を達成するためのサポートをすることです。
具体的には、
- クライアントの能力を最大限に引き出す
- 目標を明確にし、モチベーションを高める
- 自発的に行動できるように促す
などがあります。
これらのためにコーチが身につけておくべき代表的なスキルが次の3つです。
- 1.傾聴
- 2.承認
- 3.質問
言葉だけ見ると、どうも簡単に思えますが、
知ると奥深く、様々なノウハウがかけ合わさっています。
3-1-1.傾聴
単に耳を傾けて聞くことではなく、
コーチに求められる「聴く力」は、
- 相手が言おうとしていることは何か
- あるいは、その裏側にある意図や本質は何か
ということを聞き分け、正確に理解することです。
3-1-2.質問
コーチに求められる「質問の力」は、
コーチが知りたいことを確認するのではなく、
相手の視点を広げ、
アイデアや気づきを生み出す力です。
相手の状況を的確に把握し、どんなタイミングで、どんな質問が最も効果的であるかを判断する能力も求められます。
コーチは回答を与えるのではなく、適切な質問を投げかけるため、質問の専門家と言われています。
3-1-3.承認
「相手のことを認める」という意味ですが
コーチに求められる「承認の力」は、3つに別れています。
存在の承認 | 挨拶や相手の状態を具体的に伝える |
成長の承認 | 相手の変化や成長に関わることを伝える |
成果の承認 | 相手に成功体験を話してもらい、褒める |
人には承認欲求というものがあり、
承認を与えてくれる人は自然と信頼されるため
コーチングの中で重要な柱になります。
3-2.最重要!3つの柱を支える信頼関係
傾聴、質問、承認の3つの柱を支える土台が信頼関係です。
当たり前過ぎて見過ごされそうですが、人との関わりは全て信頼関係で成り立っていると言えます。
職場でも家庭でも信頼関係があれば、
良い人間関係を築いたり、
良いパフォーマンスを発揮できますが、
逆に信頼関係がなければ、
少しのことで関係がギクシャクしたり、
お互いに不信感を持ったまま過ごすことになりかねません。
信頼関係を効果的に築くための学びの一つに心理学NLPがあります。
NLPは、人生やビジネスですぐに使えるスキルが豊富にあり、体系的にまとめられています。
信頼関係がベースにないと、
コーチングが上手くいかないことが起こり、
信頼関係があると、
コーチングがより効果的に進むため、
様々なコーチングスクールでも、
NLPの信頼関係を築く方法は指導されています。
ここでは軽く最低限のご紹介をしますので、詳しく知りたい方は続きにあるリンクをご確認ください。
3-2-1.NLPの手法①ミラーリング
相手と同じ姿勢や身振りを真似ていくことで、
安心してもらえる状態を作り、
相手との信頼関係を短期間のうちに築くことができます。
3-2-2.NLPの手法②ペーシング
相手の話す速度や声の大きさに
合わせていくことで親近感が生まれ、
この親近感が心の距離を近づけてくれるのです。
3-2-3.NLPの手法③バックトラッキング
オウム返しともいわれ、
相手の発した言葉をそのまま返すことで、
相手が話やすい状態をつくり、
話が盛り上がって、聞き上手になることができます。
信頼関係を築くスキルを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
10万720名がダウンロードした「心理学NLP無料レポート」
→ 信頼関係を築くための心理スキル
この他にもコーチングスキルを更に多く知りたい方は、こちらをご覧ください。
→ 実践的なコーチングスキル10個を厳選してご紹介!
4.ティーチングとの違いは?類語との違い
コーチングと似た言葉に
「ティーチング」「カウンセリング」「コンサルティング」があります。
どういった違いがあるのかをみていきましょう。
コーチングを含めた4つの類語は、
特徴が異なるコミュニケーションでありながら、
相手をより良い状態にするという共通の目的があります。
コーチング | 「答えを引き出す」 |
ティーチング | 「知識や情報を伝える」 |
カウンセリング | 「マイナスを元に戻す」 |
コンサルティング | 「改善策を提案する」 |
イメージしやすく一方向と記載しましたが、必ずしもそうではなく、状況によって双方向のコミュニケーションも必要となります。
優れたコーチは「ティーチング」「コンサルティング」「カウンセリング」の要素を取り入れ、クライアントに合わせた臨機応変なコーチングをすることもあります。
例えば、コーチングをする側が、
相手が気づいていない視点やアイデア、知識や情報を持っている場合、
相手に確認した上で
情報の共有(ティーチング)や提案(コンサルティング)をするといったことです。
コーチングとティーチングの違いや効果的な活用方法を更に詳しく知りたい方はこちらから。
5.コーチングの市場は今後も伸び続けていく
日本のコーチング市場は、
2015年の50億円から4年間で300億円に成長しており、
6倍にまで急成長しています。
アメリカの人口は日本の3倍にも関わらず、
すでにコーチングがあたり前の
アメリカの市場規模は、日本の50倍です。
これだけの差があると、
今後、日本でコーチングの市場が成長していくことがわかります。
ここ数年で、新たにコーチになる方、今の仕事にコーチングを取り入れる方が増えてきました。
また、現代では、ストレスや悩み、キャリアの選択肢が多岐に渡りますから、コーチを必要とする方も増えていくでしょう。
さらに、
オックスフォード大学のマイケル・オズボーン氏が発表した「2030年に必要なスキル」によると、
これからの時代を生き抜くためには、「人間理解のスキル」が必須と示唆されています。
コーチという仕事は、クライアントのニーズに応え、成長や目標達成をサポートする役割であるため、信頼関係を築き、相手を深く理解することが求められます。
人の心理を理解し、
相手が望むゴールへと導くコーチは
まさにこれからの時代に必要とされる存在と言えるでしょう。
コーチングの失敗しない学び方はこちらから
6.一般的なコーチングでは限界が来てしまう理由
6-1.なぜ一般的なコーチングでは限界が来てしまうのか?
コーチングをやっていて行き詰まりを感じてしまうことがある。
クライアントによっては、コーチングが表面的で機能しない。
コーチングを長く実践しているプロほど、このように感じることがあります。
コーチングは、ポジティブな心理状態の方には、非常に効果的なコミュニケーションの1つ。
しかし、世の中にはポジティブな心理状態の方ばかりではありません。
どんなにポジティブに見える方でも
誰でも悩みや自分を止めるもの、
トラウマ、コンプレックスなど
大小はありながらも何かを抱えているものです。
そして、
このことに本人が気づいていないことも多く、
ポジティブに振る舞うことで
そのネガティブな部分に気づけないケースもあります。
誰でも大小の心の傷を抱えているもですが、たくさんコーチングしているベテランのコーチほど、心に傷を抱えている方にコーチングをしたときに、コーチングのスキルだけではうまくいかないと痛感する方が多いです。
これでは、コーチとしての自信もクライアントからも信頼をもなくしてしまうことに。
実はこのようなコーチが驚くほどたくさんいるのです。
そこで、結果的に限界や行き詰まりを感じたコーチが、一から心理面の構造や脳と心の機能、カウンセリングやセラピーで扱う手法について学ぶために心理学NLPとコーチングを掛け合わせたNLPコーチングを取り入れる方が多くなっています。
6-2.コーチングの効果を高める心理学NLP
心理学NLPとは、別名「脳と心の取扱説明書」とも呼ばれている実践心理学。
実力の高いコーチに出会うと、ほとんどと言ってもいいほど、皆さんNLPを学ばれています。
NLPでは、
- 目標達成、問題解決の能力を高めること
- 心の傷やマイナス面を解消すること
- コミュニケーション能力を飛躍させること
- セルフイメージ、自己肯定感を高めること
- 人生のミッションを明確にすること
など、人生をより良くするために必要なことを、体系的にバランスよく学べます。
現在では、その高い効果を得るために、
世界のトップビジネスシーンやスポーツの世界などでも幅広く活用されています。
世界一のコーチと言われるアンソニー・ロビンズは
自身のコーチングで様々なNLPのスキルを活用しており、
- ビル・クリントン(第42代米国大統領)
- スティーブン・R・コヴィー博士(『7つの習慣』著者)
- ジェイ・エイブラハム(全米No.1マーケティングコンサルタント)
など各業界の超一流をクライアントに持っています。
コーチとして活躍されている方はもちろん、
コーチングを初めて学ばれる方も多く、
コーチとして独立したい方や、
今の仕事に活かしたい方、
マネジメントに活かしたい方など様々な方がNLPを学ばれています。
一般的なコーチングだと行き詰まることもあるため、コーチングとNLPを融合させた「NLPコーチング」が非常に役立ちます。
NLPコーチングにご興味のある方は、受講生の9割以上が満足!と答えている「コーチングセミナー」について、あわせてご覧ください。
→ 「コーチングセミナー(講座)」とは?学ぶ内容や選び方について
ICF(国際コーチ連盟)のプログラムを、20年以上にわたり教えている講師から直接聞いた、インタビュー記事はこちらから。
→ 世界権威へインタビュー「NLPプロフェッショナルコーチ認定コース」とは?
7.コーチングに正式な資格取得は必要か?
結論、コーチングに必ずしも資格は必要ありません。
国家資格が必須の医師や弁護士のような、資格なしでは業務ができないという独占業務とは違い、コーチングの資格は全て民間資格です。
そのため、資格がなくても、コーチングができてしまいます。
こうした背景があり、残念ながら、
世の中にはきちんと学んでいない、我流のコーチが多数存在することも事実です。
また、我流のコーチングスクールも多数存在しており、コーチングの国際機関ICFやACとの連携があるスクールかどうかの確認も必要です。
コーチングを受けるなら、そのコーチが信頼できる機関の資格を持っているかを確認したほうがいいでしょう。
そして、自身の仕事にコーチングを活かすなら、プロのコーチとしてやっていくなら、信頼できる機関のトレーニングを受け、正しい知識を身に着けた証明として、資格をもっておきたいところです。
資格について種類や、内容、選び方まで
詳しくは以下の記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。
まとめ
ここまでの内容を簡単にまとめます。
- コーチングとは「傾聴と対話で相手の中にある課題や答えを引き出す、目標達成の手法」
- メリット「可能性を引き出し、新たな視点を増やす」
デメリット「緊急時には不向き」などがある - 代表的な3つのスキル「傾聴、承認、質問」であり、それらを支える「信頼関係」が最も重要
- コーチングと類語との関係は、特徴が異なるコミュニケーションでありながら、
相手をより良い状態にするという共通の目的がある - これからの時代を生き抜くには「人間理解のスキル」が必須
- マイナス面も解消できないとコーチングの限界に達する
- 資格は必ずしも必要ではないが、資格はある方が良い
コーチングを受けると、ご自身の課題解決や目標達成が加速します。
コーチングを学び、できるようになると、
今の仕事に使えたり、セルフコーチングをして自分を高めることもできます。
まだコーチングに触れたことがなければ、
まずは一度、体験されることをおすすめします。
きっと、自分の可能性の大きさとプラスの変化を感じられると思います。
最後に
※NLPとコーチングにご興味をお持ちの方は、こちらの動画をご覧ください。
40秒で、NLPコーチングを簡単にご理解いただけます。